幸せが終わるとき。(完結)

紫苑

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あの夜の出来事。

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「ふぅ…っ、やぁ…っ、ぅうん」

恥ずかしそうに身を捩れば、レアが身体中を優しく愛撫してその上で感じるように舐められれば身体中が反応してしまい、その様子を見て嬉しそうにレアのキスの嵐が降ってきた。胸に先端にお腹に言えないところに、声が響く防音の部屋は羞恥を煽って、逃がしてはくれなかった。

「恥ずかし…レア、恥ずかしいの…見ないで…」
「ここはこんなに濡れてるのに?」
「ひゃぁっ…意地…悪…やぁっっ!!ふっ…ぁあっ…ん…」

下半身の方に髪が当たるとくすぐったいのと同時に、下を見れば頭だけ見え水音と共に口先で愛される。それはそれで恥ずかしくて、前言撤回して、今からでも女として見ないで欲しいと言いたくなった。とっても嬉しいのと同時に、劣情を掻き立てられるのと、熱の籠った視線が何だか愛らしい。それは私が女として見られてると、つまり性的対象であると言うことを教えてくれてるようで、何だか気恥ずかしい。

一瞬、キスの嵐が止んだと思って、残念な気持ちと未練がましく逃避の気持ちが交差して、ほっとしたのもつかの間だった。

「ぇっ…?ひゃっ…ひゃぁあぁっ…!!レアッ…辞め…」

何で察したのか自分でも分からないのだが、何だか悪い予感がした。瞬間、顔を上げたレアがニヤリと意地悪に笑う。顔がまた下半身に向けられ、明らかにびっしょりになっている自分の一番敏感な部分を音を立てて思い切り痛くないように吸い上げられる。

「やぁああぁあ!!!ひゃ…ぅ、や!!やぁんっ…」

何だか分からない感覚に身体中の芯が感じる。私は頭が真っ白になった。
快楽に流されて、イってしまう。その余韻をひくひくとパクパクと下半身が彼の下半身を覆いかぶさり、雄を待っている事に気が付くと、意識はぼーっとしながらも顔が真っ赤になる。

「ティアナはエッチだなぁ、そんなに口を開けて待って居るのが可愛い…。」

とすと、覆いかぶさって耳元で囁かれるとゾクリと敏感になった体が正直に期待した。
「…でも、ティアナから言わないと何もしないよ?
…言って御覧?」
「そんな…やぁ…ごめ…なさ…恥ずかし…」
「言って?俺が欲しいって。」
カリと耳朶を噛まれて、「ふぅ!」と感じてしまう。
でも、恥ずかしさよりこれから先をまだかまだかと待ち望む自分が厭らしいと思った。
胸を優しく揉みながら、先端を弄られながら、レアが優しい顔で笑う。ドキンと胸が優しく鳴って、
「レアが…欲しい…か、かき乱して…もっ…もっと…」
顔中に熱が籠ると、カーッと身体中が熱い。ベットに置いてシーツを掴んでいた手を、レアの背中に回した。

「俺、中に出すけど…いいの…?今日ティアナが来ないと思ってゴムないんだよね」
突然、現れた打開策に死にそうなほど恥ずかしくなった。
ここで引き返せばまだ間に合うのかもしれない。
「そんな…今更…だったら」
「『最初から?』都合いいよなぁ…こんなに欲しくて待ってるのにごめんな。
俺の事で困ってる顔が見たくって…」

そう言うレアの顔は切なげに笑った。
悲しくて儚くて消えてしまいそうで、私は息が詰まった。
「ごめん、最後に何度かティアナをイかせてから、帰らせるから。」
優しくて切ないキス。そこから舌が割入って、私は申し訳なさで涙が零れた。
その涙をペロと舐めると、嬉しそうな嘘の笑いで胸が苦しくなった。
キスしながら、下半身に入る指先が自然なほどに優しくて、いつもこうしているような仕草で空しかった。その一つ、一つと遠慮して入る仕草が、レアは未だに私を「女の子」として遠慮なく行為が出来る「女」として見られてないのがとても気恥ずかしい。何誤解してたんだろう、こんな泣きそうな顔をさせて、こんなに残酷なことして、最低だ—。

