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気高きバラは夢と共に散る
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「樹、お前結局どこの大学行くかは教えてくれなかったな」
寮の窓から見える春の訪れを告げる桜は、例年ならばもう顔を見せる頃なのに今はまだ閉じこもって顔を見せてはくれない。
まるで俺のようだと樹は自嘲した。
最後くらい笑顔を見せようって、そう思っていたというのに実際に勇樹の顔を見たらそうはいかなかった。
諦められないと、勇樹の番になりたいって思ってしまうのだ。
金城 樹は、オメガだ。
男性であろうと女性であろうと構わずに子どもを腹に宿すことが出来る、オメガという種類。
外見的特徴としては男性そのものであるにも関わらず、することは女性のようだと、過去の歴史の中で女性に媚びへつらうような行動も取らざるを得なかった歴史を持つオメガを劣った人種だとあざ笑う者も未だに残るこのご時世で、樹の家族はオメガである彼にひどく寛容だった。
いや、むしろ歓迎していた。
樹の生まれた家、金城家は樹が産まれてくるまで一度だってオメガが産まれてくることはなかった。
樹を除いて金城の家には女性であろうと男性であろうとアルファの性を持つものしかいなかったのだ。
アルファの名家として、何十年、何百年もの歴史を持つ金城家で初めて産まれたオメガの子どもに親族一同はとても焦り、樹の性が判明してから一週間は屋敷の内外構わずてんやわんやの荒れ放題だったのだと樹は聞かされていた。
今まで生まれた子は皆、アルファのための、次世代の社長やリーダーを育成するための、家を継ぐための教育を施されていた。
だが、オメガは違う。
だからどうやって育てればいいのかわからなかったのだ。結果、親族は皆、樹を甘やかした。
樹は何をしても許され、何を欲しても与えられる、何一つ不自由のない生活を送った。
だが、一つだけ親によって決められていたことがある。それが結婚だった。
高校の卒業までに運命の番を見つけることが出来なければ、親の決めた者と結婚すること。これは樹の家、金城家の昔からの決まり事で、オメガの樹も例外ではなかった。
だが、樹は運命の番なんてものに少しだって興味なんてなかった。
ただ、時期が来れば親の決めた相手と番になるだけだとぼんやりと思っていた。
運命なんてそんなものはあるわけがないとそう決めつけていたのだ。
なにせ金城家の何十といる番の中でそれに出会えたものなど片手で数えるほどしかいなかったのだから。
だがそんな樹の考えは橋間 勇樹と出会った瞬間に砕けてなくなった。
樹の同室だと出会いの挨拶を交わした勇樹からは樹が今まで出会ってきたアルファなんかとは比べ物にならないくらいに、いい香りがした。
例えるならば桜の華のような桃の果汁のような、甘美な香り。
下腹部が熱くなり、身体が勇樹のことを欲しているのだと樹はすぐに理解した。
そして勇樹が運命によって定められた番であるということも。
だが、勇樹が樹に反応することはなかった。
樹は幼少期から多くのアルファに囲まれて育ったため、不特定多数のアルファを惑わさないように抑制剤を日ごろから使用していたからだ。それも国内で製造されている中でも一番強力なものを。
それのおかげで発情期もオメガ特有の香りを体から出すことは一度もなかった。
だから今も勇樹には樹が彼に反応して、身体から甘い香りを発していることに気付く素振りすら見せないのだろう。
樹は、自分だけが反応していることが恥ずかしくなり、真っ赤に染まった顔を隠すようにしてうつむいた。
そんな樹の都合を知るはずもない勇樹は樹の手を取り「これから三年、よろしくな」と口角を少し上げた。
同室の樹が勇樹の隣に自然にいられるようになるのにはそう時間がかからなかった。
素っ気ない態度をとるのは感情を表に出すのが苦手なだけで、初めて会ったときも本当はちゃんと笑いたかったのだと打ち明けてくれた時には天にも昇る気持ちになった。
だが、ある日勇樹が発した言葉は樹を強引に地上へ引き戻した。
