I.B.(そこそこリアルな冒険者の性春事情!)

リカトラン

文字の大きさ
125 / 173
2nd season 第二章

122 初動

しおりを挟む
「ホルジス様っ、いらっしゃいますかっ!?」

・・・

「はい、おりますよー。あれ?なんか有りました?」
「すみません。ちょっとピンチ・・・かもしれないんで助けてください」
「えーと・・・ふむふむ、つまりアレですね?偽勇者殺したらマズイかって事ですね?」
「やっぱですか」

正直、いまさらザックとかどうでも良かった。
雲の上のイケメンにユリアを寝取られたけど、俺はそのはるか上、成層圏でヤりまくってる。
だが、アイツが俺を飛び越えてS級に上がってるなら・・・たぶん煮えくり返る。

「勇者というのはギフトです。聖剣は・・・まぁ強力ではありますが、あくまでも物ですね。そして現在『勇者』は空席です。私の管轄ですから、間違いありません」
「安心しました・・・うん、これ以上は神様の管轄じゃ無くなりますね。自分でなんとかします」
「はい。でも、動揺して死んだりしないでくださいね?今カインさんに死なれると私もですね、結構困りますんで・・・」
「あははは、ホルジス様とお話できて随分落ち着いてきました。大丈夫、卑怯さには自信がありますっ!」



一番の心配事は消えた。
二番目は・・・

コンコン

「入れっ!」
「皆様をお連れしました」

ヤザンが皆を呼んできた。

「ヤザン、説明は?」
「はい、私の持っている情報は概ね」
「ん、追加情報だ。向こうの勇者は『偽』だ。俺が王都で売っぱらった『聖剣』をどっかで手に入れたものがでっち上げた。ホルジス様に確認した」

「猊下?今『聖剣』を売ったとおっしゃいましたか?」
「あー、ヤザンは知らなかったな?ホルジス様にもらったんだけど、ユリア買うのに金が足りなかったんだ。だから売った」
「・・・猊下・・・あなたと言う人は・・・」
「いや、ホルジス様もオッケーって言ってたし?むしろ良かったって言ってたし?」

「あんたッ!ふざけてる場合じゃないっしょ?」
「あー、そうだな・・・うん、ニェリーザさん、大事な質問がある。現在S級冒険者は存在するか?」
「冒険者のランクはA級まで・・・猊下はS級についてどこでお知りに?」
「そこはまたいずれ・・・S級が誰に与えられるもので、最後に与えられたものがどうなったかも知っています・・・今知りたいのは、ここ最近、S級が与えられるような事があったか否かです」

「ふむ・・・ホルジス様か・・・私が知る限り、その後は一人も居ないはずだ。与えるなら大々的に宣伝する。本部が隠しているとも思えん」
「ありがとうございます。これで問題は無くなりました・・・いや、あったか・・・ユリア」

「はいっ!」
「あ、その前に・・・すまないがヤザンとニェリーザさんは少し外して下さい。先に家族の話を済ませます。その、夜の生活が含まれる話題なので・・・軍事の話をする前に呼びますので、扉の外で待機してもらっていいですか?」

「はっ!」
「ふむ、そういう事であれば遠慮しよう・・・」

「ユリア、敵軍の大将はザックさんだ」

二人が退出するのを見届けて、ユリアにザックの私信を渡す。

「えっ・・・なんで・・・」

ユリアの表情かおが驚きと悲しみに染まる。

「もう一度皆に言っておく。っていうか言わせて?本当にもうザックとかどうでも良かったんだ。あの頃の俺は、俺もユリアも子供だった。むしろザックさんたちには命を助けられた恩がある。イケメンに対する嫉妬程度のものはあるけど、殺したい程なんかじゃない。だが、殺すことになる・・・その、ユリア寝取られて嫉妬で殺す風で、カッコ悪いじゃん?そういうの?だから言い訳しときたかった」
「えっ?偽勇者って例の?ユリアちゃんの?」

