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Chapter7:おうちデート
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「そういえばはな、可愛いエプロン着けていたんだね。今気付いたよ、ごめん」
ハグを解きながらあおくんは視線をお腹から下の方に向けたから
「そうなの。チャコ叔母さんから19歳の誕生日にってフリルエプロンを買ってくれてね、なかなか着ける機会がないから今日は使ってみたんだ」
フリルたっぷりの裾を持ち上げて可愛らしくポーズしてみた。
「へぇ~久子さんからの誕生日プレゼントなんだ! いいね♪」
あおくんはニコニコ顔でグッと親指を立てて喜ぶ。
「そうなの。普段からデニムパンツばっかり履いててオシャレする機会がないから、お部屋の中くらいは大好きなワンピースを楽しみなさいって」
なかなか着ける機会がなくて、あおくんとお付き合いしていなかったらそのままタンスの肥やしになっていたこのエプロンは、原付運転やコンビニバイトでパンツルックでいなきゃいけない私を憂いた故のプレゼントだった。
本来私はガーリーなワンピースが大好きなんだけど日常生活に追われて滅多に着る事は出来ない。それでチャコ叔母さんは「お家の中だけでも姪っ子には可愛い格好を気軽にしてもらいたい」と考えてくれたんだ。
(チャコ叔母さんの気持ちはすっごく嬉しかったんだけどなんかもったいなくて…………今日初めて着けてみて本当に良かった♪)
あおくんがこれだけ喜んでいるのだから、お泊まりに来てくれる今日身に付けたのは私にとってもあおくんにとっても大成功だったみたい。
「俺がお泊まりする日はいつも着けて欲しいなぁ」
「えへへ~♪ じゃあそうするね」
「えへへ、嬉しい」
今日もまた「えへへ」って笑い合ってほのぼのとした空気感に包まれた。
「あ、そうだ! あおくんあおくんっ」
私はあおくんの手を引いてテーブルへと招き入れ……
「ここに座って待っててね」
テトラ型のビーズクッションにあおくんを座らせる。
「ビーズクッションだ!」
ソファはないけど、私の部屋にはお友達の紗羅ちゃんと音羽ちゃんが座れるようにテトラ型のビーズクッションを置いていた。
「そうなの。このクッション、背もたれ出来るのに大き過ぎなくてね。お気に入りなんだ♪」
流石に3つも部屋に置いたら室内を圧迫するから我が家には赤と黄色の2色。
普段は赤を私が使って、紗羅ちゃん達が来る時は私だけ正座する事にしていた。
「ああ~そっかぁ」
するとあおくんは赤いクッションと黄色いクッション両方を交互に見回しながらうんうん頷く。
「『そっかぁ』って、なぁに?」
私が首を傾げていると、あおくんはニコニコ顔で
「ビデオ通話の時にね、はなの背中あたりに赤いものがチラ見えしてたんだ」
と、ビデオ通話をよくしていた頃の話をし始める。
「あっ!」
「黄色のも時々見えてさぁ、三角形のオブジェかなって思ってた。まさかビーズクッションとは思わなくて」
(確かにそうだぁ……私、いつも赤いクッションに座りながら通話してたから、あおくん側からしょっちゅう見えていたのかぁ)
「なるほどぉ。確かにこういうタイプのビーズクッションにしてはコンパクトだからね」
あおくんの言葉にうんうん私も頷きつつも
(一人暮らしにオブジェはないんじゃないかなぁ……あおくん、天然さんかな?)
さっきは賢いって思っていた彼の可愛い一面を知って頬を弛ませる。
「じゃあ、あおくんは黄色に座ってくださぁい」
私があおくんの肩に両手をポンッと置くと
「はぁい……あ~! これ、すっごく気持ちいい♪」
紗羅ちゃんがいつもやるような伸びをして喜んでくれたのでまた嬉しくなる。
「うふふ♪ちょっとだけ待っててね。鍋敷きのところにお料理持ってくるからね」
私はそう言い残してキッチンに戻り、配膳をテキパキとして行って……
「あおくーん! 熱いの通るから気をつけてねー」
そう呼び掛けながらミトンで熱々のスキレットを運んだ。
「えっ? なぁに? って……わあぁ♪すごーい!!」
大喜びするあおくんの前に置いたのはグツグツに煮立ったハンバーグ、ブロッコリー、人参のグラッセ。
「ハンバーグソースはねちゃうかもだから上着受け取るね」
「あっ、そうだね。はなありがとう」
あおくんは私にハッとしてスーツの上着を手渡したものの、視線はハンバーグに釘付けだ。
「ふふふ~♪ あおくん、ハンバーグ大好きって言ってたからチーズインハンバーグを作ってみたんだよ」
「えっ?! 本当に?」
私が献立を言おうとしたら食い気味であおくんの声が飛ぶ。
「うん♪ 本当だよ~! 食べる時にハンバーグを割ったらちょうどよくチーズが溶けて出てくるはずなんだぁ」
「わぁ~すごい! すごいよはなぁ~」
「早く食べようね」
「うん!!」
「ハンバーグが好き」とは聞いていたけどこれほどチーズインハンバーグにテンションを上げてくれるとは思わなかった。
(今日は内定式でお疲れだろうから、あおくんの好物でご馳走したかったんだよね。喜んでもらえてよかったぁ)
ハンバーグに合うように、ミネストローネスープとバターライスもつけてみた。
「「いただきまーす」」
私も並んで座り手を合わせるとあおくんもユニゾンしてくれる。
(本当にあおくん嬉しそう……)