「俺、好きな奴がいるんだ。そいつ男で、しかもベータで、さ……。俺はアルファだからそいつのこと幸せにはできないんだけど、それでもそいつを好きになれて今、俺は幸せなんだ」
感情を表に出すのが苦手なはずの勇樹の頬の筋肉は緩み切っていた。いつも勇樹の表情を見ている樹はすぐに彼の言葉には嘘や偽りがないことが分かった。
ベータなんて好きになったって無謀だとかせめて女を選ぶべきだとか、樹には言いたいことはいくつもあった。
「そうか」
だが実際に樹の口から出たのは非常に短い言葉だった。
友人として心の中を打ち明けてくれたのであろう勇樹に自分勝手な、薄暗い感情を投げかけることは、樹の中にあった良心が許してくれなかったのだ。
勇樹は少し寂しそうな、だがそれでいて嬉しそうな、複雑な顔をしていた。
そして「聞いてくれてありがとう」とつぶやくように言った。
『どんなに好いた相手がいても運命の番に会ってしまえば相手と契らざるをえない』
樹の祖父、惣右衛門は樹に何度も言い聞かせた。
オメガとアルファはそういうものなのだと。
その意味を理解するにはまだ幼くとも、いずれその意味がわかるまで決して忘れてはならないと言い聞かせ、そしてその後にひどく冷たい声で付け加えた。
運命の番を見つけたら抑制剤の使用をやめるようにと。
樹の使っている抑制剤は、効果が強くても長持ちはしない。だから毎日飲まなくてはならない。使用をやめればすぐさまアルファを惑わす香りは身体から出てくる。
契りを交わしてしまうことはとても簡単なことで、香りで誘って襲わせればいいだけだった。たった一日だけ薬の使用をやめるだけでいい。
昔から何度も教えられていたそれは頭では理解していた。
それが金城家の繁栄につながることも、勇樹を手に入れるための方法だということも。
だが、樹にはできなかった。
好きになった相手には幸せになってほしかった。
例えそれが報われることのないことでも、せめて無理やり引き離すことだけはしたくなかった。
そして、樹は勇樹と一緒になることよりも勇樹が幸せでいられる道を選んだ。
身体はしきりに勇樹を求めたが、その度に熱くなった身体を自身で慰めた。
勇樹には知られないようにひっそりと。
何も知らない勇樹を汚してしまっているようで、その度に樹の中で罪悪感がどんどん広がっていった。
卒業、そしてタイムリミットが残り二か月に近づくと、運命の番は見つかったのかと探りを入れてくる家族に見つからなかったと嘘をつき、番になる相手を見繕ってもらった。
相手がどんなだろうとよかった。
誰であろうと勇樹でなければ同じだと思ったからだ。そんな樹の前に現れたのはいとこの大和だった。
「いっちゃん、本当にいいのか?」
「何が?」
「何がって、いっちゃんは勇樹のことが……」
言いかけた大和の口を手でふさいだ。
大和は同じ学年ではあったが、教室のある階も入っている寮も違った。
だから、ばれてはいないと思っていた。
だが、大和は知っていたのだ。樹に思い人がいることを。
だが、これ以上家族には聞かれたくはなかったし、聞きたくなかった。
勇樹が幸せになるためには樹が勇樹のことを諦めればいいだけだ。
それには樹の感情は不要なものなのだ。
「いっちゃん……」
「大和、お願いだから……な?」
「わか……った」
大和は今にも泣きそうな顔をして、寂し気に笑った。
しばらくして樹と大和は高校の卒業と同時に結婚することが決まった。
大和は高校卒業後、9月まで待って海外の大学に入学する。そして樹はそんな大和についていく。
妻は常に夫につき、いつまでも支えること。――それは金城家の家訓だからだ。
大和は樹に日本に残り、大学に通ったらどうかと勧めた。だがやりたいことがあるわけでもない樹は大和の提案を断った。
樹は三年間お世話になった担任にだけは卒業後結婚することを告げた。
担任は「もったいないな」と惜しみつつも「お前が俺の持った生徒の中で唯一卒業できたオメガなんだぞ」と誇らしげに言った。
この学校でオメガが卒業できることは誇ることではない。
この学校に来るオメガのほとんどが番を探しに来ていて、入学して一年も経たないうちに去っていく。そんな中、卒業できるというのは番が見つからなかったということを表す。要は売れ残りというやつだ。
