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2nd season 第二章
130 フツメンの妻たち
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「なんでこんな奴にべた惚れなんだろうって時々思うけど、やっぱあぁゆうとこよね~」
「そうそう、普通なら『俺ってばみんなの為に犠牲になってるじゃん?』みたいなアピールがビンビン来て、めっちゃウザいのに、ほんとに素ですよ?」
「カイン様は純粋に、私達に安全で居て欲しい、それだけですわね・・・イイ男・・・」
「ああ、主殿は良い男だ!・・・だが、なんの話だ?」
「「「「「・・・」」」」」
「アベルさん?旦那様は、私達が逆恨みされないよう、自分が悪者になったんです。『助けよう』って言い出したの自分なくせに、私達が頼み込むから仕方なく助けてやったんだって、そう言ってたでしょう?」
「・・・主殿・・・そんな意味が・・・うううっ、私は感動したっ!」
「でも、なんで一緒に行っちゃダメだったんだ?」
「あー、たぶんだけど、あたしらに見せたくなかったんじゃない?ミズーラ王都・・・酷いことになってると思うし・・・自分が一番ヘタレのくせにね?」
「なるほど・・・」
「それとアイツ、連れて帰ってくるわよ。あの人達」
「そっ、そうなのかっ!?」
「あー、私もそう思うかな?きっと下手な?小芝居とかしてる頃かな?」
三年も一緒に暮らしていれば、男はバレていないつもりでも、大抵のことは嫁に筒抜けだ。
「住む場所と仕事が要りますね~?」
「郵便事業はダメね。ちょっと信用出来ないわっ!」
「スパは地元の競争率が高いし・・・カイナルドは機密だし・・・そうなると縫製事業?」
「だが、今の人数でも充分足りているぞ?救護院の者は働き者が多い!」
「んー、輸出かしら?」
「輸出?」
「そう。ホラ?ミニスカート?アイツのスケベな目的で始めた商品だけど、確かに可愛いし、安くできるわ?お金の無い若い子でも、新しい服が買えるって嬉しいじゃない?同じように生地が少ないホットパンツだって、ミシンで縫えばあっという間に出来ちゃうし、神殿で売れば関税もかからないから、どんどん縫って、世界中に売ってみない?」
そう『関税』というくらいだ。それは『関所』で徴収される。
だが、神殿は関所の内側にある。
関所を通らないのだから、どれだけ輸出しても関税はかからない。
たとえその抜け道に国が気付いても、今回の件で、神殿に『税を払え』と言い出せる国はそうそうなくなったはずだ。
「あとはね?子供服って、どう思うっ?」
「子供用・・・の服ですか?」
「そう!救護院で何を作るか話してるときに、アイツがポロッとこぼしたのよ!向こうの世界では、子供用の小さな服が、新品で誰でも買えるんだって!生地が少なくて安くできるけど『全然俺にメリットが無い』って却下してたわ!」
「「「「「・・・主様・・・」」」」」
かつて地球でも、洋服は貴重なものだった。
貴族や豪商がオーダーメイドで洋服を仕立て、それが古くなると街の洋服屋にならぶ。
平民はそれを購入して、手直ししながら着ていたのだ。
新品の服を平民が手に入れるには、贈答品などで生地を貰い受け、それを自分で縫い上げるような場合が殆ど、平民向けの新品既製服という概念は、産業革命以降のものなのである。
当時は良い生地と言えば、父から子へ、子から孫へ、三代に渡って仕立て直しても、毛羽立ちや型崩れのおきない、しっかりとした織りの物を指す言葉だった。
「アイツ、よく言ってるでしょ?薄汚くしてるから病気になるんだって。着古しのボロをあちこちつまんで着せるんじゃなく、ちゃんとサイズに合ったキレイな服を着せるだけで、ずっと病気になり難くなるんだって」
「あー、なんか聞いたことあるかな?」
「あたしも、子供用でオシャレとかはさすがに贅沢だと思うの。でも、同じデザインで大きさだけ沢山用意して、丈夫で暖かい子供服、どこまで安くできるか、挑戦してみない?」