「ああ、そうだ・・・ユリア、大丈夫か?」
「・・・はいっ!助けもらったから・・・悲しいけれど・・・カインや皆と比べられるような人じゃ無いです・・・カインを狙うなら・・・私が殺します」
「うん、ありがとう。みんなもいいね?仕事だからやるんで、嫉妬じゃないからね?」

「アンタ・・・この一大事に変なとこ気にするわね?」
「うっさいっ!フツメンのコンプレックスは複雑なんだっ!あと、終わったらみんなでマイクロビキニお願いします・・・きっと結構落ち込んでると思います・・・」
「・・・主様・・・追い詰められてるのか余裕あるのかわかりにくい・・・」

うん、たぶん結構追い詰められてると思うよ?
命の恩人と30,000の人間を殺す方法考えるんだから・・・。

「よしっ!ヤザンッ!ニェリーザさんっ!入ってくれっ!」

「猊下・・・あまり時間がありません・・・どうか脱出の準備を」

「あー、ヤザン、ニェリーザさんも。ロックハウス家には秘密兵器が色々ある。それを使えばそうだな・・・帝国が相手でも勝てるくらいの危険な物もだ。だからとりあえず安心してほしい。うちの連中、焦ってないだろ?」
「・・・確かに・・・してそれは?」
「悪いな。それは秘密だ。この秘密は俺とベッドを伴にする女にしか教えない掟だ。嫌だろ?俺と寝るの?」
「それは遠慮したいですな」
「わっ、わたしは猊下がどうしてもというならその・・・」

うん、推定年齢200歳とかリアクション困るし。

「で、アンタ、どうすんの?」
「うーん、どっちにするか悩んでる。夜のうちに安全に全滅させるか、今後のために、各国の間者が見てる前で堂々と叩き潰すか。前者なら俺が一人で行くんだけど、後者だとみんなにも防衛頑張ってもらう事になる・・・ニェリーザさん、ニェリーザさんの知ってる魔法の中で、一番射程が長いのってどれくらいですか?」

「射程?変な事を聞くな?そこそこの腕でも30メートルがいいとこだろう、かつて50メートル近い広範囲殲滅魔法を一度見たが、昨今はそこまでの使い手は耳にしない」
「ふむ・・・今のニェリーザさんなら、カイナルドで何メートルまで仕留められますか?」
「1,200・・・と言いたいところだが、1,000だな。それを超えると自信が無い」

うーん、10mブロックじゃ魔法でも届くんだよな・・・魔物とはそこが違う。

「猊下、その秘密兵器を使えば本当に勝てるのですか?」
「あー、今回は使わないぞ?こんなに近くで使ったら聖都が消し飛ぶ」
「・・・にわかには・・・信じ難いですが・・・」

うーん、三万人が横一列に並んだら21km。
夜中に闇討ちしても結構打ち漏らしそうだな・・・大将逃したら長引きそうだし。

「よしっ、決めた。明日夜明けとともに打って出る」
「っしゃぁぁあ、盛り上がってきたーっ!」
「あっ、みんなは防衛だからな?出るのは俺だけだぞ?」
「えーっ!」
「猊下っ!それはいくらなんでも!」

「確かに三万人は骨が折れるけど、それで俺が死ぬと思う人、挙手っ!」

ヤザンとニェリーザさんだけがおずおずと手を挙げる。

「なっ?ウチの連中、だれも心配してないだろ?俺、卑怯さにかけては定評があるんだ」
「でも、魔物と違って飛び道具あんのよ?けっこうヤラれんじゃ無いの?」

「うん、9本あるAMRのうち、8本置いてくから、痛そうな奴から狙撃頼むよ。みんなははリロード係な?アリス、期待してるぞ?ユリアはいつも通りみんなの護衛。ニェリーザさんは・・・1km切ってくるのが居たらお願いします」

