見えない明日に揺れる僕たちは

多田莉都

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第7章

彩夏の存在 1

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 テストの結果発表から一夜が明けて、

「柴崎さんは体調不良でお休みです」

 と担任の濱田先生が言った。ここまで欠席のなかった彩夏の休みに僕は胸の奥の気持ち悪さを感じた。ただの体調不良なんだろうか。

 疲れが出たのかもしれない、そう思っていたが、彩夏は二日続けて休んだ。

「彩夏、どうしたのかな」

 そんな会話がクラスの中で聞こえた。ここまで引っ張ってきた彩夏の不在の影響は大きい。
 蒼真のように1位も2位も「すごい」という同列に思う奴は、彩夏が2位に落ちたから休んだとは考えもしないかもしれない。もちろん、彩夏が本当に順位のことで休んだかなんてわからない。でも、僕はそうなんじゃないかと思っていた。だからといって、僕はみんなにどう言うべきなのかわからず、ぼんやりと授業を受けていた。
 どこか集中できないまま一日が過ぎて、放課後になった。
 絵理沙、柚葉と衣装について、いつお店に観に行こうかという話になっていたが、

「彩夏がいないと予定が決められないねぇ。振り付けも確認とかしたいんだけどな」」

 と柚葉が腕組みをしながら言った。

「曲は決まってるわけだし、一旦、私たちだけで下見とかしてくる? AC-BEがどんなの着てるとか見せてもらったし、イメージはあるし」
「そうだなー……。でも、彩夏がいたほうが」

 僕が言うと、絵理沙は軽く唇を噛んで黙った。しばらくしてから、

「でも……、明日になったら来るかって保証がないよね? 予定は決めていかないと間に合わなくなるよ」

 と言った。厳しい口調だったが絵理沙の言っていることは正しかった。みんなの都合もあるし、予定は決めるしかないかと思っていると、美咲が教室に入ってきた。手にはクリアファイルがあった。

「何持ってるんだ?」
「彩夏に渡すプリント。あとこの2日間のノート貸そうかなって」

 美咲が言った。

「お見舞いに行くってこと?」

 柚葉の問いに美咲は頷く。

「うん、ちょっと気になるしね。2日も休むなんてさ、転校してきてから初めてだし、様子を見てくるよ」
「うん、それがいいかもだね」

 柚葉が同意した。胸の中にモヤモヤしたものがあった僕は、同意はもちろんだったが、僕が動かなければならないような気がした。

「オレも行くよ」

 と言うと、周りのみんなは驚いた顔をした。
 美咲と同じく僕も気になっている。様子を見たいのも同じだ。
 美咲もみんなと同じく驚いたような顔をしたが、すぐに笑顔になった。

「佑も行くの?」
「うん。やっぱオレも様子が気になるし。早く復帰してくれないと決めれないこともあるしな」

 柚葉も頷いた。美咲は「そうだね」と言ってから、
 
「場所知ってるの?」

 と僕に尋ねた。
 
「わかるよ。地区センター近くの畳屋の隣の家だろ」
「うん、そこ。わかった。じゃ、行こう」
「おう」
「ほら、早くカバン持って。時間がもったいない」

 まるで母親みたいに美咲は僕の出発を促した。僕は打ち合わせの続きはまた明日と柚葉、絵理沙に話したからカバンの準備をした。廊下に出てから、美咲と廊下を小走りしていると、

「何を話すか、考えといてね」

 と美咲が言った。僕が彩夏を気にしているのは、成績の結果のせいじゃないかと思っていることを察してくれているのかもしれない。

「ああ」

 そう応えると美咲は微笑んだ。僕たちは並んで自転車置き場に向かった。
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