この時発案された子供服ブランド『KIDS(安易な命名 by カイン)』は『毎日着替える子供服』という、この世界ではセンセーショナルなキャッチコピーで登場。
神殿商品という事で、だれが言うともなく『病魔を妨げる加護がある』『洗うごとに加護が蘇る』という噂がまことしやかに囁かれるようになり、世界中で独占シェアを獲得する成長事業となる。
この件について教皇は『シコミジャナイヨ?ホントダヨ?』と、コメントしたという。
「まっ、それはさておき、リーザさん?どうだった?」
「うむ・・・想像以上だな。確かにアレならば、皆で分け合っても釣りが来る・・・あんなに満たされたのは、いつぶりの事か・・・」
「リーザさん、高レベルの恋人とか、居なかったんですか?」
「うむ・・・身近な高レベルの男は・・・大抵が弟子だった・・・さすがにな?」
「「「「「あー・・・」」」」」
「だが、やはり不思議だ・・・その、カラダの方はともかく、気持ち的に、嫉妬したり、不仲になったりはしないのか?」
「うーん、まっ、それぞれに、嫉妬は少しはあるんじゃない?女だし。でもあたしたちはアイツの女であると同時にC級パーティー『ロックハウス』。背中を預け合う仲間よ。そして今はそれ以上に『ロックハウス家の女達』として、家族としての絆があるわ。それに・・・こうなるまでは知らなかったけど、ご飯って、独り占めするより、少し足りないくらいを、皆で一緒に食べたほうがおいしくない?」
「ふむ・・・なんとなく理解した・・・気がする。だが、私は猊下に懸想しているわけではない、良いのか?」
「ニェリーザさん。私達の全員が、カイン様を愛しているわけでは無いの。その思いは様々。そしてライザさんは別の男性を選んだけれど、それでもロックハウス家の女であると思います」
「だな。主様は好きだけど、愛してないな?でも、いつか好きな男が出来て、主様とシなくなっても、あーしはロックハウス家の女だな?」
「私はもうダメ。主様とシないとか考えらんないかな?」
「っていうか私達、一子爵の私兵騎士。それもヒマを出されて仕官すら望めなかったのに、今や聖教国の『白の騎士』ですよ?みんな姓まで貰っちゃって。『好きとかじゃないなー』って思ってたのに、なんかこう・・・ふわふわっと、しちゃいません?私をお姫様にしてくれた人ぉ~的な?」
「あるある!私も『お風呂係』だった時は普通だったけど、なんか『忠誠心?』みたいなの芽生えまくった!ファイヤーボールまでしか使えないのに、ファイヤーだけで世界と戦えちゃうんだよ?もうね?騎士になった気分っ!」
「うん、騎士だしね?」
「なるほど、それならばよく分かる。伝説の存在でしか無かったホルジス様に直接お声をかけて頂き、『使徒』の刻印まで頂戴した。それも皆『猊下の身内』と認められての事だからな。地味なのに、凄い男だ」
「まっ、フツメンの王ね?」
「キング・オブ・フツメン?」
「ぶふぉっ!」
「もうっ!皆さん酷いですよ?旦那様は昔からイケメンですっ!」
「「「「「・・・」」」」」
「えっ・・・ユリアの中ではアイツ、イケメンなの?」
「めちゃめちゃカッコイイじゃないですか?私、四歳のときにはもう好きでしたよ?」
「てっきりユリアちゃんは幼馴染的なアレで、主様が大切なんだと思ってたかな?」
「衝撃の事実ね?ユリア・・・ちょっと不憫よ?」
「もしかして、もしかしてだけど、ユリアちゃんの中では、アルフレッド様より主様の方がイケメンなの?」
「うん、ナイス質問よ、リシェルさん!」
「勿論ですよ!?アルフレッド様って、なんかこう、ピラピラしてて、カインの方がキュッとしてるじゃないですか?」
「うん、わからん。主殿は良い男だが、これっばっかりはわからん」
「うわぁ・・・私の中のユリアちゃんのイメージが、ガラガラと音を立てて崩れてゆく」
「まっ、まぁ、アイツにとってはいいんじゃない?偶然家が近所だっただけで惚れてるんじゃなく、顔でもちゃんと惚れてくれてるんだから、喜ぶわね?しかもこんな超絶美女よ?うん、いいことだわ?そうよね?」
「無理っ!この衝撃はエマ師匠の『チンポ穴』事件を超えたかもしれない・・・」
「ぶふぉっ!」
「むっ?何かね?その『・・・』事件というのは?」
