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二人、また出会う日まで。
俺はと言うと。
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君は今どうしてるんだろう。
俺は知る余地もなく、ただ時間だけが過ぎて。
愛しい気持ちと、悔しい気持ち、それから、
君が今どう思って、どんな風に感じてるのか知りたい。
宣戦布告してから、暫くが経つけれど、策なんてない。
連絡先はもう変わってるだろうし、どうしたものか。
家にいきなり行くのも、考え物だし、時間だけが過ぎていく。リア先生はと言うと、たまに睨んで、近寄るなとでも言いたげな雰囲気を醸し出している。怯むことなく、こちらも睨んでいると『レア先生とリア先生は不仲説』が出来てしまい、『彼女を取り合ってるらしい』などと、噂が広まってしまった。
たまたま、相談室に資料を届けに行くと、ミンティア先生にお茶に誘われる。日差しが入り、温かく眠くなりそうな温かい緑茶は、午後の授業のやる気を削ぎそうで、相談するのには冷めたお茶と温かいお茶、どっちがいいんでしょうねと会話しあう。
「応援してますよ。」
「ミンティア先生、絶対知ってましたよね。」
「何となく、はね。」
「流石の洞察眼、生徒の悩みを聞く養護教諭様ですね」
「控えおろうー。」
最近、ミンティア先生と仲が良い。「ティアナさんって、元生徒さんですね。ロリコンですか」ずばずば嫌なところを突いてくる。ミンティア先生は絶対に、Sだ。敵わない気がしてしまい、たじろいでしまう。
「たまには、楓先生とも話してあげて下さいね。」
「何で、楓先生なんですか?」
「私とばっかり喋るから、焼きもち妬いてますよ。」
「あはは、嬉しいなぁ。可愛い楓先生に妬かれたら嬉しいです。」
「…本気で言ってるんですか?あの子、レア先生の事が好きじゃないかなって思うんですけど。私の勘違いかなぁ~。あまり邪険にしちゃうと可愛そうですよ。」
「へ?」
「ふふ、レア先生は鈍感ですね。楓先生は、レア先生の事、好きなんですよ。」
「はぁっ!?」
思わず、真っ赤になって、がたと椅子から立ち上がってしまった。
「『そういうところが可愛い♡』って、よく相談受けてるんですよ。生徒同士がいちゃついてると、困りながら対応してたり。それなのに、女子と男子が喧嘩してると、颯爽と入って解決しちゃったり。父兄からの信頼も何気に厚いしですし。」
「そうなんですか」
「…掃除のおばちゃんとかめろきゅんになっちゃってるじゃないですか。…旦那さん居ますけどね。」
「ああ、あのゴミが多くて困ってたので、焼却炉まで運んでて、毎回それだと悪いって、おまんじゅうくれる田中さんですか」
「困った人、放っておけないですよね。」
くす、と笑うので、他には何かしたっけな?ときょとんとした顔になってしまったと思う。何気に観られてるんだな、気が抜けない。しかし、楓先生が…そんな風に見てたとは知らなかった。すると、ドアがからりと開き。
「ミンティアー!!レア先生がねー」
「「あ」」
「ひきゃあああああ!!れっ、レア先生。」
そんな可愛い反応を見ていると、ティアナみたいだなと笑う。すると、目がハートになってる楓先生を見て、可愛いと純粋に思った。けれど、それを知ったからと言って、自分の気持ちは一切揺るがない。それほどまでに、惚れてるんだなと苦笑すると、「ミンティア、レア先生に何吹き込んだのよー!!」と白衣の襟元を持って、がしがしと左右に揺らした。
見た目は、クールビューティなのに、可愛らしいとは思う。
「…楓先生、今晩空いてますか?」
「はい!!いつでも空いてます!!」
