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 私は何故か王宮にいる。

 それも王妃様付きの侍女としているのだ。

 寝たきりになった王妃様のお世話をすることになったのだ。

 それも陛下直々に依頼があったので、私は渋々だが来ていた。

 ギドさんが一週間に一回来て、外に連れ出してくれるので何とかやっていけているが、もしそれがなければ無理だったと思う。

 「今日はとてもいい天気ですよ」

 「…………」

 「なので、外に出てみませんか?」

 「…………」

 こんな具合に全く反応しないのだ。

 「……お母さま……」

 少し迷ったが声をかけてみた。

 反応があった。

 それから私は毎日王妃様をお母様と呼び、少しずつだが反応を返してくれるようになったのだ。

 それは陛下にもわかるのか、陛下の言葉にも反応するようになったのだ。

 それには陛下も大喜びで、私を入れて親子の会話のようなことになっていたのだ。

 表情も豊かになってきて、笑うようになったのだ。

 「娘を失ってから徐々に表情を失ってきていたが、こんな姿は久しぶりだ」

 「よかったです。
 これで会話ができるようになればいいのですが……」

 本当は毎日毎日少しずつ薬を盛られたことによることだと思う。

 誰がと言われれば困るが、でも確実に毒なのはわかる。

 王妃様が笑うようになったのは、毒が少しずづ抜けたからに他ならない。

 後少しなのだ。

 新しい毒は摂取していない。

 毎日毒消しのお茶を飲ませ、解毒しているし感情が戻ればいいと思っている。

 その後は犯人を野放しにしてはまた同じなので、犯人捜しだ。

 今まで信じていた人間が犯人だと思うとやるせない。

 そこまでしなければ私の仕事は終わらないと思うのだ。

 最近は言葉を発するようにもなった。

 これは憶測でしかないが……毒をもった犯人と子供を誘拐した犯人は同一人物だと思う。

 後は……犯人だ。

 

 
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