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30件目 春風よりもまっすぐ
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春。桜が舞い、制服がまだ身体に馴染まない頃。
俺、拓真は新しく始まった高校生活に少し緊張しながら、校門の前に立っていた。風に乗ってひらひらと舞う花びら。その中に、誰よりも目立つ存在が歩いてくる。
「……マジでお前、ここ来たのかよ」
「なにそれ~、歓迎してくんないの?」
ヒール付きのローファーで歩く姿はモデルのように堂々としていて、肌はこんがり焼けた褐色。明るめの金髪に春色のカラコン。
その黒ギャルファッションを堂々と着こなす、俺の幼馴染・椎名美羽(しいな みう)。
昔から大人びていて、ちょっと怖いくらいの美人だったけど、今では誰が見ても振り返るほどの存在感になっていた。
「うちの高校、ギャルOKだったっけ」
「一応、校則内よ? スカート短くしてないし、ピアスも空いてないし。メイクも“ナチュラル風”でしょ?」
「“風”なだけな」
「うるさい」
笑って俺の肩を軽く小突いてくる。懐かしいやり取り。中学の途中で引っ越した美羽が戻ってくると知ったとき、内心ずっと落ち着かなかった。
俺にとって、美羽は“幼馴染”というには少し眩しすぎる存在だったから。
「拓真さ、彼女とかできた?」
「いきなりなんだよ」
「いや、久しぶりに戻ってきたから、気になって。ほら、私のこと忘れてたりするかなーって」
「……忘れてねーよ。忘れられるわけないだろ」
言った瞬間、自分でも驚くほど素直だった。でも、美羽はちょっと驚いた顔をして、それからふっと微笑んだ。
「じゃあ、聞いてもいい?」
「なにを」
「私のこと、今も……好き?」
桜がまた風に舞う。冗談のような空気。でも、美羽の目は真剣だった。
「……ずっと好きだったよ。小学生の頃から。中学の途中でお前がいなくなって、毎日つまんなかった」
「私も。あんたがいない街、ほんとに退屈だった」
どちらからともなく、歩き出す。校門から少し離れた裏の桜並木。入学式のあとで、誰もいないその道で、俺たちは並んで歩いた。
「……拓真」
「ん?」
「好きって言ってくれたの、嘘じゃないよね?」
「何度でも言ってやるよ」
「なら、証拠ちょうだい」
美羽が立ち止まって、振り返る。俺よりも高い目線。桜が揺れるその下で、彼女が目を閉じるのが見えた。
俺はそっと顔を近づけて、彼女の唇に、自分の唇を重ねた。
やわらかくて、あたたかくて、春の空気と混ざり合った、優しいキスだった。
「んっ……、えろぉっ、ちゅっ……ちゅぴっ……れろっ……」
離れたあと、美羽はちょっとだけ泣きそうな顔をして、でも笑った。
「……もう、どっか行ったりしないから」
「俺も、絶対手ぇ離さないから」
桜の下、幼馴染だったふたりは、ようやく“好きな人”になった。
春は、ちゃんと来てくれた。
「んっ……ちゅっんむ……っ、あむっれろっちゅぴっ、んっ……、れろれろれろっ、はぁっ……はぁっ……、あむっ、ちゅっ、ちゅぴっ、んっ……」
密着しながら目許を艶々させながら絡みつくも、何かの恐怖を押し退ける様に、美羽は肩で息をしてでも口許で揉み合いたがる。
「はぁっ……はぁっ……、しゅきぃ、ふ……っチュッ、んむ……っ、れろれろっ、ちゅくっ……ちゅここっ、ちゅぴっ、んっ……」
しがみつきながら舌と腰を使っては、長年の何かがにじみ出てきて止まらない美羽から、どうしても目が離せなかった。
俺、拓真は新しく始まった高校生活に少し緊張しながら、校門の前に立っていた。風に乗ってひらひらと舞う花びら。その中に、誰よりも目立つ存在が歩いてくる。
「……マジでお前、ここ来たのかよ」
「なにそれ~、歓迎してくんないの?」
ヒール付きのローファーで歩く姿はモデルのように堂々としていて、肌はこんがり焼けた褐色。明るめの金髪に春色のカラコン。
その黒ギャルファッションを堂々と着こなす、俺の幼馴染・椎名美羽(しいな みう)。
昔から大人びていて、ちょっと怖いくらいの美人だったけど、今では誰が見ても振り返るほどの存在感になっていた。
「うちの高校、ギャルOKだったっけ」
「一応、校則内よ? スカート短くしてないし、ピアスも空いてないし。メイクも“ナチュラル風”でしょ?」
「“風”なだけな」
「うるさい」
笑って俺の肩を軽く小突いてくる。懐かしいやり取り。中学の途中で引っ越した美羽が戻ってくると知ったとき、内心ずっと落ち着かなかった。
俺にとって、美羽は“幼馴染”というには少し眩しすぎる存在だったから。
「拓真さ、彼女とかできた?」
「いきなりなんだよ」
「いや、久しぶりに戻ってきたから、気になって。ほら、私のこと忘れてたりするかなーって」
「……忘れてねーよ。忘れられるわけないだろ」
言った瞬間、自分でも驚くほど素直だった。でも、美羽はちょっと驚いた顔をして、それからふっと微笑んだ。
「じゃあ、聞いてもいい?」
「なにを」
「私のこと、今も……好き?」
桜がまた風に舞う。冗談のような空気。でも、美羽の目は真剣だった。
「……ずっと好きだったよ。小学生の頃から。中学の途中でお前がいなくなって、毎日つまんなかった」
「私も。あんたがいない街、ほんとに退屈だった」
どちらからともなく、歩き出す。校門から少し離れた裏の桜並木。入学式のあとで、誰もいないその道で、俺たちは並んで歩いた。
「……拓真」
「ん?」
「好きって言ってくれたの、嘘じゃないよね?」
「何度でも言ってやるよ」
「なら、証拠ちょうだい」
美羽が立ち止まって、振り返る。俺よりも高い目線。桜が揺れるその下で、彼女が目を閉じるのが見えた。
俺はそっと顔を近づけて、彼女の唇に、自分の唇を重ねた。
やわらかくて、あたたかくて、春の空気と混ざり合った、優しいキスだった。
「んっ……、えろぉっ、ちゅっ……ちゅぴっ……れろっ……」
離れたあと、美羽はちょっとだけ泣きそうな顔をして、でも笑った。
「……もう、どっか行ったりしないから」
「俺も、絶対手ぇ離さないから」
桜の下、幼馴染だったふたりは、ようやく“好きな人”になった。
春は、ちゃんと来てくれた。
「んっ……ちゅっんむ……っ、あむっれろっちゅぴっ、んっ……、れろれろれろっ、はぁっ……はぁっ……、あむっ、ちゅっ、ちゅぴっ、んっ……」
密着しながら目許を艶々させながら絡みつくも、何かの恐怖を押し退ける様に、美羽は肩で息をしてでも口許で揉み合いたがる。
「はぁっ……はぁっ……、しゅきぃ、ふ……っチュッ、んむ……っ、れろれろっ、ちゅくっ……ちゅここっ、ちゅぴっ、んっ……」
しがみつきながら舌と腰を使っては、長年の何かがにじみ出てきて止まらない美羽から、どうしても目が離せなかった。
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