ナイフで真ん中からハンバーグを割り、とろけ出たチーズに感激の声をあげているあおくんを横目で眺めつつ、私もニコニコ顔でスープに口をつけ食べ始めた。
ハグを解きながらあおくんは視線をお腹から下の方に向けたから
「そうなの。チャコ叔母さんから19歳の誕生日にってフリルエプロンを買ってくれてね、なかなか着ける機会がないから今日は使ってみたんだ」
フリルたっぷりの裾を持ち上げて可愛らしくポーズしてみた。
「へぇ~久子さんからの誕生日プレゼントなんだ! いいね♪」
あおくんはニコニコ顔でグッと親指を立てて喜ぶ。
「そうなの。普段からデニムパンツばっかり履いててオシャレする機会がないから、お部屋の中くらいは大好きなワンピースを楽しみなさいって」
なかなか着ける機会がなくて、あおくんとお付き合いしていなかったらそのままタンスの肥やしになっていたこのエプロンは、原付運転やコンビニバイトでパンツルックでいなきゃいけない私を憂いた故のプレゼントだった。
本来私はガーリーなワンピースが大好きなんだけど日常生活に追われて滅多に着る事は出来ない。それでチャコ叔母さんは「お家の中だけでも姪っ子には可愛い格好を気軽にしてもらいたい」と考えてくれたんだ。
(チャコ叔母さんの気持ちはすっごく嬉しかったんだけどなんかもったいなくて…………今日初めて着けてみて本当に良かった♪)
あおくんがこれだけ喜んでいるのだから、お泊まりに来てくれる今日身に付けたのは私にとってもあおくんにとっても大成功だったみたい。
「俺がお泊まりする日はいつも着けて欲しいなぁ」
「えへへ~♪ じゃあそうするね」
「えへへ、嬉しい」
今日もまた「えへへ」って笑い合ってほのぼのとした空気感に包まれた。
「あ、そうだ! あおくんあおくんっ」
私はあおくんの手を引いてテーブルへと招き入れ……
「ここに座って待っててね」
テトラ型のビーズクッションにあおくんを座らせる。
「ビーズクッションだ!」
ソファはないけど、私の部屋にはお友達の紗羅ちゃんと音羽ちゃんが座れるようにテトラ型のビーズクッションを置いていた。
「そうなの。このクッション、背もたれ出来るのに大き過ぎなくてね。お気に入りなんだ♪」
流石に3つも部屋に置いたら室内を圧迫するから我が家には赤と黄色の2色。
普段は赤を私が使って、紗羅ちゃん達が来る時は私だけ正座する事にしていた。
「ああ~そっかぁ」
するとあおくんは赤いクッションと黄色いクッション両方を交互に見回しながらうんうん頷く。
「『そっかぁ』って、なぁに?」
私が首を傾げていると、あおくんはニコニコ顔で
「ビデオ通話の時にね、はなの背中あたりに赤いものがチラ見えしてたんだ」
と、ビデオ通話をよくしていた頃の話をし始める。
「あっ!」
「黄色のも時々見えてさぁ、三角形のオブジェかなって思ってた。まさかビーズクッションとは思わなくて」
(確かにそうだぁ……私、いつも赤いクッションに座りながら通話してたから、あおくん側からしょっちゅう見えていたのかぁ)
「なるほどぉ。確かにこういうタイプのビーズクッションにしてはコンパクトだからね」
あおくんの言葉にうんうん私も頷きつつも
(一人暮らしにオブジェはないんじゃないかなぁ……あおくん、天然さんかな?)
さっきは賢いって思っていた彼の可愛い一面を知って頬を弛ませる。
「じゃあ、あおくんは黄色に座ってくださぁい」
私があおくんの肩に両手をポンッと置くと
「はぁい……あ~! これ、すっごく気持ちいい♪」
紗羅ちゃんがいつもやるような伸びをして喜んでくれたのでまた嬉しくなる。
「うふふ♪ちょっとだけ待っててね。鍋敷きのところにお料理持ってくるからね」
私はそう言い残してキッチンに戻り、配膳をテキパキとして行って……
「あおくーん! 熱いの通るから気をつけてねー」
そう呼び掛けながらミトンで熱々のスキレットを運んだ。
「えっ? なぁに? って……わあぁ♪すごーい!!」
大喜びするあおくんの前に置いたのはグツグツに煮立ったハンバーグ、ブロッコリー、人参のグラッセ。
「ハンバーグソースはねちゃうかもだから上着受け取るね」
「あっ、そうだね。はなありがとう」
あおくんは私にハッとしてスーツの上着を手渡したものの、視線はハンバーグに釘付けだ。
「ふふふ~♪ あおくん、ハンバーグ大好きって言ってたからチーズインハンバーグを作ってみたんだよ」
「えっ?! 本当に?」
私が献立を言おうとしたら食い気味であおくんの声が飛ぶ。
「うん♪ 本当だよ~! 食べる時にハンバーグを割ったらちょうどよくチーズが溶けて出てくるはずなんだぁ」
「わぁ~すごい! すごいよはなぁ~」
「早く食べようね」
「うん!!」
「ハンバーグが好き」とは聞いていたけどこれほどチーズインハンバーグにテンションを上げてくれるとは思わなかった。
(今日は内定式でお疲れだろうから、あおくんの好物でご馳走したかったんだよね。喜んでもらえてよかったぁ)
ハンバーグに合うように、ミネストローネスープとバターライスもつけてみた。
「「いただきまーす」」
私も並んで座り手を合わせるとあおくんもユニゾンしてくれる。
(本当にあおくん嬉しそう……)
ナイフで真ん中からハンバーグを割り、とろけ出たチーズに感激の声をあげているあおくんを横目で眺めつつ、私もニコニコ顔でスープに口をつけ食べ始めた。
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