普通なら彼の言葉は嫌味だろう。
だが樹はこの三年間で彼は嘘がつけない性分であることをよく知っていた。そしてオメガである樹をずっと心配してくれていたことも。
そんな彼に三年間のお礼の気持ちを一心に詰め込んで、樹は何も言わずにただ深々と頭を下げた。
そして、卒業の日を迎えた。
帰りの車に乗ろうとすると大和は樹の背中を押した。
「最後くらい……ね」
「ありがとう」
樹は気を使ってくれた大和にお礼を告げ、最後の別れを告げるために勇樹の元へ足を運んだ。
居場所なんて分かっていた。
寮だ。3年間ずっと一緒に過ごしてきたあの部屋。
窓を開ければ近くにある桜の香りが部屋の中に充満する。それは樹が初めて勇樹と会ったときに感じた香りで、勇樹の好きな華でもあった。
ドアを開けると樹の予想通り、勇樹はそこにたたずんでいた。
樹を見つけたとたん、勇樹ははっとしたような顔をして、どうでもいいようなことを話し始める。
最後なのだから、もっと何か……とも思ったがいつもと同じように話をするのも悪くないと感じてしまう。
「もう卒業したし、教えてくれよ。お前はどこに進学するんだ?」
勇樹は卒業証書が入った筒で肩を叩きながらこの数か月で何度も繰り返された質問した。樹はその質問を聞く度に言葉を濁し続けてきた。
だが、それも最後。最後くらい答えるのも悪くない。
そう思った樹は大きく息を吸い込んで、そして言葉を乗せて吐き出した。
「俺は進学しない。結婚、するんだ」
「は?」
勇樹の手は止まる。それと同時に口は大きく開いていった。
「結婚……って。なんで?」
「前から決まってたことなんだ。卒業したら親の決めた相手と結婚するって」
「そんな……」
「隠してて、悪かったな」
「……っ。お前は、お前はその相手が好きなのか?」
「いや」
「お前はそれでいいのかよ!」
「ああ。もう誰でもいいんだ……」
樹にとって勇樹以外なら誰だって同じだ。ただ繁殖をするためだけの道具になるだけだ。
だがそれでも大和なら、彼なら番としては愛してくれなくともきっと家族としては愛してくれるのだろう。長年にわたり積み上げてきた大和との関係性が未来は暗いだけではないのだと樹にわずかな光を見せてくれた。
妻としての愛なんて求めたりはしない。樹だってきっと大和のことを夫としては愛せないだろう。
樹が愛するのは勇樹だけ。
今までも、そしてきっとこれからも勇樹を忘れられないだろう。
「……っ」
勇樹は樹の頭をつかみ、自分の元へ引き寄せた。
「……やっ、やめっ」
樹が何度も言葉で拒もうとも勇樹が彼の頭から手を放すことはなかった。
そして樹もまた言葉では拒絶しつつも勇樹の行動を受け入れた。
勇樹が樹を求めるのは今日の大和との契りのために昨日から抑制剤を飲んでいないからだろう。今晩には完全に薬が抜けるように調整してあるため、かすかにだがオメガ特有の香りが体外に漏れ出してしまっている。
非常にわずかだが、普通のアルファなら感じないのかもしれないが、勇樹は運命の番。他のアルファよりも敏感に感じとることが出来る。
角度を変え、徐々に接触を増やしていく勇樹はついに砦であった唇の間に侵入していく。樹の口から勇樹は酸素を奪っていき、やがて樹の頭は考えることを放棄し始めていた。
勇樹は空いている方の手で腰を抱き、身体までも抱き寄せた。
腹には存在を主張するかのように固くなったモノが当たった。
あっ……。これでは気持ちがばれてしまう。その途端に樹の頭は再び回転した。
勇樹に自分のモノがばれないようにやんわりと押し返した。
「……樹」
樹よりもずっと大きいはずの勇樹はまるで捨てられた子犬のように上から見下ろす。樹が拒めないことを知っていてやっているのだろうかと勘ぐってしまうほどだ。
本当に、ずるいなと樹は呆れてしまう。けれど流されるわけにはいかないのだった。
「勇樹……。ごめん」
「っ、誰でもいいのなら……誰でもいいのなら、俺だっていいだろ! ……俺じゃ、俺じゃダメだって…いうのかよ」
先ほどまで頭の上にあったはずの勇樹の顔は樹の肩に乗っていた。
「……俺は、お前が好きだ。お前じゃなきゃダメなんだ!」
何度も何度も耳元で言葉を繰り返す。
まるで洗脳のように。
樹のことが好きだなんて、そんな都合のいい言葉ばかりを繰り返す。