「うふふふ♡聞きたいかな?聞きたいかな?」
「「「「「聞きたくないっ!」」」」」
ロックハウス家は平穏な日常を取り戻しつつあった。
「そうそう、普通なら『俺ってばみんなの為に犠牲になってるじゃん?』みたいなアピールがビンビン来て、めっちゃウザいのに、ほんとに素ですよ?」
「カイン様は純粋に、私達に安全で居て欲しい、それだけですわね・・・イイ男・・・」
「ああ、主殿は良い男だ!・・・だが、なんの話だ?」
「「「「「・・・」」」」」
「アベルさん?旦那様は、私達が逆恨みされないよう、自分が悪者になったんです。『助けよう』って言い出したの自分なくせに、私達が頼み込むから仕方なく助けてやったんだって、そう言ってたでしょう?」
「・・・主殿・・・そんな意味が・・・うううっ、私は感動したっ!」
「でも、なんで一緒に行っちゃダメだったんだ?」
「あー、たぶんだけど、あたしらに見せたくなかったんじゃない?ミズーラ王都・・・酷いことになってると思うし・・・自分が一番ヘタレのくせにね?」
「なるほど・・・」
「それとアイツ、連れて帰ってくるわよ。あの人達」
「そっ、そうなのかっ!?」
「あー、私もそう思うかな?きっと下手な?小芝居とかしてる頃かな?」
三年も一緒に暮らしていれば、男はバレていないつもりでも、大抵のことは嫁に筒抜けだ。
「住む場所と仕事が要りますね~?」
「郵便事業はダメね。ちょっと信用出来ないわっ!」
「スパは地元の競争率が高いし・・・カイナルドは機密だし・・・そうなると縫製事業?」
「だが、今の人数でも充分足りているぞ?救護院の者は働き者が多い!」
「んー、輸出かしら?」
「輸出?」
「そう。ホラ?ミニスカート?アイツのスケベな目的で始めた商品だけど、確かに可愛いし、安くできるわ?お金の無い若い子でも、新しい服が買えるって嬉しいじゃない?同じように生地が少ないホットパンツだって、ミシンで縫えばあっという間に出来ちゃうし、神殿で売れば関税もかからないから、どんどん縫って、世界中に売ってみない?」
そう『関税』というくらいだ。それは『関所』で徴収される。
だが、神殿は関所の内側にある。
関所を通らないのだから、どれだけ輸出しても関税はかからない。
たとえその抜け道に国が気付いても、今回の件で、神殿に『税を払え』と言い出せる国はそうそうなくなったはずだ。
「あとはね?子供服って、どう思うっ?」
「子供用・・・の服ですか?」
「そう!救護院で何を作るか話してるときに、アイツがポロッとこぼしたのよ!向こうの世界では、子供用の小さな服が、新品で誰でも買えるんだって!生地が少なくて安くできるけど『全然俺にメリットが無い』って却下してたわ!」
「「「「「・・・主様・・・」」」」」
かつて地球でも、洋服は貴重なものだった。
貴族や豪商がオーダーメイドで洋服を仕立て、それが古くなると街の洋服屋にならぶ。
平民はそれを購入して、手直ししながら着ていたのだ。
新品の服を平民が手に入れるには、贈答品などで生地を貰い受け、それを自分で縫い上げるような場合が殆ど、平民向けの新品既製服という概念は、産業革命以降のものなのである。
当時は良い生地と言えば、父から子へ、子から孫へ、三代に渡って仕立て直しても、毛羽立ちや型崩れのおきない、しっかりとした織りの物を指す言葉だった。
「アイツ、よく言ってるでしょ?薄汚くしてるから病気になるんだって。着古しのボロをあちこちつまんで着せるんじゃなく、ちゃんとサイズに合ったキレイな服を着せるだけで、ずっと病気になり難くなるんだって」
「あー、なんか聞いたことあるかな?」
「あたしも、子供用でオシャレとかはさすがに贅沢だと思うの。でも、同じデザインで大きさだけ沢山用意して、丈夫で暖かい子供服、どこまで安くできるか、挑戦してみない?」
この時発案された子供服ブランド『KIDS(安易な命名 by カイン)』は『毎日着替える子供服』という、この世界ではセンセーショナルなキャッチコピーで登場。
神殿商品という事で、だれが言うともなく『病魔を妨げる加護がある』『洗うごとに加護が蘇る』という噂がまことしやかに囁かれるようになり、世界中で独占シェアを獲得する成長事業となる。
