魔術師の少女が仕事にも恋愛にも全力でぶつかっていくお話。

imu

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まじめにお仕事もするのです。※

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※流血・切断描写あり。
_____________________



西の森の奥にある鉱山近くに、大量の魔物が出ました。

その情報が入ったのは、最近、魔物被害に慌ただしくなってきていた時だ。

西にある鉱山では、この国の特産品のひとつである、宝石などの鉱物が採れる場所である。働く人も多いその場所だ。

これは急ぎ向かわねばと、遠征の準備をし、出発したのが4日前。

休む間も無くたどり着いた先には、疲弊しきった兵士や、そこで働く村人達。その中には、傷を負った者もおり、治癒特化の魔術師が、早急に治療にあたり始める。

攻撃特化の中で、治癒魔術が使える者も加勢する。
私も、その内の一人である。

怪我の酷い者から順に、治療にあたった。





「ふぅ、この人で最後ね。」

人数は多かったが、幸い、軽傷者がほとんどで、思っていたより早く治療が終わった。

同じく治療にあたっていたアリア副団長に、お疲れ様、と声をかけられ、アリア副団長も、お疲れ様です、と返す。

アレクサンダー団長から、集合!と声がかかり、急ぎ集まる。


今回の遠征は、負傷者が多い事も予想し、ヨシュリア 騎士団に所属していない治癒特化の魔術師も十数名参加している。

本当は、騎士団内の魔術師のみを連れてきたかったのだが、他の遠征に行っており、兵士の中から立候補してくれた者達が今回着いてきてくれた。


「きゃあ!やっぱり、騎士団の魔剣士様はかっこいいわ!」

「本当ね!今日来てよかったわ!もしかしたらお近づきになれるかもしれないわよ!」

ただ、目的を忘れているのか、ただ浮かれているのか、はじめての遠征にはしゃいでいる者もいる。

私が言えることではないが、もう少し真面目に取り組んで欲しいものだ。



「ここでの兵士の情報によると、魔獣は、ザッと見ただけでも百を超えるらしい。力はそれほど強くないとのことだが、油断をしないように!出没時間は真夜中。今が夕方だから、そう遅くない時間に出始めるだろう。今のうちにテントなどの準備をし、休める者は休め。それ以外の者は周囲への警戒を怠るな!」

それでは、解散!の声に、各自準備を始める。

早めの夕食をとり、見張りしていた者と交代する。

近くから、シャロン様がかっこいいわ、私はノア様かしら、アレクサンダー様に決まっているじゃない、え、でもイリヤ様も素敵よ、との声が聞こえる。

攻撃を得意としない彼女達は、見張りの役目はないが、本当に、少しでもいいから、緊張感を持ってもらいたいものである。





日付が変わる頃。

辺りに魔獣の気配を感じる。

アレクサンダー団長が合図をすると同時に、皆が戦闘を開始した。


沢山の獣の雄叫びと、剣が裂く音、魔術があたる音が聞こえる。

血生臭いにおいが漂う中、私たちの背後の方から悲鳴が聞こえた。

魔獣を相手にしつつ確認すると、魔獣が数匹、村人達がいる方で暴れているようだ。
急いで向かおうとするが、近くにいる魔獣が多く、なかなか向かうことが出来ない。

ようやく現場に向かえ、そこで見た光景は、倒された魔獣に、倒したであろう数人の剣士、魔剣士達。それに、6人の魔術師に治癒魔術を受けている血だらけのアリア副団長の姿だった。




息も絶え絶えなアリア副団長は、魔獣に噛みちぎられたのであろう、左腕はなく、脇腹もだいぶ抉られ夥しいほどの血が出ている。
なぜアリア副団長がこうなっているのか分からないが、早く治療を施さないと、命が危ないだろう。

「そこを退いてください。」

騎士団で顔を合わせたことがある2人の魔術師は、よろしくね、と言って場所を代わってくれる。

「ちょっと!なんで変わるの⁉︎この子は攻撃特化の魔術師でしょ⁉︎」

「そうです!これは治癒特化である魔術師の仕事ですよ⁉︎」

4人残った魔術師は、楽しそうに話しをしていた彼女達だった。

「確かに私は攻撃特化の魔術師として所属しています。ですが、貴方達ではこの人を助けられない。分かるでしょう?」

治癒の魔術は、まず、自分自身には適用されない。また、自分より上の位の魔術師には治癒魔術の効果は低いのである。

「わかっているわよ!でも、貴方みたいなガキがこの方を助けられるわけないじゃない!」

「そうよ!ふざけてないで、さっきの2人を呼んで頂戴!」

「私達も治癒魔術師よ⁉︎貴方より役にた「いい加減に!…いい加減にしてください!!!」

「貴方達は、自分の力量を見誤っている!このままではアリア副団長は死んでしまう!貴方達の魔力は邪魔だ!私なら、この方を助けられる!」

そう言って、私とアリア副団長の周りに結界魔術を発動させる。

我慢の限界だった。

何かを喚いている彼女達の声を無視し、アリア副団長を確認する。

もう息をしているか分からないほど弱ってしまっているが、微かに胸が上下しているのが分かる。

失敗は許されない。

早くしなければと、私は一呼吸し目を閉じる。

目の前の彼女に集中し、魔術を発動させた。
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