幽霊じゃありません!足だってありますから‼

かな

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えっ?ここは何処?

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.........うぃっくしゅん!!

可愛くない自分のくしゃみで目が覚めた。朝靄に包まれ視界があまり良く無いが、庭園のような場所に何故か倒れていたようだ。

「寒っ!ってここは何処!?」

自分の姿を良く見てみると、裸足で見たことの無い薄紫色のドレスを着ている。他には何も身につけていなかった。
(何で外で寝てるの?・・・あれっ?よく見たらこのドレス見たことあるかも?)

胸元の薄紫色から裾先の紫色まで艶やかなグランデーションになるようにレースがつけられており、一目で高価なドレスとわかる。
どこで見たか思い出せず、首を傾げたがとりあえずそのことを考えるのは後にした。

確か昨日は、荷物を整理していつ追放処分になってもいいように片付けていた。

卒業式の舞踏会断罪イベントが終わって、婚約破棄自由への切符の正式な通達をジレジレしながら待っていた。5日たっても、お父様は王宮から帰って来ず、自宅謹慎を言い渡されたまま何も進展が無かった。

(ゲームでは、舞踏会で追放処分or修道院行きが言い渡されて速攻連れ去られたけど…。現実はそうは行かなかった。連れ去られたのは、私じゃなくてヒロインと攻略対象者たちの方だった。皆、今どこにいるのかしら?)

物思いに耽っていた時、うなじに痛みを感じて首の後ろに手を当てた直後、意識が真っ暗になったのだった。

で、気づいたらここにいた・・・どっどういうこと‼ここは何処なの?!

周りを見回したら遊歩道があった。辿っていけば誰かに会えるかもしれない。私はゆっくり進んでみることにした。

しばらく進んでも人の気配がしない。仄かに嗅いだことのある薔薇の香りがするって思ったら、裸足で薔薇の茎を踏んでしまった。
(痛っ!)言葉もなく蹲る。
薔薇の棘は地味に痛い。ハンカチもなく傷口を抑える物がない。
(このドレス破いて包帯代わりにしようかしら?でも新しいドレスのようだし、よく思い出せないけど特別なドレスだった気がする・・・)

足は痛いし、自分の状況も分からず心細くて泣きたくなる。仕方が無いので、朝靄がはれるまで待つことにした。
(もしかして、私、寝てる間に追放処分とされたのかしら?それにしても着の身着のまま、裸足は酷いわ)
不安な気持ちがネガティブな考えを加速させていく(王子がキレて強行手段に出たのかしら?でも、お父様も陛下も許すはずがないし・・・)
鬱々とする気分とは逆に、朝日が徐々に朝靄を晴らしていく。遠くで人の声が微かに聞こえてきた。(誰かいるみたい!行ってみよう!)
足の裏の痛みでふらつく足を引きずりながら、ゆっくりと歩いていった。

辿り着いたのは大きな建物の近くだった。
複数のメイド達が、朝の仕事に追われているようだった。

「あの、少しよろしくて?」
不審者に思われないかな?と少し心配しながら、遠慮がちに声をかけてみる。

すると、私の姿を見たメイドが泡を吹いて倒れた!
「えっ?だっ大丈夫?」
私の声を聞いた別のメイドも倒れた!
その様子を見た若いメイドが悲鳴をあげて叫んだ。「きゃーあああ!ゆっ幽霊っ助けてー‼」
叫びながら、何処かに走り去っていく。

あまりの状況に呆然とする。幽霊って私のこと?ええっ?私生きてますけど・・・、、、?
ここはいったい何処ですか?!





    
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