甘くて優しい洗脳。だが、現実は苦く辛い。
この時間が終わってしまえば、樹はここから去らなければならない。
勇樹の元から。
勇樹が正気に戻ればこの時間は終わってしまう。こんな期間限定のデザートのように甘い空間から抜けて彼は現実へ戻っていくのだ。
やんわりと樹が勇樹の頭を肩からどけようと頭に手を乗せると、彼は樹にささやいた。
「ごめん」
その言葉の意味を理解する前に、樹は首に痛みを覚えた。
まるで何かに嚙みつかれたかのような、しびれるような痛み。
ありえないとは思いつつも思い切って勇樹の頭をひきはがし、首元に手を当てる。
何もありませんように。
そんな願いもむなしく、首には凸凹と歯の形のようなものがくっきりと残ってしまっていた。
「!?」
「もしお前がオメガだったらこれでお前を離さなくていいのにな……」
吐き捨てるように言った勇樹の頬を、樹はこれでもかと思い切り殴った。
「っ、いってぇ」
「何すんだよ!」
「痛かったのか? 悪かったよ……」
「そうじゃない! ……そうじゃないんだ」
これで樹たちは番になった。……なってしまったのだ。
結局はオメガの香りで惑わせたのだ。勇樹を縛り付けてしまった。
勇樹には好きな相手がいたのに、俺がそれを奪ったと樹の心の中で絶望が霧のようにとめどもなく充満していく。
「樹?」
殴られて痛いはずの勇樹は樹の心配をして、顔を覗き込んできた。
俺の心配なんてしてる場合じゃないのに……。きっと勇樹は知らなかったのだろう。俺がオメガであることを。だから、噛みついた。一生縛られることなんて知らないで。
樹の柔らかな唇は互いを傷つけあうかのようにカタカタと震えていた。
「…………バカだなぁ」
そんな口からぽつりと、勇樹と自身に向けてこぼれ落ちた言葉はほとんどの物を撤収させた部屋にはよく通った。
「俺は幸せだなぁ」
「は?」
「最後に思いを伝えられたんだ。まあ、お前には迷惑をかけちまったけど、もう悔いはないんだ」
勇樹の言葉にカッとなった。
誰かの代替品を務めさせられただけだというのか?
「ふざけんなよ! 俺の意思は無視か。そうかよ、楽しかったか? 好きな奴を妄想して都合のいいやつで紛らわせるのはよ!」
「は?」
「俺なんかお前にとって都合がいいよな。拒まないから格好のお人形だろうよ」
勇樹の熱に反応した樹のモノはまだ熱を帯びていて、一向に冷めてはくれない。
勇樹にとっては代替品でも人形でも……樹にとっては大事なことだったのだ。
勇樹は軽い気持ちで噛んだつもりなのだろうが、樹にとってその行動はとても嬉しいことだったのだ。
たった一瞬でも求めてくれたのかーーと。
樹の身体は今もなお勇樹のモノを求め続けている。だからこそ余計に自分がみじめになった。
「拒まないって……。ごめん」
「今更謝ったってもう遅いんだよ! 俺たちは番になったんだ。後悔したって遅いんだよ!」
「……番」
何度も『番』と反芻する勇樹の姿を見て、樹はさらに惨めな気持ちになる。
ああ、いっそ詰ってくれ。
お前となんて契るつもりはなかったのだと蔑んでくれ。
お前は代用品なのだと。
「番、番、番。俺と樹が番。本当に? 嘘じゃないよな? でも、樹はベータで……」
壊れたラジオのようにブツブツとつぶやき続けることしかしない勇樹。
「そうか、これは夢か!」
いきなり大きな声を出したかと思ったら、勇樹は俺のあごに手を当て無理やり上を向かせて口の中に舌を入れては蹂躙する。
「…………な、なに……を」
「夢だ。これは夢」
勇樹は「夢だ」と何度も繰り返し、勇樹は樹に熱を与えていく。
右手では、樹の下肢をいじり、そりたつモノだけ避けてなでまわした。
樹のモノは触れてほしそうにビクビクと震えているのに、一向に勇樹がそれに触れることはない。
「……ゆう…き」
「樹。後ろ向ける?」
勇樹の手は顎からも肢からも離れて行った。
樹の身体はそれを寂しく思いながらも、勇樹の言葉に従った。
樹の身体を回転させ、机に手をつかせ後ろから攻め立てる。
「好きだよ」
耳元には麻薬のような中毒になりそうな言葉が、下肢にはずっと欲しかったはずの勇樹の体温が与えられる。
動物のような一方的な交尾のような行動におぼれていく。
――もう戻れない。
わかっていても樹にはもうどうすることもできないでただこの快感におぼれていくのだ。
寮の窓から見える春の訪れを告げる桜は、例年ならばもう顔を見せる頃なのに今はまだ閉じこもって顔を見せてはくれない。
まるで俺のようだと樹は自嘲した。
最後くらい笑顔を見せようって、そう思っていたというのに実際に勇樹の顔を見たらそうはいかなかった。
諦められないと、勇樹の番になりたいって思ってしまうのだ。
金城 樹は、オメガだ。
男性であろうと女性であろうと構わずに子どもを腹に宿すことが出来る、オメガという種類。
外見的特徴としては男性そのものであるにも関わらず、することは女性のようだと、過去の歴史の中で女性に媚びへつらうような行動も取らざるを得なかった歴史を持つオメガを劣った人種だとあざ笑う者も未だに残るこのご時世で、樹の家族はオメガである彼にひどく寛容だった。
いや、むしろ歓迎していた。
樹の生まれた家、金城家は樹が産まれてくるまで一度だってオメガが産まれてくることはなかった。
樹を除いて金城の家には女性であろうと男性であろうとアルファの性を持つものしかいなかったのだ。
アルファの名家として、何十年、何百年もの歴史を持つ金城家で初めて産まれたオメガの子どもに親族一同はとても焦り、樹の性が判明してから一週間は屋敷の内外構わずてんやわんやの荒れ放題だったのだと樹は聞かされていた。
今まで生まれた子は皆、アルファのための、次世代の社長やリーダーを育成するための、家を継ぐための教育を施されていた。
だが、オメガは違う。
だからどうやって育てればいいのかわからなかったのだ。結果、親族は皆、樹を甘やかした。
樹は何をしても許され、何を欲しても与えられる、何一つ不自由のない生活を送った。
だが、一つだけ親によって決められていたことがある。それが結婚だった。
高校の卒業までに運命の番を見つけることが出来なければ、親の決めた者と結婚すること。これは樹の家、金城家の昔からの決まり事で、オメガの樹も例外ではなかった。
だが、樹は運命の番なんてものに少しだって興味なんてなかった。
ただ、時期が来れば親の決めた相手と番になるだけだとぼんやりと思っていた。
運命なんてそんなものはあるわけがないとそう決めつけていたのだ。
なにせ金城家の何十といる番の中でそれに出会えたものなど片手で数えるほどしかいなかったのだから。
だがそんな樹の考えは橋間 勇樹と出会った瞬間に砕けてなくなった。
樹の同室だと出会いの挨拶を交わした勇樹からは樹が今まで出会ってきたアルファなんかとは比べ物にならないくらいに、いい香りがした。
例えるならば桜の華のような桃の果汁のような、甘美な香り。
下腹部が熱くなり、身体が勇樹のことを欲しているのだと樹はすぐに理解した。
そして勇樹が運命によって定められた番であるということも。
だが、勇樹が樹に反応することはなかった。
樹は幼少期から多くのアルファに囲まれて育ったため、不特定多数のアルファを惑わさないように抑制剤を日ごろから使用していたからだ。それも国内で製造されている中でも一番強力なものを。
それのおかげで発情期もオメガ特有の香りを体から出すことは一度もなかった。
だから今も勇樹には樹が彼に反応して、身体から甘い香りを発していることに気付く素振りすら見せないのだろう。
樹は、自分だけが反応していることが恥ずかしくなり、真っ赤に染まった顔を隠すようにしてうつむいた。
そんな樹の都合を知るはずもない勇樹は樹の手を取り「これから三年、よろしくな」と口角を少し上げた。
同室の樹が勇樹の隣に自然にいられるようになるのにはそう時間がかからなかった。
素っ気ない態度をとるのは感情を表に出すのが苦手なだけで、初めて会ったときも本当はちゃんと笑いたかったのだと打ち明けてくれた時には天にも昇る気持ちになった。
だが、ある日勇樹が発した言葉は樹を強引に地上へ引き戻した。
「俺、好きな奴がいるんだ。そいつ男で、しかもベータで、さ……。俺はアルファだからそいつのこと幸せにはできないんだけど、それでもそいつを好きになれて今、俺は幸せなんだ」
感情を表に出すのが苦手なはずの勇樹の頬の筋肉は緩み切っていた。いつも勇樹の表情を見ている樹はすぐに彼の言葉には嘘や偽りがないことが分かった。