「ちょっと待て、シリア殿の狙撃距離は何メートルあるのだ?」
「ん?2kmくらいならいけるわね?」
「なっ!?」

コンコン

「報告がありますっ!」
「入れっ!」

苦虫君と暗部かな?が入ってきた。

「偵察隊が戻りましたっ!敵軍の数、1万2千。他に伏兵は発見できずとの事ですっ!」
「ご苦労・・・敵さん、随分と盛ったな?だが念の為、応援を呼んでおこう」
「応援?ですか?」
「ニェリーザさん、お使いお願いしていい?」

納得いかなげなニェリーザさんが退出し、部外者はヤザンだけになった。

「で、ヤザン、ここまでで質問は?」
「『で』って言われても・・・全然意味がわからないのですが・・・」
「よしっ、質問はなさそうだ。演説に行くぞ!みんな、民を安心させるんだ。堂々と胸を張れっ!」
「「「「「はっ!」」」」」
「猊下っ?」


~~~~~


いつものバルコニー。
全外門が封鎖されるという異例の事態に、見下ろす民の顔も不安そうだ。
ゆっくりと深呼吸。
うっし!
スタスタと魔道具の前に歩み出る。

「諸君っ!現在我が国は戦争状態にあるっ!」

なっ!
戦争!?
どういう事だ!?

「驚くのも無理は無い。つい一時間ほど前、宣戦布告状が届けられ、敵軍三万が、聖都の西5kmに布陣しているっ!」

三万っ!?

「対して聖都の国軍は1300っ!そして敵軍の望みは『俺の首』だっ!」

ざわっ ざわざわっ

「聖都の民よ?どうする?俺の首を落として差し出すか?前教皇に戻せば攻め入らぬそうだぞ?」

ゴクリッ・・・広場に緊張が奔る。

「案ずるな、明日の朝、俺自身がこの足で、首を運んでいこう」

げっ、猊下っ?
教皇さまぁ~~~!
私達のために・・・

「勘違いするな?降伏などしないっ!する必要が無いからだっ!」

???

「敵軍の大将は『聖剣の勇者』だそうだ・・・だが、偽物だ!ホルジス様のおられる我が国にハッタリは通じんっ!」

偽?
勇者っ?

「諸君の中にも疑問に思うものが居るだろう!何故この若造が教皇に!何の取り柄も無い男が教皇にと」

しーん

「良い機会だ。明日はその理由を皆に見せよう。そして各国から偵察に来ている間者の諸君っ!しっかりと見て報告せよっ!聖教国に弓引いてはならぬと!あの男に弓引けば後悔する事すらできぬとなっ!」

ざわっ ざわざわっ

「シリアっ!我妻よっ!我が愛すべきロックハウスの女達よ!前に出よっ!」

バルコニーの端、都民たちからよく見える位置までみんなが移動する。

「どうだ民よっ!白の騎士に不安は見えるかっ!?我が妻たちは不安そうかっ!?」

おおおーっ!
騎士さまぁぁぁ!
聖女さまぁぁぁぁ!

「今夜は外に出られん、少々窮屈な思いをさせるが、早く寝ろっ!そして心臓に自信のあるもの、敵兵の蹴散らされる様が見たいものは明日の夜明け、外城壁に昇ることを許そうっ!そこでしかと眼に焼き付けよ!ホルジス様のおわすこの都に弓引くものが、どんな末路をたどるものかっ!諸君は明日っ、それを知るだろうっ!」

うぉぉぉぉぉぉ!
猊下ァァァァ!
聖女様ァァァァ!




はぁぁぁぁぁぁ、憂鬱だ。
負ければ死んじゃうし、勝てば魔王級の大量虐殺。
宣戦布告されるとと同時に、気球で帝都をどっかーんの予定だったのに・・・相手も状況もタインミングも、全部ハズレた・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁ。
しおりを挟む
感想 240

あなたにおすすめの小説

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...