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WEBサイト版別バージョン編
冷えた熱情。
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熱情と言う熱く燃やされたガラスが冷やされ、綺麗なガラス細工として生まれ変わる。
そんな素敵な御伽噺の世界が、
私にもあったらいいのになぁ。
私は、何故か傷心旅行にあれから旅立ってしまった。
もう一緒に棲めないので、私は結局実家に帰ってきた。
流石にいつもならミーハーな母も、私にわざわざ訊くような野暮な真似はせず、私に少し出かけて来たら?
と、旅行用のパンフレットを渡してくれた。
初めての一人だけの旅に心臓は踊るように軽くなる。
それでも、時折車窓から覗く景色を一緒に見るような人が居ないのは少し寂しいもので。
駅でキスしてるようなカップルをジト目で見てしまいそうになる私が心が狭くて苦笑してしまう。
ガタンゴトン揺られながら、
メシア君とこんな風に旅に出たかったと心底思って目頭が熱くなった。
「君」をつけるのは、もう以前の「友人」に戻った証だと思うと、心に亀裂が走るように痛んだ。
あの出て行った二人の暮らしていた部屋には、私の代わりにシアンが来るんだろうか?
いいや、メシア君は引っ越して一緒に棲むんだと言っていたから、それはないか。
私は「シアン」だったら、絶対幸せになれると信じてる。
だから、相手はシアンで良かったと心から願うことが出来た。
メシア君が、キスしてくれた唇を手でなぞり、グロスのべたつきがとれることはもうない。
こんな風に考えてる自分が未練がましくて嫉妬深いと知り、嫌になるの。
メシア君のご両親が家に遊びに来て、泊まって行ったときに、隣の部屋で「しー」と言いながらキスしてくれた唇が、もう誰もキスしてくれないのでは、と感傷的になってしまう。
観光地を楽しく回るカップルを見たり、キスしたりしてるカップルを見ると妬いてしまう。
「あの…紫苑工房はどちらですか?」
「ああ~、あの山をサクッと登ったとこだよ」
「ありがとうございます」
森が続く山を、スニーカーと軽装で来たのが間違いだったのかも。
結構重装備で来ている人が多い中、看護婦見習の私は結構体力には自信があったのだけど…
―きついわ。
あの御婆ちゃん、サクッとって。
今さらそんな事を思っても仕方なかったけれど、
息を切らし、次第に汗を流し、タオルで軽く拭きながら、工房にたどり着く。
新緑が眩しい、初夏の陽気。汗をかくのが心地よいと感じながらの山はキラキラ輝いていた。
「まぁ、いらっしゃい。」
「お世話になります。」
「ここには隣に宿もあるから、ゆっくりお風呂でも入って来たら?すっきりするわよ」
その管理人さんの一言に私は早めに宿をとり、予約の時間まである時間をお風呂で過ごすことにした。
「ふぅ…」
意外と山の奥なのに、若い女性が多いなぁと思いながらつい見てしまう私のAカップを。
何でこれだけは大人になっても変わらないんだろう。神様酷いよ。
温泉に浸かりながら効能を見ると、横に居たお姉さんたちが話す話に耳を疑う。
「レアがさぁ~」
…その名前を聞いて懐かしくなるよりも、胸が軋む。
ざわざわする心がもやもやするので、避けて早く部屋に戻ろうとした。
「レア、私と付き合ってるのにHばっかなんだけど!!私セフレ!?酷い!!!」
戻ろうとする足を止めて、耳を澄ました。
「え~、美憂もう諦めなよ~。あの人割り切った女としか付き合わないし、去る者も追わないじゃん。
こないだも私の友人がアタックしたけど、自分の事本気で好きな女と付き合わないって言ってたよ~。
ただやりたいだけじゃん!!女は大人の玩具じゃないっての!」
あ、きっとレアはそんなことしない。
そう心が晴れたのも次の言葉で打ち砕かれる。
「私立の中学校教員らしいんだけどさ、目もどこか病んでて口も八重歯生えてるし、顔もイケメンじゃないくせに生意気なのよ!ちょっと暗い過去あってもいいって言ったのにさぁ」
ドキン。
レアは女の人とそんな風にしてたの??
私の事もそういうのが目当てだったの???
レア、今どうしてるの??
お風呂に上がってからも、「美憂」さんのことが頭から離れない。
こそっとどんな女性だろうと横目で見ると、Iカップぐらいある巨乳にウエストは引き締まってて、顔は物凄い可愛い女の子だったので、話す内容は20代だと思ったけれど私と同じぐらいかもしれない。
心の中がレアで一杯になってしまう。
私はレアを裏切ったのに、メシア君に振られたのに。
それでもどこかで、レアの事は忘れられなかった。
部屋に戻り、ガラスの工房へ向かい、ガラス細工を体験した。
溶ける熱、熱く燃え上がる焔に興奮しながらも、
私は美憂さんが居ないか探してしまうのだった。
「物語みたいですね!!」
「そうかしら??私もこの筋の職人だからね、可愛い子にはお茶サービスしちゃうわ」
ウインクの可愛らしいおばあさんの職人さんは、私にガラス細工の作り方を事細かに教えてくれた。
その話が面白くて、失恋したことやレアの話は少し吹き飛んでしまう。
美憂さんのことを気にしててもしょうがない!