ベータなんて好きになったって無謀だとかせめて女を選ぶべきだとか、樹には言いたいことはいくつもあった。
「そうか」
だが実際に樹の口から出たのは非常に短い言葉だった。
友人として心の中を打ち明けてくれたのであろう勇樹に自分勝手な、薄暗い感情を投げかけることは、樹の中にあった良心が許してくれなかったのだ。
勇樹は少し寂しそうな、だがそれでいて嬉しそうな、複雑な顔をしていた。
そして「聞いてくれてありがとう」とつぶやくように言った。
『どんなに好いた相手がいても運命の番に会ってしまえば相手と契らざるをえない』
樹の祖父、惣右衛門は樹に何度も言い聞かせた。
オメガとアルファはそういうものなのだと。
その意味を理解するにはまだ幼くとも、いずれその意味がわかるまで決して忘れてはならないと言い聞かせ、そしてその後にひどく冷たい声で付け加えた。
運命の番を見つけたら抑制剤の使用をやめるようにと。
樹の使っている抑制剤は、効果が強くても長持ちはしない。だから毎日飲まなくてはならない。使用をやめればすぐさまアルファを惑わす香りは身体から出てくる。
契りを交わしてしまうことはとても簡単なことで、香りで誘って襲わせればいいだけだった。たった一日だけ薬の使用をやめるだけでいい。
昔から何度も教えられていたそれは頭では理解していた。
それが金城家の繁栄につながることも、勇樹を手に入れるための方法だということも。
だが、樹にはできなかった。
好きになった相手には幸せになってほしかった。
例えそれが報われることのないことでも、せめて無理やり引き離すことだけはしたくなかった。
そして、樹は勇樹と一緒になることよりも勇樹が幸せでいられる道を選んだ。
身体はしきりに勇樹を求めたが、その度に熱くなった身体を自身で慰めた。
勇樹には知られないようにひっそりと。
何も知らない勇樹を汚してしまっているようで、その度に樹の中で罪悪感がどんどん広がっていった。
卒業、そしてタイムリミットが残り二か月に近づくと、運命の番は見つかったのかと探りを入れてくる家族に見つからなかったと嘘をつき、番になる相手を見繕ってもらった。
相手がどんなだろうとよかった。
誰であろうと勇樹でなければ同じだと思ったからだ。そんな樹の前に現れたのはいとこの大和だった。
「いっちゃん、本当にいいのか?」
「何が?」
「何がって、いっちゃんは勇樹のことが……」
言いかけた大和の口を手でふさいだ。
大和は同じ学年ではあったが、教室のある階も入っている寮も違った。
だから、ばれてはいないと思っていた。
だが、大和は知っていたのだ。樹に思い人がいることを。
だが、これ以上家族には聞かれたくはなかったし、聞きたくなかった。
勇樹が幸せになるためには樹が勇樹のことを諦めればいいだけだ。
それには樹の感情は不要なものなのだ。
「いっちゃん……」
「大和、お願いだから……な?」
「わか……った」
大和は今にも泣きそうな顔をして、寂し気に笑った。
しばらくして樹と大和は高校の卒業と同時に結婚することが決まった。
大和は高校卒業後、9月まで待って海外の大学に入学する。そして樹はそんな大和についていく。
妻は常に夫につき、いつまでも支えること。――それは金城家の家訓だからだ。
大和は樹に日本に残り、大学に通ったらどうかと勧めた。だがやりたいことがあるわけでもない樹は大和の提案を断った。
樹は三年間お世話になった担任にだけは卒業後結婚することを告げた。
担任は「もったいないな」と惜しみつつも「お前が俺の持った生徒の中で唯一卒業できたオメガなんだぞ」と誇らしげに言った。
この学校でオメガが卒業できることは誇ることではない。
この学校に来るオメガのほとんどが番を探しに来ていて、入学して一年も経たないうちに去っていく。そんな中、卒業できるというのは番が見つからなかったということを表す。要は売れ残りというやつだ。
普通なら彼の言葉は嫌味だろう。
だが樹はこの三年間で彼は嘘がつけない性分であることをよく知っていた。そしてオメガである樹をずっと心配してくれていたことも。
そんな彼に三年間のお礼の気持ちを一心に詰め込んで、樹は何も言わずにただ深々と頭を下げた。
