9 / 50
9件目 もう、“弟”じゃないから
しおりを挟む
「おーい、コータ。また居残り? 真面目だね~」
振り返ると、教室の入り口に立っていたのは、黒江ミサ先輩だった。
日焼けした肌に、ハイライト入りのロングヘア。ピアスもバッチリ、制服のシャツも少しはだけていて、いかにも“黒ギャル”な見た目。
でも俺にとっては、近所のお姉さんで、物心つく前から一緒にいた幼馴染。
「ちょっとテスト近いんで……って、ミサ先輩こそ、なんでここに?」
「なんでって、あんたが一人で残ってるから様子見にきたの」
「保護者かよ……」
思わず苦笑してしまう。けど、こうして放っておけない感じ、昔から変わらない。
「てか、さ。最近さ、コータ冷たくない?」
「……そうですか?」
「“ミサねーちゃん”って呼んでくれてた頃は、もっと可愛かったのにさぁ。いきなり敬語になって、距離取り出して。私なんかした?」
言葉に詰まる。図星だったから。
中学の終わりごろから、ミサ先輩の雰囲気は一気に“女の子”っぽくなって、俺はなんだか直視できなくなってしまった。
ちょっとした仕草や、匂いすら気になって――それが恋だと気づくまで、時間はかからなかった。
「……先輩が、綺麗になったからです」
小さな声でつぶやくと、ミサ先輩が一瞬だけ目を見開いて、すぐに口元を緩めた。
「なにそれ。やだ、照れるじゃん」
「本気です。だから、もう“お姉ちゃん”扱いしないでほしくて」
「……そっか。やっと言ってくれたね」
ミサ先輩はゆっくりと近づいてきて、俺の机の隣に腰をかけた。
至近距離で見ると、まつげが長くて、唇にはうっすらグロスが光っている。
「実はね、私も待ってたの。コータが男として見てくれるの、ずっと前から」
「え……?」
「だってさ、昔から一緒にいたけど、あんたってほんと優しいし、頑張り屋だし。正直、後輩の男の子に本気になるなんて思ってなかったけど……」
ミサ先輩の指が、俺の手の甲にそっと触れた。
「好き、だよ。あんたが思ってるより、ずっと前から」
胸の奥が熱くなって、言葉が出なくなる。
「キス、していい?」
「……俺からしても、いいですか?」
「うん。して」
そっと身を乗り出して、ミサ先輩の唇に、自分の唇を重ねた。
「んっ……ちゅっ……、ふ……っちゅっ……」
柔らかくて、甘い香りがして、ずっと夢に見てた感触だった。
「……ふふ、今のは合格点あげる」
「点数制なんですか」
「うん。でも今のコータなら、満点狙えるよ」
ミサ先輩はいたずらっぽく笑って、俺の髪をくしゃっと撫でた。
昔みたいな、姉ちゃんと弟じゃない。
今は――ちゃんと“男と女”として、隣にいられる。
「じゃ、コータ。付き合うってことでいいよね?」
「はい。絶対、先輩を後悔させませんから」
「頼もしくなったなぁ。……ほんと、成長したな、うちのコータ」
照れながらそう言う彼女が、世界で一番綺麗に見えた。
放課後の教室。オレンジ色の光に包まれながら、俺たちはようやく、始まりの一歩を踏み出した。
「んむっ……ちゅっ……あむっちゅっ、えろっれろれろっちゅっ……、チュピっ、はぁっ……んむっ、んひっちゅっ……チュッチュッ、あむっちゅっ、れろっ、れろれろっちゅっ……んっ」
振り返ると、教室の入り口に立っていたのは、黒江ミサ先輩だった。
日焼けした肌に、ハイライト入りのロングヘア。ピアスもバッチリ、制服のシャツも少しはだけていて、いかにも“黒ギャル”な見た目。
でも俺にとっては、近所のお姉さんで、物心つく前から一緒にいた幼馴染。
「ちょっとテスト近いんで……って、ミサ先輩こそ、なんでここに?」
「なんでって、あんたが一人で残ってるから様子見にきたの」
「保護者かよ……」
思わず苦笑してしまう。けど、こうして放っておけない感じ、昔から変わらない。
「てか、さ。最近さ、コータ冷たくない?」
「……そうですか?」
「“ミサねーちゃん”って呼んでくれてた頃は、もっと可愛かったのにさぁ。いきなり敬語になって、距離取り出して。私なんかした?」
言葉に詰まる。図星だったから。
中学の終わりごろから、ミサ先輩の雰囲気は一気に“女の子”っぽくなって、俺はなんだか直視できなくなってしまった。
ちょっとした仕草や、匂いすら気になって――それが恋だと気づくまで、時間はかからなかった。
「……先輩が、綺麗になったからです」
小さな声でつぶやくと、ミサ先輩が一瞬だけ目を見開いて、すぐに口元を緩めた。
「なにそれ。やだ、照れるじゃん」
「本気です。だから、もう“お姉ちゃん”扱いしないでほしくて」
「……そっか。やっと言ってくれたね」
ミサ先輩はゆっくりと近づいてきて、俺の机の隣に腰をかけた。
至近距離で見ると、まつげが長くて、唇にはうっすらグロスが光っている。
「実はね、私も待ってたの。コータが男として見てくれるの、ずっと前から」
「え……?」
「だってさ、昔から一緒にいたけど、あんたってほんと優しいし、頑張り屋だし。正直、後輩の男の子に本気になるなんて思ってなかったけど……」
ミサ先輩の指が、俺の手の甲にそっと触れた。
「好き、だよ。あんたが思ってるより、ずっと前から」
胸の奥が熱くなって、言葉が出なくなる。
「キス、していい?」
「……俺からしても、いいですか?」
「うん。して」
そっと身を乗り出して、ミサ先輩の唇に、自分の唇を重ねた。
「んっ……ちゅっ……、ふ……っちゅっ……」
柔らかくて、甘い香りがして、ずっと夢に見てた感触だった。
「……ふふ、今のは合格点あげる」
「点数制なんですか」
「うん。でも今のコータなら、満点狙えるよ」
ミサ先輩はいたずらっぽく笑って、俺の髪をくしゃっと撫でた。
昔みたいな、姉ちゃんと弟じゃない。
今は――ちゃんと“男と女”として、隣にいられる。
「じゃ、コータ。付き合うってことでいいよね?」
「はい。絶対、先輩を後悔させませんから」
「頼もしくなったなぁ。……ほんと、成長したな、うちのコータ」
照れながらそう言う彼女が、世界で一番綺麗に見えた。
放課後の教室。オレンジ色の光に包まれながら、俺たちはようやく、始まりの一歩を踏み出した。
「んむっ……ちゅっ……あむっちゅっ、えろっれろれろっちゅっ……、チュピっ、はぁっ……んむっ、んひっちゅっ……チュッチュッ、あむっちゅっ、れろっ、れろれろっちゅっ……んっ」
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる