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Chapter:11 可愛いジェラシー
⑧
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片想いの願掛けにツーショット写真をコルクボードに貼り付けたのに、それからすぐにキャラクターグッズで隠してしまうなんて、他人のはなからしてみたら不可解で信じられない行動かもしれない。
「俺……それまで『恋』ってよく分かっていなかったんだ。美人の異性と出会うきっかけが出来て、偶然にもツーショット写真が撮れたからって浮かれてさ。正直今振り返っても『美月のどんな部分に惚れたんだろう?』って……あんまり思い出せなくって」
「恋に恋する」って表現が当てはまる……それが、俺の美月に対する『恋』だった。
まさやんにたまたま撮ってもらえた、顔のバランスも身体的プロポーションも整っていた異性とのツーショット写真。
それが嬉しくて、浮かれてしまって。
気が付いたら大学で美月の姿を目で追うようになって。
…………それで、年明けにまさやんから「みっちゃんの事をよく見てるけどもしかして好きになったの?」って指摘されて「そうかも」って思って自分の片想いに気付いた
(気付いた…………いや、違う。あれは思い込んだに近かったんだと思う)
「なんで元カノさんを好きになったのか、覚えてないの?」
はなは顔をあげ、潤んだ瞳を俺の方に向けながらそう聞き返してきたから
「うん……そうだね。はなを好きになった時とは違うんだよ。
はなに片想いしてる時は、はなの可愛らしい部分にキュンときてたし、今だって好きな部分をたくさん言える。
だけど、美月のどこが好きだったのか……どんなデートが楽しかったのか……あんまり思い出せないんだ。だからはなが言ってくれたような『元カノとの思い出』も、どこへ行ったとか何を食べたとかの行動そのものは記憶していても、その記憶に感情が上乗せされてないんだよね」
「上乗せ?」
「うん……今思えば、俺は美月と彼氏彼女としての関係を結べてなかったし、美月を好きでいる事が最初から出来ていなかったんだと思うんだ」
首を傾げるはなに向かって、俺もまっすぐに見据えながらそう答え……
(お花見デート直前に振られたのは、単に「手しか繋いでなくてつまらなかった」以外の理由がいっぱいあって、既に俺に対しての不満が溜まりまくっていたんだろうなぁ)
……と、そんな内容を振り返る。
「私とは……関係が結べているのかな?」
はなは瞳をウルウルさせながらそんな事を訊いてきたから、俺は彼女の丸眼鏡をそっと外し……
「もちろんだよ、俺ははなが大好き。可愛らしく笑う表情も、ふわふわの髪も今みたいな三つ編みも、やわらかな身体も、温かな心も全部全部愛おしくてたまらなくて……離したくないし誰にも渡したくないって思うよ」
はなをまた強く抱きしめて、目尻からこぼれた涙をキスで吸い取ってあげる。
「んっ……」
俺の唇にはなは可愛らしく喘ぎ、それがまた俺の胸を熱くして
「はなは俺を気遣った行動を取ってくれるし、電話やメッセージのやり取りでもさ、毎回会話のキャッチボールが出来ていて時間があっという間に過ぎるでしょ? 美月とはそうならなかったんだ。デート中も無言の時間が出来たりしてて、映画に誘う事が多かったような気がする」
過去の恋愛に反省しながら、はなの背中や腰を愛おしく撫でる。
「はなとは、この2ヶ月の付き合い期間で色んな事が出来たと思うし、それが全部楽しかったし、はなから『次はこんな事したい』って提案してくれたりする。
美月の場合はなんか……俺に提案とかはなくて受け身ばっかりだったんだよね『私をもっと楽しませてよ』って、文句言われちゃってたし」
こうやって過去を振り返って反省していると勉強になるというか、今はなと対等に付き合えている確認にもなって良いなと思う反面、反省すればするほど美月の悪口を言っているみたいになってしまうから、聞いているはなにとってはあまり気分の良いものではないんだろう。
「はなはすごく良い子っていうか、最高の彼女だと感じてるんだ。はなと付き合えて良かったって思うし、彼氏としてはなに楽しい気持ちを提供して共有し合えているんだなって自覚出来ているし」
だからいっぱい頬にキスをして、いっぱい抱き締めて……そういう態度ではなを不安がらせないように努めると共に
「はなは俺が初めての彼氏でしょ? 俺ははなが『2人目』の彼女ではあるんだけど……実質俺もはなに初めての『恋』を捧げられているような気がするんだよ。
美月と過ごした2ヶ月も思い出ではあるけど、はなと過ごしている2ヶ月はその何倍も何十倍も充実してて、初めて俺はちゃんとした『彼氏』が出来てるって感じてる」
そうやって素直な気持ちそのままを言葉にして
「はなと付き合っているのに貼り付けたままにしていたのは良くない。それは本当に俺の不手際で、しかも貼り付けていたのを忘れていたなんて美月にも撮ってくれたまさやんにも悪い。だから、はながそれに対して怒る気持ちがあるのなら甘んじて受け入れるよ」
