53 / 78
第7章
彩夏の存在 1
しおりを挟む
テストの結果発表から一夜が明けて、
「柴崎さんは体調不良でお休みです」
と担任の濱田先生が言った。ここまで欠席のなかった彩夏の休みに僕は胸の奥の気持ち悪さを感じた。ただの体調不良なんだろうか。
疲れが出たのかもしれない、そう思っていたが、彩夏は二日続けて休んだ。
「彩夏、どうしたのかな」
そんな会話がクラスの中で聞こえた。ここまで引っ張ってきた彩夏の不在の影響は大きい。
蒼真のように1位も2位も「すごい」という同列に思う奴は、彩夏が2位に落ちたから休んだとは考えもしないかもしれない。もちろん、彩夏が本当に順位のことで休んだかなんてわからない。でも、僕はそうなんじゃないかと思っていた。だからといって、僕はみんなにどう言うべきなのかわからず、ぼんやりと授業を受けていた。
どこか集中できないまま一日が過ぎて、放課後になった。
絵理沙、柚葉と衣装について、いつお店に観に行こうかという話になっていたが、
「彩夏がいないと予定が決められないねぇ。振り付けも確認とかしたいんだけどな」」
と柚葉が腕組みをしながら言った。
「曲は決まってるわけだし、一旦、私たちだけで下見とかしてくる? AC-BEがどんなの着てるとか見せてもらったし、イメージはあるし」
「そうだなー……。でも、彩夏がいたほうが」
僕が言うと、絵理沙は軽く唇を噛んで黙った。しばらくしてから、
「でも……、明日になったら来るかって保証がないよね? 予定は決めていかないと間に合わなくなるよ」
と言った。厳しい口調だったが絵理沙の言っていることは正しかった。みんなの都合もあるし、予定は決めるしかないかと思っていると、美咲が教室に入ってきた。手にはクリアファイルがあった。
「何持ってるんだ?」
「彩夏に渡すプリント。あとこの2日間のノート貸そうかなって」
美咲が言った。
「お見舞いに行くってこと?」
柚葉の問いに美咲は頷く。
「うん、ちょっと気になるしね。2日も休むなんてさ、転校してきてから初めてだし、様子を見てくるよ」
「うん、それがいいかもだね」
柚葉が同意した。胸の中にモヤモヤしたものがあった僕は、同意はもちろんだったが、僕が動かなければならないような気がした。
「オレも行くよ」
と言うと、周りのみんなは驚いた顔をした。
美咲と同じく僕も気になっている。様子を見たいのも同じだ。
美咲もみんなと同じく驚いたような顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「佑も行くの?」
「うん。やっぱオレも様子が気になるし。早く復帰してくれないと決めれないこともあるしな」
柚葉も頷いた。美咲は「そうだね」と言ってから、
「場所知ってるの?」
と僕に尋ねた。
「わかるよ。地区センター近くの畳屋の隣の家だろ」
「うん、そこ。わかった。じゃ、行こう」
「おう」
「ほら、早くカバン持って。時間がもったいない」
まるで母親みたいに美咲は僕の出発を促した。僕は打ち合わせの続きはまた明日と柚葉、絵理沙に話したからカバンの準備をした。廊下に出てから、美咲と廊下を小走りしていると、
「何を話すか、考えといてね」
と美咲が言った。僕が彩夏を気にしているのは、成績の結果のせいじゃないかと思っていることを察してくれているのかもしれない。
「ああ」
そう応えると美咲は微笑んだ。僕たちは並んで自転車置き場に向かった。
「柴崎さんは体調不良でお休みです」
と担任の濱田先生が言った。ここまで欠席のなかった彩夏の休みに僕は胸の奥の気持ち悪さを感じた。ただの体調不良なんだろうか。
疲れが出たのかもしれない、そう思っていたが、彩夏は二日続けて休んだ。
「彩夏、どうしたのかな」
そんな会話がクラスの中で聞こえた。ここまで引っ張ってきた彩夏の不在の影響は大きい。
蒼真のように1位も2位も「すごい」という同列に思う奴は、彩夏が2位に落ちたから休んだとは考えもしないかもしれない。もちろん、彩夏が本当に順位のことで休んだかなんてわからない。でも、僕はそうなんじゃないかと思っていた。だからといって、僕はみんなにどう言うべきなのかわからず、ぼんやりと授業を受けていた。
どこか集中できないまま一日が過ぎて、放課後になった。
絵理沙、柚葉と衣装について、いつお店に観に行こうかという話になっていたが、
「彩夏がいないと予定が決められないねぇ。振り付けも確認とかしたいんだけどな」」