この件について教皇は『シコミジャナイヨ?ホントダヨ?』と、コメントしたという。
「まっ、それはさておき、リーザさん?どうだった?」
「うむ・・・想像以上だな。確かにアレならば、皆で分け合っても釣りが来る・・・あんなに満たされたのは、いつぶりの事か・・・」
「リーザさん、高レベルの恋人とか、居なかったんですか?」
「うむ・・・身近な高レベルの男は・・・大抵が弟子だった・・・さすがにな?」
「「「「「あー・・・」」」」」
「だが、やはり不思議だ・・・その、カラダの方はともかく、気持ち的に、嫉妬したり、不仲になったりはしないのか?」
「うーん、まっ、それぞれに、嫉妬は少しはあるんじゃない?女だし。でもあたしたちはアイツの女であると同時にC級パーティー『ロックハウス』。背中を預け合う仲間よ。そして今はそれ以上に『ロックハウス家の女達』として、家族としての絆があるわ。それに・・・こうなるまでは知らなかったけど、ご飯って、独り占めするより、少し足りないくらいを、皆で一緒に食べたほうがおいしくない?」
「ふむ・・・なんとなく理解した・・・気がする。だが、私は猊下に懸想しているわけではない、良いのか?」
「ニェリーザさん。私達の全員が、カイン様を愛しているわけでは無いの。その思いは様々。そしてライザさんは別の男性を選んだけれど、それでもロックハウス家の女であると思います」
「だな。主様は好きだけど、愛してないな?でも、いつか好きな男が出来て、主様とシなくなっても、あーしはロックハウス家の女だな?」
「私はもうダメ。主様とシないとか考えらんないかな?」
「っていうか私達、一子爵の私兵騎士。それもヒマを出されて仕官すら望めなかったのに、今や聖教国の『白の騎士』ですよ?みんな姓まで貰っちゃって。『好きとかじゃないなー』って思ってたのに、なんかこう・・・ふわふわっと、しちゃいません?私をお姫様にしてくれた人ぉ~的な?」
「あるある!私も『お風呂係』だった時は普通だったけど、なんか『忠誠心?』みたいなの芽生えまくった!ファイヤーボールまでしか使えないのに、ファイヤーだけで世界と戦えちゃうんだよ?もうね?騎士になった気分っ!」
「うん、騎士だしね?」
「なるほど、それならばよく分かる。伝説の存在でしか無かったホルジス様に直接お声をかけて頂き、『使徒』の刻印まで頂戴した。それも皆『猊下の身内』と認められての事だからな。地味なのに、凄い男だ」
「まっ、フツメンの王ね?」
「キング・オブ・フツメン?」
「ぶふぉっ!」
「もうっ!皆さん酷いですよ?旦那様は昔からイケメンですっ!」
「「「「「・・・」」」」」
「えっ・・・ユリアの中ではアイツ、イケメンなの?」
「めちゃめちゃカッコイイじゃないですか?私、四歳のときにはもう好きでしたよ?」
「てっきりユリアちゃんは幼馴染的なアレで、主様が大切なんだと思ってたかな?」
「衝撃の事実ね?ユリア・・・ちょっと不憫よ?」
「もしかして、もしかしてだけど、ユリアちゃんの中では、アルフレッド様より主様の方がイケメンなの?」
「うん、ナイス質問よ、リシェルさん!」
「勿論ですよ!?アルフレッド様って、なんかこう、ピラピラしてて、カインの方がキュッとしてるじゃないですか?」
「うん、わからん。主殿は良い男だが、これっばっかりはわからん」
「うわぁ・・・私の中のユリアちゃんのイメージが、ガラガラと音を立てて崩れてゆく」
「まっ、まぁ、アイツにとってはいいんじゃない?偶然家が近所だっただけで惚れてるんじゃなく、顔でもちゃんと惚れてくれてるんだから、喜ぶわね?しかもこんな超絶美女よ?うん、いいことだわ?そうよね?」
「無理っ!この衝撃はエマ師匠の『チンポ穴』事件を超えたかもしれない・・・」
「ぶふぉっ!」
「むっ?何かね?その『・・・』事件というのは?」
「うふふふ♡聞きたいかな?聞きたいかな?」
「「「「「聞きたくないっ!」」」」」
ロックハウス家は平穏な日常を取り戻しつつあった。
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