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 俺は公爵家の三男として生まれました。

   両親は女の子が欲しかったらしいが、生まれたのが男だったため相当落胆したと言っていた。

   それでも俺が母そっくりな容姿のおかげでかなり溺愛されて育ったんだ。

 俺の名前はエリー・スワローズと言います。

 俺には生まれた時から前世の記憶があり、あまり泣かない子供だったので相当心配したそうです。

 俺の容姿は母に似ているらしく女性より男性の変態によく声を掛けられ、俺の身を案じた父と兄たちにより三歳になった俺に護身術変わりに剣術を習わせてくれた。

 おかげで一人でも変態を撃退することができるだけの力が着いた。

 将来は騎士をめざして今以上に頑張ろうと思う!

 兄たちが許してくれたらの話だけど、イヤ反対を押し切ってでもなるぞ。

 「俺のかわいいエリーはどこかな」

 「兄さまお帰りなさい」

 「かわいい、かわいいエリー今日は何をしたんだい」

 「今日はね、この国の歴史と算術と午後は剣術の練習だよ」

 「そうか、強くなるんだよ」

 「はい、兄様」

 無邪気に返事をしたが、はっきり言って辛いんです。

 俺の中身は40のオジサンなのに兄に対してかわいく装わなければならない。

 確かに鏡に映る俺は母の顔に似ているが釣り目で気の強そうな顔に見えるのでかわいいとは程遠いと思うのだが、兄たちの溺愛は半端ないのだ。

 俺ももうすぐ十歳になるが周りの同い年の子から見たら一回り小さいのだ。

 兄たちがいじめられるんじゃないかと心配して剣術を習っているのだが、前世は趣味で合気道やら古武術などいろいろな武術を習っていたので、記憶のある俺はそれを活用している。

 「明日はお城でお茶会ですよね、俺楽しみなんです」

 「そうか、兄たちはお茶会には入れないから頑張るんだよ」

 「はい、お友達できるといいな」

 俺は同い年の友達がいないので、お茶会が楽しみなのだ。

 今回のお茶会は王子様たちの婚約者と側近を決めるためのお茶会なのだ。

 「王子たちや他の子息たちに目をつけられたらと思うと兄たちは不安だよ」

 「大丈夫だよ、俺みたいなのを側近にするわけないじゃないか」

 「それでもだよ、もしかしたら女の子と間違えられるかもしれないじゃないか」

 「その時は母様のところに逃げ込みます」

 俺は自信満々に言ったが、兄たちは苦笑いするばかりだった。


 
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