食い気味に話しに乗る楓に、話しておきたいと思った。いつもの居酒屋で待ち合わせて、先に来る。楓が遅れてくるのは、いつものことだった。
白いポロシャツに、ゴールドのチェーンのネックレス、ピンク色のプリーツスカート。髪はちょっと巻いてあった。明るい話を期待してだと思うと、申し訳なくなってきて、罪悪感が勝る。それでも、話しておきたかった。
「…楓。話したいことがあるんだけど。」
「私もレアに話したい事あったんだ。」
ーじゃあ、私が先ね。」
ふぅ、と呼吸を置いて、じっと熱い目で逸らさないで見つめた。
「好きです…私と付き合って貰えませんか。」
心は正直で、とっても嬉しかったし、自分のコンプレックスが浄化された気がした。
それでも、心音は上がっても、心は変わらない。
「とっても嬉しい。」
「じゃあ…」
「でも…俺は、ティアナが好きだ。」
言葉にすると、罪悪感よりも、気持ちが深まる。
ティアナに会いに行こう。ティアナの卒業するその時に。
例え、ダメでも。最期まで諦めない、勇気を、持とう。
もう付き合ってる人が居て、それでも。
好きなんだから仕方ない。
自分もそれまで頑張ろう。
彼女に見合うぐらいになるために。
「私は叶わなかったけど…頑張ってね。」
肩をばんと勢いよく叩くと、楓の目から涙が零れる。それでも
「あ、あれ、泣きたくないのに…。笑って送り出したいのに…ごめん…今、泣いてもいいかなぁ…」
泣きながら笑う、楓は可愛かったし、抱きしめてあげたかった。
「いいよ、泣いて。好きなだけ泣けよ。もとはと言えば、俺が悪いんだし…。」
「謝らないで!!ハンカチなんて要らないよ!…そういうとこ、好きだよ。」
突然、もう一度好きと言われて、嬉しかったし、気持ちに応えてあげたかった。それでも、こんなに自分みたいな人を好きになってくれた勇気、伝える勇気を見習いたかった。
「ありがとう。」
その勇気をくれたのは、楓だよ。楓のそういうところ、好きだよ。
そう言おうか悩んだけれど、敢えて言わなかった。
俺は知る余地もなく、ただ時間だけが過ぎて。
愛しい気持ちと、悔しい気持ち、それから、
君が今どう思って、どんな風に感じてるのか知りたい。
宣戦布告してから、暫くが経つけれど、策なんてない。
連絡先はもう変わってるだろうし、どうしたものか。
家にいきなり行くのも、考え物だし、時間だけが過ぎていく。リア先生はと言うと、たまに睨んで、近寄るなとでも言いたげな雰囲気を醸し出している。怯むことなく、こちらも睨んでいると『レア先生とリア先生は不仲説』が出来てしまい、『彼女を取り合ってるらしい』などと、噂が広まってしまった。
たまたま、相談室に資料を届けに行くと、ミンティア先生にお茶に誘われる。日差しが入り、温かく眠くなりそうな温かい緑茶は、午後の授業のやる気を削ぎそうで、相談するのには冷めたお茶と温かいお茶、どっちがいいんでしょうねと会話しあう。
「応援してますよ。」
「ミンティア先生、絶対知ってましたよね。」
「何となく、はね。」
「流石の洞察眼、生徒の悩みを聞く養護教諭様ですね」
「控えおろうー。」
最近、ミンティア先生と仲が良い。「ティアナさんって、元生徒さんですね。ロリコンですか」ずばずば嫌なところを突いてくる。ミンティア先生は絶対に、Sだ。敵わない気がしてしまい、たじろいでしまう。
「たまには、楓先生とも話してあげて下さいね。」
「何で、楓先生なんですか?」
「私とばっかり喋るから、焼きもち妬いてますよ。」
「あはは、嬉しいなぁ。可愛い楓先生に妬かれたら嬉しいです。」
「…本気で言ってるんですか?あの子、レア先生の事が好きじゃないかなって思うんですけど。私の勘違いかなぁ~。あまり邪険にしちゃうと可愛そうですよ。」
「へ?」
「ふふ、レア先生は鈍感ですね。楓先生は、レア先生の事、好きなんですよ。」