と柚葉が腕組みをしながら言った。
「曲は決まってるわけだし、一旦、私たちだけで下見とかしてくる? AC-BEがどんなの着てるとか見せてもらったし、イメージはあるし」
「そうだなー……。でも、彩夏がいたほうが」
僕が言うと、絵理沙は軽く唇を噛んで黙った。しばらくしてから、
「でも……、明日になったら来るかって保証がないよね? 予定は決めていかないと間に合わなくなるよ」
と言った。厳しい口調だったが絵理沙の言っていることは正しかった。みんなの都合もあるし、予定は決めるしかないかと思っていると、美咲が教室に入ってきた。手にはクリアファイルがあった。
「何持ってるんだ?」
「彩夏に渡すプリント。あとこの2日間のノート貸そうかなって」
美咲が言った。
「お見舞いに行くってこと?」
柚葉の問いに美咲は頷く。
「うん、ちょっと気になるしね。2日も休むなんてさ、転校してきてから初めてだし、様子を見てくるよ」
「うん、それがいいかもだね」
柚葉が同意した。胸の中にモヤモヤしたものがあった僕は、同意はもちろんだったが、僕が動かなければならないような気がした。
「オレも行くよ」
と言うと、周りのみんなは驚いた顔をした。
美咲と同じく僕も気になっている。様子を見たいのも同じだ。
美咲もみんなと同じく驚いたような顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「佑も行くの?」
「うん。やっぱオレも様子が気になるし。早く復帰してくれないと決めれないこともあるしな」
柚葉も頷いた。美咲は「そうだね」と言ってから、
「場所知ってるの?」
と僕に尋ねた。
「わかるよ。地区センター近くの畳屋の隣の家だろ」
「うん、そこ。わかった。じゃ、行こう」
「おう」
「ほら、早くカバン持って。時間がもったいない」
まるで母親みたいに美咲は僕の出発を促した。僕は打ち合わせの続きはまた明日と柚葉、絵理沙に話したからカバンの準備をした。廊下に出てから、美咲と廊下を小走りしていると、
「何を話すか、考えといてね」
と美咲が言った。僕が彩夏を気にしているのは、成績の結果のせいじゃないかと思っていることを察してくれているのかもしれない。
「ああ」
そう応えると美咲は微笑んだ。僕たちは並んで自転車置き場に向かった。
23
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
初恋♡リベンジャーズ
遊馬友仁
青春
【第五部開始】
高校一年生の春休み直前、クラスメートの紅野アザミに告白し、華々しい玉砕を遂げた黒田竜司は、憂鬱な気持ちのまま、新学期を迎えていた。そんな竜司のクラスに、SNSなどでカリスマ的人気を誇る白草四葉が転入してきた。
眉目秀麗、容姿端麗、美の化身を具現化したような四葉は、性格も明るく、休み時間のたびに、竜司と親友の壮馬に気さくに話しかけてくるのだが――――――。
転入早々、竜司に絡みだす、彼女の真の目的とは!?
◯ンスタグラム、ユ◯チューブ、◯イッターなどを駆使して繰り広げられる、SNS世代の新感覚復讐系ラブコメディ、ここに開幕!
第二部からは、さらに登場人物たちも増え、コメディ要素が多めとなります(予定)
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
ここは世田谷豪徳寺
武者走走九郎or大橋むつお
青春
佐倉さくら 自己紹介するとたいていクスっと笑われる。
でも、名前ほどにおもしろい女子じゃない。
ないはずなんだけど、なんで、こんなに事件が多い?
そんな佐倉さくらは、世田谷は豪徳寺の女子高生だぞ。
ルピナス
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。
そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。
物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。
※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。
※1日3話ずつ更新する予定です。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる