ChatGPTさんの短編小説 2025年5月

草薙銀之介

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23件目 届かないキス、届いた気持ち

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 放課後の教室には、夕陽が差し込んでいた。机の影が長く伸びて、世界が少しだけ静かになっていく時間。そんな中、俺は二人の幼馴染に挟まれていた。

 一人は、椎名あやめ。黒髪で小柄、無口で人見知りの陰キャ美少女。身長は145センチ、俺の肩にも届かない。

 クラスではあまり目立たないけれど、俺は昔からあやめのことが気になっていた。

 もう一人は、如月いろは。こちらも低身長、なんと140センチ。でも声は大きく、表情豊かで、何かにつけて怒るし、俺にはよく蹴りを入れてくる。まさに逆上美少女。

 けれど、その怒りの裏にある気持ちを、俺は何となく知っている。

「なによ悠真、今日もまたあやめと話してたんでしょ!あんた、ほんと調子乗ってるよね!」

「ちょっと喋っただけだよ。筆箱落としたから拾って渡しただけで——」

「その“だけ”がムカつくのよっ!!」

 いろはが俺の胸をどん、と押してきた。全然痛くないけど、怒りの圧がすごい。

 そんな様子を、あやめは黙って見ている。目を伏せ、でもほんの少しだけ俺の袖を握っていた。声は小さいけれど、その手が何かを言いたがっている気がした。

「……あの、悠真くん。今日、屋上に来てくれない?」

 思いもよらぬあやめの一言に、いろはがぴくっと反応する。

「ちょ、ちょっとあんた、悠真を呼び出すなんてどういうつもり!?え、まさか、告白とか……!?」

「…………うん」

「うん、て言ったあああああっ!!」

 いろはの叫びが廊下に響いた。でも俺の心は、それ以上にドクドクと音を立てていた。

 放課後、屋上には春の風が吹いていた。フェンスの前にあやめが立っていた。いつものようにうつむき加減で、けれどその瞳はまっすぐだった。

「悠真くん、ずっと……好きでした。子どものころから。……いろはちゃんにばかり怒ってるのを見るたび、ちょっとだけ……嫉妬してました」

 あやめの顔がほんのり赤く染まっていく。俺が何かを言おうとしたその瞬間——

「おーーーーーーーい!!悠真ああああああああああっっ!!!」

 いろはが全速力で屋上に駆け上がってきた。

「わ、待てっていろは、話の途中……」

「関係ない!あたしだって言うことあるもん!悠真、あんた、こっち向きなさいよ!!」

 怒鳴るいろはに振り返ると、彼女はプルプルと震えながら叫んだ。

「悠真のこと、好きに決まってるじゃない!!子どもの頃からずっとずっとずっと、好きだったの!!」

 そして、いきなり背伸びして、俺の頬にキスをした——が。

「……っ、く、くそっ、あと5センチ足りないっ!!」

 失敗。額にかすっただけだった。

「……ふふっ」

 それまで無表情だったあやめが、くすっと笑った。いろはがキッと睨む。

「なによ!笑ってんじゃないわよ!!」

「ご、ごめんなさい。……でも、いろはちゃんって、正直で、すごいなって」

 二人とも顔を真っ赤にして、でも俺をまっすぐ見つめている。俺は、心のどこかで分かっていた答えを、やっと口に出した。

「……俺は、どっちも大好きだ。けど……俺がちゃんと向き合いたいのは——」

 言葉を飲み込んで、俺はゆっくりと手を伸ばした。

 その手が触れた先の、彼女の手が、小さく震えていた。


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