「はぁっ!?」
思わず、真っ赤になって、がたと椅子から立ち上がってしまった。
「『そういうところが可愛い♡』って、よく相談受けてるんですよ。生徒同士がいちゃついてると、困りながら対応してたり。それなのに、女子と男子が喧嘩してると、颯爽と入って解決しちゃったり。父兄からの信頼も何気に厚いしですし。」
「そうなんですか」
「…掃除のおばちゃんとかめろきゅんになっちゃってるじゃないですか。…旦那さん居ますけどね。」
「ああ、あのゴミが多くて困ってたので、焼却炉まで運んでて、毎回それだと悪いって、おまんじゅうくれる田中さんですか」
「困った人、放っておけないですよね。」
くす、と笑うので、他には何かしたっけな?ときょとんとした顔になってしまったと思う。何気に観られてるんだな、気が抜けない。しかし、楓先生が…そんな風に見てたとは知らなかった。すると、ドアがからりと開き。
「ミンティアー!!レア先生がねー」
「「あ」」
「ひきゃあああああ!!れっ、レア先生。」
そんな可愛い反応を見ていると、ティアナみたいだなと笑う。すると、目がハートになってる楓先生を見て、可愛いと純粋に思った。けれど、それを知ったからと言って、自分の気持ちは一切揺るがない。それほどまでに、惚れてるんだなと苦笑すると、「ミンティア、レア先生に何吹き込んだのよー!!」と白衣の襟元を持って、がしがしと左右に揺らした。
見た目は、クールビューティなのに、可愛らしいとは思う。
「…楓先生、今晩空いてますか?」
「はい!!いつでも空いてます!!」
食い気味に話しに乗る楓に、話しておきたいと思った。いつもの居酒屋で待ち合わせて、先に来る。楓が遅れてくるのは、いつものことだった。
白いポロシャツに、ゴールドのチェーンのネックレス、ピンク色のプリーツスカート。髪はちょっと巻いてあった。明るい話を期待してだと思うと、申し訳なくなってきて、罪悪感が勝る。それでも、話しておきたかった。
「…楓。話したいことがあるんだけど。」
「私もレアに話したい事あったんだ。」
ーじゃあ、私が先ね。」
ふぅ、と呼吸を置いて、じっと熱い目で逸らさないで見つめた。
「好きです…私と付き合って貰えませんか。」
心は正直で、とっても嬉しかったし、自分のコンプレックスが浄化された気がした。
それでも、心音は上がっても、心は変わらない。
「とっても嬉しい。」
「じゃあ…」
「でも…俺は、ティアナが好きだ。」
言葉にすると、罪悪感よりも、気持ちが深まる。
ティアナに会いに行こう。ティアナの卒業するその時に。
例え、ダメでも。最期まで諦めない、勇気を、持とう。
もう付き合ってる人が居て、それでも。
好きなんだから仕方ない。
自分もそれまで頑張ろう。
彼女に見合うぐらいになるために。
「私は叶わなかったけど…頑張ってね。」
肩をばんと勢いよく叩くと、楓の目から涙が零れる。それでも
「あ、あれ、泣きたくないのに…。笑って送り出したいのに…ごめん…今、泣いてもいいかなぁ…」
泣きながら笑う、楓は可愛かったし、抱きしめてあげたかった。
「いいよ、泣いて。好きなだけ泣けよ。もとはと言えば、俺が悪いんだし…。」
「謝らないで!!ハンカチなんて要らないよ!…そういうとこ、好きだよ。」
突然、もう一度好きと言われて、嬉しかったし、気持ちに応えてあげたかった。それでも、こんなに自分みたいな人を好きになってくれた勇気、伝える勇気を見習いたかった。
「ありがとう。」
その勇気をくれたのは、楓だよ。楓のそういうところ、好きだよ。
そう言おうか悩んだけれど、敢えて言わなかった。
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