何度か意識が真っ白になるほど、声が喘いで少し枯れていた。
頬を緩やかに撫でると、
「ティアナ、ごめんね、最後にお願い。
俺の舐めて一回だけイかせて。」
レアが涙を零して泣いていた。
これが「最後」で、もう来ないと分かっていたから。
「うん…」
躊躇いは少しだけ。私は下半身に移動すると、ちゅっちゅっと少しずつキスをした。
「くすぐってぇ」と最初は笑っていたけれど、段々口に含むと髪をそっと撫でた。
その髪を片手で掬うと、銀髪にキスを落とす。女として少しは見られたのかなと思うよりも先に、一生懸命喜ばせることを考える。

「あっ…あぁっ…ティア…ナ、すっげぇ…いい…っ」
舌で転がすと、甘い声が聞こえて、もっと聞きたいと自然に思う。
「やぁ…っや…だ。これで終わり何て…やだぁっ…ぁあっ…ぁああっ!!」
念入りに舐めて、スライドさせては吸って口の中に苦い液体が吐き出される。
そんな可愛い我儘はいつまでも聞いては私の中の雌が苛め倒してみたいのだけど、
一気に夢は終わり、現実に帰った。

「帰れよ」

余韻もなく、私はレアの胸にくっついていた手を悲しく思った。
触らなきゃ良かった、こんなに汚れてしまった手で、身体で、心で。
絞り出すような声で、壊れてしまいそうな雰囲気で笑った。

「お前なんか好きにならなきゃ…良かった。じゃなかったら、こんなに…こんなに…。
最低だよ。好きになるなんてありえない。リップサービスなんだよ…
触るなよ、お前何て嫌いだ…帰れよ、『旦那ティエ』のところに。」

ズキリと頭に鉛が落ちる。胸が痛くってしょうがない。
それでも抱きしめて壊れるほどにティエを裏切って、
そんなことをしたら、レアが『本当に壊れてしまう』。

「私だって…レアの事嫌いだから。
最初から好きになるわけ…ないじゃない。」

声が震えて、人生最大の嘘を付く。
違う、言いたいのはこれじゃない。

「レアなんて、ティエと比べたら矮小で焼餅焼きでお粗末だし?」

違う。そんなこと思ってない!!

「全然カッコよくないし、話し上手でもないし??」

—やだ、辞めて!!

「全然…女の子としか見て貰えないんだったら、

『女』として見てくれる方がいいから!!」

途端に涙が溢れそうなのをガリッと唇を噛んで堪えた。
痛みが痛みで上書きされて、私はそこまで嘘をついたのは誰の前でもなかった。
『可愛い』『いい子だね』そんな台詞望んでない!
『ティアナさん、また彼氏盗ったんだね~』『ティアナと居ると評判上がるんだよね』
『可愛いから何でも我儘言ってるんじゃない?』『成績良くって、何様?』『お零れ貰えてラッキー』

—『可哀想。誰からも本当には愛して貰えなくって』

違う、レアだけは違うよ。

本当はレアじゃなくって、

私は誰よりも『女』で、

全然可愛く何てないんだよ。

狡い心を隠していい子で居なくちゃ文句言われて本当はとても嫌なんだよ。

成績が良くて?
努力が当たり前?
全てが当たり前なの??

馬鹿にしてるの??

私だって、本当は、本当は、本当は…

抱きしめられるだけ何て嫌。
遠慮がちに触られるのも嫌。
強引に唇を奪えばいい。
ってしまえばいいのに。

頭では分かってる。

『大事』にされていて、
それがとても『贅沢』と言うことも『我儘』ということも。

「私、帰る。ありがとう。」

洋服を羽織って、シャツのボタンを留めた。
そのすべてが皺になってるのを「あーあ」と思いながら、
皺はアイロン掛けたらなくなるように、この関係も…
全部スーツを着ると、ヒールの靴の響く音はお別れの合図。

—さようなら。

とてもしゃくだけど、

愛しい人に。

こうして、ティエの元へ戻った。
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