情けなさを真に認め、受け入れ……
「…………」
「はな、本当にごめんなさい」
ハグを解いて、はなに向かって深く深く頭を下げたんだ。
「俺……それまで『恋』ってよく分かっていなかったんだ。美人の異性と出会うきっかけが出来て、偶然にもツーショット写真が撮れたからって浮かれてさ。正直今振り返っても『美月のどんな部分に惚れたんだろう?』って……あんまり思い出せなくって」
「恋に恋する」って表現が当てはまる……それが、俺の美月に対する『恋』だった。
まさやんにたまたま撮ってもらえた、顔のバランスも身体的プロポーションも整っていた異性とのツーショット写真。
それが嬉しくて、浮かれてしまって。
気が付いたら大学で美月の姿を目で追うようになって。
…………それで、年明けにまさやんから「みっちゃんの事をよく見てるけどもしかして好きになったの?」って指摘されて「そうかも」って思って自分の片想いに気付いた
(気付いた…………いや、違う。あれは思い込んだに近かったんだと思う)
「なんで元カノさんを好きになったのか、覚えてないの?」
はなは顔をあげ、潤んだ瞳を俺の方に向けながらそう聞き返してきたから
「うん……そうだね。はなを好きになった時とは違うんだよ。
はなに片想いしてる時は、はなの可愛らしい部分にキュンときてたし、今だって好きな部分をたくさん言える。
だけど、美月のどこが好きだったのか……どんなデートが楽しかったのか……あんまり思い出せないんだ。だからはなが言ってくれたような『元カノとの思い出』も、どこへ行ったとか何を食べたとかの行動そのものは記憶していても、その記憶に感情が上乗せされてないんだよね」
「上乗せ?」
「うん……今思えば、俺は美月と彼氏彼女としての関係を結べてなかったし、美月を好きでいる事が最初から出来ていなかったんだと思うんだ」
首を傾げるはなに向かって、俺もまっすぐに見据えながらそう答え……
(お花見デート直前に振られたのは、単に「手しか繋いでなくてつまらなかった」以外の理由がいっぱいあって、既に俺に対しての不満が溜まりまくっていたんだろうなぁ)
……と、そんな内容を振り返る。
「私とは……関係が結べているのかな?」
はなは瞳をウルウルさせながらそんな事を訊いてきたから、俺は彼女の丸眼鏡をそっと外し……
「もちろんだよ、俺ははなが大好き。可愛らしく笑う表情も、ふわふわの髪も今みたいな三つ編みも、やわらかな身体も、温かな心も全部全部愛おしくてたまらなくて……離したくないし誰にも渡したくないって思うよ」
はなをまた強く抱きしめて、目尻からこぼれた涙をキスで吸い取ってあげる。
「んっ……」
俺の唇にはなは可愛らしく喘ぎ、それがまた俺の胸を熱くして
「はなは俺を気遣った行動を取ってくれるし、電話やメッセージのやり取りでもさ、毎回会話のキャッチボールが出来ていて時間があっという間に過ぎるでしょ? 美月とはそうならなかったんだ。デート中も無言の時間が出来たりしてて、映画に誘う事が多かったような気がする」
過去の恋愛に反省しながら、はなの背中や腰を愛おしく撫でる。
「はなとは、この2ヶ月の付き合い期間で色んな事が出来たと思うし、それが全部楽しかったし、はなから『次はこんな事したい』って提案してくれたりする。
美月の場合はなんか……俺に提案とかはなくて受け身ばっかりだったんだよね『私をもっと楽しませてよ』って、文句言われちゃってたし」
こうやって過去を振り返って反省していると勉強になるというか、今はなと対等に付き合えている確認にもなって良いなと思う反面、反省すればするほど美月の悪口を言っているみたいになってしまうから、聞いているはなにとってはあまり気分の良いものではないんだろう。
「はなはすごく良い子っていうか、最高の彼女だと感じてるんだ。はなと付き合えて良かったって思うし、彼氏としてはなに楽しい気持ちを提供して共有し合えているんだなって自覚出来ているし」
だからいっぱい頬にキスをして、いっぱい抱き締めて……そういう態度ではなを不安がらせないように努めると共に
「はなは俺が初めての彼氏でしょ? 俺ははなが『2人目』の彼女ではあるんだけど……実質俺もはなに初めての『恋』を捧げられているような気がするんだよ。
美月と過ごした2ヶ月も思い出ではあるけど、はなと過ごしている2ヶ月はその何倍も何十倍も充実してて、初めて俺はちゃんとした『彼氏』が出来てるって感じてる」
そうやって素直な気持ちそのままを言葉にして
「はなと付き合っているのに貼り付けたままにしていたのは良くない。それは本当に俺の不手際で、しかも貼り付けていたのを忘れていたなんて美月にも撮ってくれたまさやんにも悪い。だから、はながそれに対して怒る気持ちがあるのなら甘んじて受け入れるよ」
情けなさを真に認め、受け入れ……
「…………」
「はな、本当にごめんなさい」
ハグを解いて、はなに向かって深く深く頭を下げたんだ。
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