僕は前世の知識を生かしのし上る……はず？

10

　どうにか納得のいく答えを得られたので、出ていくことはひとまず保留にした。

　それでも一緒に寝ることは譲れないらしく頑なに拒んだ。

　「ごめんね、一応縁談は来ているんだけど拒んでいるんだよね」

　「仕方ないですよ、奥さん亡くして一年ならまだ無理だし、子供たちのことを考えると継母になる人にはそれなりの気遣いをしてもらわなければならなくなるんですから」

　「……君は年相応かと思う時もあれば今みたいに年齢に見合わない物言いを言う」

　「……そうですか？」

　やばいです。

　やらかしちゃったかもしれません。

　中身中年のおっさんですから……

　「君の言う通りだよ、父上の為と思っていても受け入れられるか……」

　「なら、いいんじゃないですか」

　「父上には悪いけど、割り切れるようになるまで再婚は諦めてもらうよ」

　「……待ってください、そうなると俺はそれまで一緒にいなければならなくなるじゃないか！」

　「そういうことになるね、これからもよろしくね」

　第一王子はかわいらしく首を傾げて見せた。

　あざとかわいいじゃないか！

　しっかり受け継がれやがって、危うくうなずいちゃうところだった。

　「あれ、やっぱり父上のようにうまくはいきませんね」

　それには兄たちがハリセンで叩いていた。

　兄たちと何か言い合っているが、今の俺の耳には入ってこなかった。

　このままだと俺は童貞のままなのだろうか、恋人もできないよな。

　先の未来が見えて怖くなってきた。

　「どうしたの？」

　「……このままここにいたら恋人も結婚もできないんじゃないかと思って」

　「大丈夫だよ、その時は私がもらってあげるからね」

　「……大丈夫な案件じゃないです」

　「何勝手に婚約者宣言してるんですか！」

　「エリーは俺たちが一生面倒みるんだから結婚しなくって大丈夫だよ」

　「どれも嫌です！
　かわいい恋人欲しいし、可愛い奥さん欲しいです」

　早くもここから逃げ出したくなった俺はどうやって逃げ出すかを試案し始めた。