「すごーい!!!綺麗なガラス細工…!!」
出来上がったコップにうっかりしていて、
「…よ、良かったら飲んでね。泊まりだからいいわよね」
「はい!!綺麗です!!!」
とぷとぷ注がれた物が、なにかも知らずに調子乗ってごくごく飲んでしまった。
目の前がゆらゆらになって、
私は意識を失った。
誰かが優しく運んでくれてるような、広い胸板を感じながら、目が覚めたら私の目の前には、
レアが居た。
そんな素敵な御伽噺の世界が、
私にもあったらいいのになぁ。
私は、何故か傷心旅行にあれから旅立ってしまった。
もう一緒に棲めないので、私は結局実家に帰ってきた。
流石にいつもならミーハーな母も、私にわざわざ訊くような野暮な真似はせず、私に少し出かけて来たら?
と、旅行用のパンフレットを渡してくれた。
初めての一人だけの旅に心臓は踊るように軽くなる。
それでも、時折車窓から覗く景色を一緒に見るような人が居ないのは少し寂しいもので。
駅でキスしてるようなカップルをジト目で見てしまいそうになる私が心が狭くて苦笑してしまう。
ガタンゴトン揺られながら、
メシア君とこんな風に旅に出たかったと心底思って目頭が熱くなった。
「君」をつけるのは、もう以前の「友人」に戻った証だと思うと、心に亀裂が走るように痛んだ。
あの出て行った二人の暮らしていた部屋には、私の代わりにシアンが来るんだろうか?
いいや、メシア君は引っ越して一緒に棲むんだと言っていたから、それはないか。
私は「シアン」だったら、絶対幸せになれると信じてる。
だから、相手はシアンで良かったと心から願うことが出来た。
メシア君が、キスしてくれた唇を手でなぞり、グロスのべたつきがとれることはもうない。
こんな風に考えてる自分が未練がましくて嫉妬深いと知り、嫌になるの。
メシア君のご両親が家に遊びに来て、泊まって行ったときに、隣の部屋で「しー」と言いながらキスしてくれた唇が、もう誰もキスしてくれないのでは、と感傷的になってしまう。
観光地を楽しく回るカップルを見たり、キスしたりしてるカップルを見ると妬いてしまう。
「あの…紫苑工房はどちらですか?」
「ああ~、あの山をサクッと登ったとこだよ」
「ありがとうございます」
森が続く山を、スニーカーと軽装で来たのが間違いだったのかも。
結構重装備で来ている人が多い中、看護婦見習の私は結構体力には自信があったのだけど…
―きついわ。
あの御婆ちゃん、サクッとって。
今さらそんな事を思っても仕方なかったけれど、
息を切らし、次第に汗を流し、タオルで軽く拭きながら、工房にたどり着く。
新緑が眩しい、初夏の陽気。汗をかくのが心地よいと感じながらの山はキラキラ輝いていた。
「まぁ、いらっしゃい。」
「お世話になります。」
「ここには隣に宿もあるから、ゆっくりお風呂でも入って来たら?すっきりするわよ」
その管理人さんの一言に私は早めに宿をとり、予約の時間まである時間をお風呂で過ごすことにした。
「ふぅ…」
意外と山の奥なのに、若い女性が多いなぁと思いながらつい見てしまう私のAカップを。
何でこれだけは大人になっても変わらないんだろう。神様酷いよ。
温泉に浸かりながら効能を見ると、横に居たお姉さんたちが話す話に耳を疑う。
「レアがさぁ~」
…その名前を聞いて懐かしくなるよりも、胸が軋む。
ざわざわする心がもやもやするので、避けて早く部屋に戻ろうとした。
「レア、私と付き合ってるのにHばっかなんだけど!!私セフレ!?酷い!!!」
戻ろうとする足を止めて、耳を澄ました。
「え~、美憂もう諦めなよ~。あの人割り切った女としか付き合わないし、去る者も追わないじゃん。
こないだも私の友人がアタックしたけど、自分の事本気で好きな女と付き合わないって言ってたよ~。
ただやりたいだけじゃん!!女は大人の玩具じゃないっての!」
あ、きっとレアはそんなことしない。
そう心が晴れたのも次の言葉で打ち砕かれる。
「私立の中学校教員らしいんだけどさ、目もどこか病んでて口も八重歯生えてるし、顔もイケメンじゃないくせに生意気なのよ!ちょっと暗い過去あってもいいって言ったのにさぁ」
ドキン。
レアは女の人とそんな風にしてたの??
私の事もそういうのが目当てだったの???
レア、今どうしてるの??
お風呂に上がってからも、「美憂」さんのことが頭から離れない。
こそっとどんな女性だろうと横目で見ると、Iカップぐらいある巨乳にウエストは引き締まってて、顔は物凄い可愛い女の子だったので、話す内容は20代だと思ったけれど私と同じぐらいかもしれない。
心の中がレアで一杯になってしまう。
私はレアを裏切ったのに、メシア君に振られたのに。
それでもどこかで、レアの事は忘れられなかった。
部屋に戻り、ガラスの工房へ向かい、ガラス細工を体験した。
溶ける熱、熱く燃え上がる焔に興奮しながらも、
私は美憂さんが居ないか探してしまうのだった。
「物語みたいですね!!」
「そうかしら??私もこの筋の職人だからね、可愛い子にはお茶サービスしちゃうわ」
ウインクの可愛らしいおばあさんの職人さんは、私にガラス細工の作り方を事細かに教えてくれた。
その話が面白くて、失恋したことやレアの話は少し吹き飛んでしまう。
美憂さんのことを気にしててもしょうがない!
「すごーい!!!綺麗なガラス細工…!!」
出来上がったコップにうっかりしていて、
「…よ、良かったら飲んでね。泊まりだからいいわよね」
「はい!!綺麗です!!!」
とぷとぷ注がれた物が、なにかも知らずに調子乗ってごくごく飲んでしまった。
目の前がゆらゆらになって、
私は意識を失った。
誰かが優しく運んでくれてるような、広い胸板を感じながら、目が覚めたら私の目の前には、
レアが居た。
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