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21件目 たった一度のキス
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中学二年の春。僕の隣には、相変わらず二人の幼馴染がいる。
一人は図書室の窓際が指定席の静かな美少女・葵(あおい)。身長は145センチ。黒髪のロング、伏し目がちで、話しかけても小声で返すか、そもそも目も合わせてくれない。
クラスでも「陰キャ」と呼ばれているけど、僕はそんな彼女が嫌いじゃなかった。
もう一人は正反対。140センチという小柄な体で、教室でも誰より大きな声を出す元気娘・ひなた。
僕が他の女子と話そうものなら、すぐ「何ニヤニヤしてんの!」と怒鳴ってくる。何かと僕に突っかかってくるけれど、それでも昔からずっと一緒だった。
「…悠馬、ちょっと…来て」
放課後、教室の端っこ。葵が小さな声で袖を引いた。人と話すのが苦手な彼女からの突然の呼びかけに驚きながらも、僕は「うん」とうなずいた。
向かった先は図書室。誰もいない。
「……あのさ、私……」
葵は俯いたまま、机の端をぎゅっと掴んでいる。少し赤くなった頬が夕陽に照らされて綺麗だった。
「…ひなたちゃんのこと、好きなんでしょ」
その言葉に、僕の心臓が跳ねた。何か答えようとしたけれど、口が動かない。
「でも、私も……悠馬のこと、好きだから」
そう言って、葵は僕の前に立ち、そっと背伸びをした。
そして——唇が触れた。
柔らかくて、温かくて、一瞬だけど永遠みたいなキスだった。
——その瞬間。
「なっ……なにしてんの、あんたら!!!」
図書室の扉がバンッと開き、ひなたが仁王立ちしていた。
顔は真っ赤。目には涙。拳を震わせて、一歩、二歩と近づいてくる。
「ゆ、悠馬は……私と、付き合うって、約束……してたじゃんっ!!」
「えっ、そ、それって……小一のときの“おままごと”の話だろ?」
「そんなの、あたしは本気だったんだからっ!!」
怒ってるというより、泣き出しそうな声だった。僕は何も言えなくて、ただ立ち尽くしていた。
するとひなたは僕の制服の胸をぐいっと掴んだ。
「……キスなんて、ずるい……あたしだって、したい……」
そして、そのまま背伸びして、僕の頬に触れた。
触れただけの、でも確かにそれは、ひなたなりの“初キス”だった。
その後、僕は逃げるように図書室を出た。心臓はバクバクで、頭は真っ白で、何も考えられなかった。
葵も、ひなたも、大切な幼馴染。なのに、どちらかを選ばなきゃいけない日が来るなんて、思ってもみなかった。
その夜、僕はベッドの中で、二人のことを考えていた。陰のように静かな優しさと、陽のように真っ直ぐな想い。どちらも、僕の心にまっすぐ届いていた。
そして、気づいた。
僕は——たぶん、ずっと前から決まってたんだ。
次の日の朝、僕は教室のドアを開けて、まっすぐにその子の席へ向かった。
決めた答えを、今度はちゃんと、自分の言葉で伝えようと。
一人は図書室の窓際が指定席の静かな美少女・葵(あおい)。身長は145センチ。黒髪のロング、伏し目がちで、話しかけても小声で返すか、そもそも目も合わせてくれない。
クラスでも「陰キャ」と呼ばれているけど、僕はそんな彼女が嫌いじゃなかった。
もう一人は正反対。140センチという小柄な体で、教室でも誰より大きな声を出す元気娘・ひなた。
僕が他の女子と話そうものなら、すぐ「何ニヤニヤしてんの!」と怒鳴ってくる。何かと僕に突っかかってくるけれど、それでも昔からずっと一緒だった。
「…悠馬、ちょっと…来て」
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向かった先は図書室。誰もいない。
「……あのさ、私……」
葵は俯いたまま、机の端をぎゅっと掴んでいる。少し赤くなった頬が夕陽に照らされて綺麗だった。
「…ひなたちゃんのこと、好きなんでしょ」
その言葉に、僕の心臓が跳ねた。何か答えようとしたけれど、口が動かない。
「でも、私も……悠馬のこと、好きだから」
そう言って、葵は僕の前に立ち、そっと背伸びをした。
そして——唇が触れた。
柔らかくて、温かくて、一瞬だけど永遠みたいなキスだった。
——その瞬間。
「なっ……なにしてんの、あんたら!!!」
図書室の扉がバンッと開き、ひなたが仁王立ちしていた。
顔は真っ赤。目には涙。拳を震わせて、一歩、二歩と近づいてくる。
「ゆ、悠馬は……私と、付き合うって、約束……してたじゃんっ!!」
「えっ、そ、それって……小一のときの“おままごと”の話だろ?」
「そんなの、あたしは本気だったんだからっ!!」
怒ってるというより、泣き出しそうな声だった。僕は何も言えなくて、ただ立ち尽くしていた。
するとひなたは僕の制服の胸をぐいっと掴んだ。
「……キスなんて、ずるい……あたしだって、したい……」
そして、そのまま背伸びして、僕の頬に触れた。
触れただけの、でも確かにそれは、ひなたなりの“初キス”だった。
その後、僕は逃げるように図書室を出た。心臓はバクバクで、頭は真っ白で、何も考えられなかった。
葵も、ひなたも、大切な幼馴染。なのに、どちらかを選ばなきゃいけない日が来るなんて、思ってもみなかった。
その夜、僕はベッドの中で、二人のことを考えていた。陰のように静かな優しさと、陽のように真っ直ぐな想い。どちらも、僕の心にまっすぐ届いていた。
そして、気づいた。
僕は——たぶん、ずっと前から決まってたんだ。
次の日の朝、僕は教室のドアを開けて、まっすぐにその子の席へ向かった。
決めた答えを、今度はちゃんと、自分の言葉で伝えようと。
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