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二人、また出会う日まで。
二人、また出会う日まで。
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「ティアナ、来るのが遅れてごめん」
それはまるでおとぎ話の王子様が迎えに来たみたいだった。
『忘れられない王子様』の最後みたいな、元婚約者を迎えに行く、ガラスの靴を持ち、薔薇の花束を持つ王子様みたいで、何も持ってないのに、そんな風に見えるんだから
どれだけ私はレアの事が好きなんだろう。胸が苦しいよ。もっとお洒落な服を着て、せめて着飾って貴方に会いたかったよ。
『狡いよ、何で今更来るのよ。馬鹿!』
そう言いたいのに、感動で目が潤む私が居て、自分の気持ちに嘘はつけないと思った。嘘みたいで、夢みたいで、今すぐその胸に飛び込みたいのを堪えた。背は高いままで、顔の皴が年月を語ってた。あの頃してない細いフレームの眼鏡をして、スーツを着て、私に頭を下げてきたものだから、私は完全に怒る隙を無くした。
「…迎えに来れなかったのは、父が亡くなったからなんだ。」
「え…。」
「迎えに行きたかった、でも、父があの日癌が見つかって、病院に呼び出された。気丈だった父が、他の女とあっさり再婚するようないい加減な父が、突如入院になって…父が、弱ってて、俺は亡くなるまで病院に通った。
献身的に面倒見ることがこんなに難しいなんて、看護師や医者は本当にすごいよ。」
自分の事を言われたようで、ドキッとした。
「今更…何しに来たの?」
そんな可愛げのない言葉しか、私には言えなかった。
「明日、朝待ってる。全部説明する。それで、ティアナに全てを委ねる。俺にチャンスをくれないか。」
そんな事、都合いいよ、と普通は言うかもしれない。それでも、私は彼を許した。
それが、私の望みでもあったから、どんな過去でも受け入れる強さを持つと決めた。それが私が愛する愛のカタチ。気持ちは変わらず、私は眠れない夜を過ごした。朝になり、レアが迎えに来ると、私はドキドキしてきた。
「お待たせ。」
「待ってないよ。」
手を握る事もせず、ただゆっくりと歩幅を合わせて歩く、それはレアが大人の女性をエスコートするものだと感じて、年月が経ったのをただ単純に嬉しく思った。何があったの?今まで何してた?触りたい…
「ティアナ?」
「あ…何でもない。」
伸ばした手を引っ込めた。レアは何もしゃべらなかったし、私も話さなかった。それでも、私は一緒に居られることの方が嬉しくて、このまま歩いて時間が経たなければいいのに、なんて考えた。それは受け止めるのとは違うよね。レアを好きになった時から、レアは真面目な人だった。話さなければいいのに、不器用な人ね。でも、
そんなあなたがずっと好きなんだよ。
私、お酒も飲めるようになったよ。吸わないけど、煙草も吸える年になったよ。したことないけど、未成年じゃなくなったんだから、性的な事もしていいんだよ。
キスして、抱いて。そんなことは中学生の時から思ってた。
電車に乗り、予想外の場所へと着いて、私は尻すぼみしそうだった。
「ここは…お墓?」
「うん、クレハのお墓だよ。」
レアは手に献花を持っていて、私が考え事をしているうちに、駅で買っていたらしい。手慣れた様子で、お墓を片付け、水を汲みに行ってくる、背を向けて走っていってしまった。私は、クレハさんと二人きりになる。レアが置いて行ったライターで線香に火をつけて、先に黙とうしながらクレハさんを見た。
「私と同じ顔をした、クレハさん、初めまして。」
答えはない。当たり前だ。
「…貴方がどんなことをしたかはわかりませんが、私はレアの味方です。
貴方が何をしたか知らないけれど、レアに何かしたんでしょう。
それで、楽しかったですか?あんな、素敵な人に殺意を向けられて、反省しましたか?