そして、卒業の日を迎えた。
帰りの車に乗ろうとすると大和は樹の背中を押した。
「最後くらい……ね」
「ありがとう」
樹は気を使ってくれた大和にお礼を告げ、最後の別れを告げるために勇樹の元へ足を運んだ。
居場所なんて分かっていた。
寮だ。3年間ずっと一緒に過ごしてきたあの部屋。
窓を開ければ近くにある桜の香りが部屋の中に充満する。それは樹が初めて勇樹と会ったときに感じた香りで、勇樹の好きな華でもあった。
ドアを開けると樹の予想通り、勇樹はそこにたたずんでいた。
樹を見つけたとたん、勇樹ははっとしたような顔をして、どうでもいいようなことを話し始める。
最後なのだから、もっと何か……とも思ったがいつもと同じように話をするのも悪くないと感じてしまう。
「もう卒業したし、教えてくれよ。お前はどこに進学するんだ?」
勇樹は卒業証書が入った筒で肩を叩きながらこの数か月で何度も繰り返された質問した。樹はその質問を聞く度に言葉を濁し続けてきた。
だが、それも最後。最後くらい答えるのも悪くない。
そう思った樹は大きく息を吸い込んで、そして言葉を乗せて吐き出した。
「俺は進学しない。結婚、するんだ」
「は?」
勇樹の手は止まる。それと同時に口は大きく開いていった。
「結婚……って。なんで?」
「前から決まってたことなんだ。卒業したら親の決めた相手と結婚するって」
「そんな……」
「隠してて、悪かったな」
「……っ。お前は、お前はその相手が好きなのか?」
「いや」
「お前はそれでいいのかよ!」
「ああ。もう誰でもいいんだ……」
樹にとって勇樹以外なら誰だって同じだ。ただ繁殖をするためだけの道具になるだけだ。
だがそれでも大和なら、彼なら番としては愛してくれなくともきっと家族としては愛してくれるのだろう。長年にわたり積み上げてきた大和との関係性が未来は暗いだけではないのだと樹にわずかな光を見せてくれた。
妻としての愛なんて求めたりはしない。樹だってきっと大和のことを夫としては愛せないだろう。
樹が愛するのは勇樹だけ。
今までも、そしてきっとこれからも勇樹を忘れられないだろう。
「……っ」
勇樹は樹の頭をつかみ、自分の元へ引き寄せた。
「……やっ、やめっ」
樹が何度も言葉で拒もうとも勇樹が彼の頭から手を放すことはなかった。
そして樹もまた言葉では拒絶しつつも勇樹の行動を受け入れた。
勇樹が樹を求めるのは今日の大和との契りのために昨日から抑制剤を飲んでいないからだろう。今晩には完全に薬が抜けるように調整してあるため、かすかにだがオメガ特有の香りが体外に漏れ出してしまっている。
非常にわずかだが、普通のアルファなら感じないのかもしれないが、勇樹は運命の番。他のアルファよりも敏感に感じとることが出来る。
角度を変え、徐々に接触を増やしていく勇樹はついに砦であった唇の間に侵入していく。樹の口から勇樹は酸素を奪っていき、やがて樹の頭は考えることを放棄し始めていた。
勇樹は空いている方の手で腰を抱き、身体までも抱き寄せた。
腹には存在を主張するかのように固くなったモノが当たった。
あっ……。これでは気持ちがばれてしまう。その途端に樹の頭は再び回転した。
勇樹に自分のモノがばれないようにやんわりと押し返した。
「……樹」
樹よりもずっと大きいはずの勇樹はまるで捨てられた子犬のように上から見下ろす。樹が拒めないことを知っていてやっているのだろうかと勘ぐってしまうほどだ。
本当に、ずるいなと樹は呆れてしまう。けれど流されるわけにはいかないのだった。
「勇樹……。ごめん」
「っ、誰でもいいのなら……誰でもいいのなら、俺だっていいだろ! ……俺じゃ、俺じゃダメだって…いうのかよ」
先ほどまで頭の上にあったはずの勇樹の顔は樹の肩に乗っていた。
「……俺は、お前が好きだ。お前じゃなきゃダメなんだ!」
何度も何度も耳元で言葉を繰り返す。
まるで洗脳のように。
樹のことが好きだなんて、そんな都合のいい言葉ばかりを繰り返す。
甘くて優しい洗脳。だが、現実は苦く辛い。
この時間が終わってしまえば、樹はここから去らなければならない。
勇樹の元から。