私は、レアが間違ったら、叱ってあげたい。レアが何か理由があってしたって信じたい…。」
きっと、クレハさんを睨む。透明な敵みたいに、クレハさんが現れたみたいだった。
「私は、貴方と違って、レアを許す。
これから先は、私が導く。」
息を思い切り吸って吐いた。
「レアがどんなに間違ってたって、貴方には負けない!!一回手放した貴方には勝てない!!レアが酷い人かもしれない。どんなに理由があったって、罪は罪。でも、罪を犯したからって、全部許されないなんて悲しいよ。私は、レアと一緒に生きていきたい。
レアが好きだから…。」
涙が零れて、止まらない。口も開いたのが、塞がらなかった。いざ、お墓を目の前にすると、実感が湧いて震える怖さ、これが向き合うと言う事。ジャリ、と言う音と共に、レアが現れ、聞かれたのかと慌てることもしなかった。思いもよらず抱き寄せられて、レアの心臓の音が私の心臓の音と重なって、それは必然みたいだったの。
それはまるでおとぎ話の王子様が迎えに来たみたいだった。
『忘れられない王子様』の最後みたいな、元婚約者を迎えに行く、ガラスの靴を持ち、薔薇の花束を持つ王子様みたいで、何も持ってないのに、そんな風に見えるんだから
どれだけ私はレアの事が好きなんだろう。胸が苦しいよ。もっとお洒落な服を着て、せめて着飾って貴方に会いたかったよ。
『狡いよ、何で今更来るのよ。馬鹿!』
そう言いたいのに、感動で目が潤む私が居て、自分の気持ちに嘘はつけないと思った。嘘みたいで、夢みたいで、今すぐその胸に飛び込みたいのを堪えた。背は高いままで、顔の皴が年月を語ってた。あの頃してない細いフレームの眼鏡をして、スーツを着て、私に頭を下げてきたものだから、私は完全に怒る隙を無くした。
「…迎えに来れなかったのは、父が亡くなったからなんだ。」
「え…。」
「迎えに行きたかった、でも、父があの日癌が見つかって、病院に呼び出された。気丈だった父が、他の女とあっさり再婚するようないい加減な父が、突如入院になって…父が、弱ってて、俺は亡くなるまで病院に通った。
献身的に面倒見ることがこんなに難しいなんて、看護師や医者は本当にすごいよ。」
自分の事を言われたようで、ドキッとした。
「今更…何しに来たの?」
そんな可愛げのない言葉しか、私には言えなかった。
「明日、朝待ってる。全部説明する。それで、ティアナに全てを委ねる。俺にチャンスをくれないか。」
そんな事、都合いいよ、と普通は言うかもしれない。それでも、私は彼を許した。
それが、私の望みでもあったから、どんな過去でも受け入れる強さを持つと決めた。それが私が愛する愛のカタチ。気持ちは変わらず、私は眠れない夜を過ごした。朝になり、レアが迎えに来ると、私はドキドキしてきた。
「お待たせ。」
「待ってないよ。」
手を握る事もせず、ただゆっくりと歩幅を合わせて歩く、それはレアが大人の女性をエスコートするものだと感じて、年月が経ったのをただ単純に嬉しく思った。何があったの?今まで何してた?触りたい…
「ティアナ?」
「あ…何でもない。」
伸ばした手を引っ込めた。レアは何もしゃべらなかったし、私も話さなかった。それでも、私は一緒に居られることの方が嬉しくて、このまま歩いて時間が経たなければいいのに、なんて考えた。それは受け止めるのとは違うよね。レアを好きになった時から、レアは真面目な人だった。話さなければいいのに、不器用な人ね。でも、
そんなあなたがずっと好きなんだよ。
私、お酒も飲めるようになったよ。吸わないけど、煙草も吸える年になったよ。したことないけど、未成年じゃなくなったんだから、性的な事もしていいんだよ。
キスして、抱いて。そんなことは中学生の時から思ってた。
電車に乗り、予想外の場所へと着いて、私は尻すぼみしそうだった。
「ここは…お墓?」
「うん、クレハのお墓だよ。」
レアは手に献花を持っていて、私が考え事をしているうちに、駅で買っていたらしい。手慣れた様子で、お墓を片付け、水を汲みに行ってくる、背を向けて走っていってしまった。私は、クレハさんと二人きりになる。レアが置いて行ったライターで線香に火をつけて、先に黙とうしながらクレハさんを見た。
「私と同じ顔をした、クレハさん、初めまして。」
答えはない。当たり前だ。
「…貴方がどんなことをしたかはわかりませんが、私はレアの味方です。
貴方が何をしたか知らないけれど、レアに何かしたんでしょう。
それで、楽しかったですか?あんな、素敵な人に殺意を向けられて、反省しましたか?
私は、レアが間違ったら、叱ってあげたい。レアが何か理由があってしたって信じたい…。」
きっと、クレハさんを睨む。透明な敵みたいに、クレハさんが現れたみたいだった。
「私は、貴方と違って、レアを許す。
これから先は、私が導く。」
息を思い切り吸って吐いた。
「レアがどんなに間違ってたって、貴方には負けない!!一回手放した貴方には勝てない!!レアが酷い人かもしれない。どんなに理由があったって、罪は罪。でも、罪を犯したからって、全部許されないなんて悲しいよ。私は、レアと一緒に生きていきたい。
レアが好きだから…。」
涙が零れて、止まらない。口も開いたのが、塞がらなかった。いざ、お墓を目の前にすると、実感が湧いて震える怖さ、これが向き合うと言う事。ジャリ、と言う音と共に、レアが現れ、聞かれたのかと慌てることもしなかった。思いもよらず抱き寄せられて、レアの心臓の音が私の心臓の音と重なって、それは必然みたいだったの。
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