勇樹が正気に戻ればこの時間は終わってしまう。こんな期間限定のデザートのように甘い空間から抜けて彼は現実へ戻っていくのだ。
やんわりと樹が勇樹の頭を肩からどけようと頭に手を乗せると、彼は樹にささやいた。
「ごめん」
その言葉の意味を理解する前に、樹は首に痛みを覚えた。
まるで何かに嚙みつかれたかのような、しびれるような痛み。
ありえないとは思いつつも思い切って勇樹の頭をひきはがし、首元に手を当てる。
何もありませんように。
そんな願いもむなしく、首には凸凹と歯の形のようなものがくっきりと残ってしまっていた。
「!?」
「もしお前がオメガだったらこれでお前を離さなくていいのにな……」
吐き捨てるように言った勇樹の頬を、樹はこれでもかと思い切り殴った。
「っ、いってぇ」
「何すんだよ!」
「痛かったのか? 悪かったよ……」
「そうじゃない! ……そうじゃないんだ」
これで樹たちは番になった。……なってしまったのだ。
結局はオメガの香りで惑わせたのだ。勇樹を縛り付けてしまった。
勇樹には好きな相手がいたのに、俺がそれを奪ったと樹の心の中で絶望が霧のようにとめどもなく充満していく。
「樹?」
殴られて痛いはずの勇樹は樹の心配をして、顔を覗き込んできた。
俺の心配なんてしてる場合じゃないのに……。きっと勇樹は知らなかったのだろう。俺がオメガであることを。だから、噛みついた。一生縛られることなんて知らないで。
樹の柔らかな唇は互いを傷つけあうかのようにカタカタと震えていた。
「…………バカだなぁ」
そんな口からぽつりと、勇樹と自身に向けてこぼれ落ちた言葉はほとんどの物を撤収させた部屋にはよく通った。
「俺は幸せだなぁ」
「は?」
「最後に思いを伝えられたんだ。まあ、お前には迷惑をかけちまったけど、もう悔いはないんだ」
勇樹の言葉にカッとなった。
誰かの代替品を務めさせられただけだというのか?
「ふざけんなよ! 俺の意思は無視か。そうかよ、楽しかったか? 好きな奴を妄想して都合のいいやつで紛らわせるのはよ!」
「は?」
「俺なんかお前にとって都合がいいよな。拒まないから格好のお人形だろうよ」
勇樹の熱に反応した樹のモノはまだ熱を帯びていて、一向に冷めてはくれない。
勇樹にとっては代替品でも人形でも……樹にとっては大事なことだったのだ。
勇樹は軽い気持ちで噛んだつもりなのだろうが、樹にとってその行動はとても嬉しいことだったのだ。
たった一瞬でも求めてくれたのかーーと。
樹の身体は今もなお勇樹のモノを求め続けている。だからこそ余計に自分がみじめになった。
「拒まないって……。ごめん」
「今更謝ったってもう遅いんだよ! 俺たちは番になったんだ。後悔したって遅いんだよ!」
「……番」
何度も『番』と反芻する勇樹の姿を見て、樹はさらに惨めな気持ちになる。
ああ、いっそ詰ってくれ。
お前となんて契るつもりはなかったのだと蔑んでくれ。
お前は代用品なのだと。
「番、番、番。俺と樹が番。本当に? 嘘じゃないよな? でも、樹はベータで……」
壊れたラジオのようにブツブツとつぶやき続けることしかしない勇樹。
「そうか、これは夢か!」
いきなり大きな声を出したかと思ったら、勇樹は俺のあごに手を当て無理やり上を向かせて口の中に舌を入れては蹂躙する。
「…………な、なに……を」
「夢だ。これは夢」
勇樹は「夢だ」と何度も繰り返し、勇樹は樹に熱を与えていく。
右手では、樹の下肢をいじり、そりたつモノだけ避けてなでまわした。
樹のモノは触れてほしそうにビクビクと震えているのに、一向に勇樹がそれに触れることはない。
「……ゆう…き」
「樹。後ろ向ける?」
勇樹の手は顎からも肢からも離れて行った。
樹の身体はそれを寂しく思いながらも、勇樹の言葉に従った。
樹の身体を回転させ、机に手をつかせ後ろから攻め立てる。
「好きだよ」
耳元には麻薬のような中毒になりそうな言葉が、下肢にはずっと欲しかったはずの勇樹の体温が与えられる。
動物のような一方的な交尾のような行動におぼれていく。
――もう戻れない。
わかっていても樹にはもうどうすることもできないでただこの快感におぼれていくのだ。
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