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俺の人生の半分は、この兄妹で彩られていると言っても過言ではない。※
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※若干の流血表現あり。
____________________
俺の人生は、あの時からとても騒がしいものになった。
____________
シャロン・アストゥリアス 10歳。
誕生日を迎えたばかりの俺は、この国では裕福な家庭に生まれた。
その日は、週に5日来る家庭教師が熱でダウンし、その日の用事が無くなった。
暇になった俺は家を出て、街を回る。
特に欲しいものもなく、並ぶ商品を横目に店を眺めていれば、道を走り回る小さな子供達が目に入った。
本来、自分の性格的に騒々しいところは好きではない。
ならなぜここに来たのだと言われれば、ただの気まぐれだ。
どこか静かな場所はないかと街から外れたところに行けば、少し冷たい風が近くの小さな森から流れてきた。
いつもならば、危険と言われる森に入る事はないが、その日はなぜか誘われる様に足を踏み入れた。
30分ほど歩き続け、森をさまよえば、少しひらけた場所に出た。
そこでしばし休憩を取り、腹が減ったと腰を上げれば、どこからか少女の泣く声が聞こえる。
自分が言うのもなんだが、こんな危険な森に入るなんてなんてバカな子供だと、泣き声がする方に向かえば、少女の悲鳴が聞こえた。
慌てて向かえば、狼の魔獣に襲われかけている薄桃色の髪の少女がいた。
綺麗な顔をしたその子は、大きな目から涙を溢れさせている。
この時、魔獣を初めて見たが、思っていたほど恐怖を感じなかった。
護身術の為にと習っていた日頃の稽古のおかげだろうか。
何か武器になりそうな物はないかと辺りを見渡せば、少し太めの木の棒しかない。
それを取り、自分の得意な氷の魔術を使い、棒に纏わせる。
剣の様な形になったそれを持ち、少女を襲う魔獣に斬りかかれば、ブシャッ、と血が噴き出した。
それを避け、再度魔術を使い魔獣を凍らせる。
上手くいったと助けた少女を見れば、俺が避けたであろう魔獣の血を被った少女がいた。
うわ……。と思いつつも、少しは自分が関わっているしと座り込んでいる少女に手を差し出せば、今さっきまで濡れていた瞳を輝かせ、俺の手を握った。
その後、森を出ようと歩いていれば、隣にいた少女が、おにいちゃん!と掴んでいた手を離し、白銀の髪をした少年に近付いていく。
うわっ、セシリーどうしたのぉ⁉︎汚ーい!と言う少年に、あの人がね、私をね、助けてくれたの!と興奮気味に説明していた。
その話を聞きながら、水の魔術で少女の汚れを落とし、風の魔術で乾かし、光の魔術で傷を治療する少年の手際の良さに目を見張る。
自分も水魔術は得意で、それから氷系を扱うことができる様になった。
一つの属性を極めるだけでも相当な努力と才能がいるはずだ。
それなのに、目の前の少年はすでに3つの魔術を使い、さらにその一つが光の魔術であるのだから、彼は自分とは比べ物にならないほどに魔力が高く才能があるのだろうと感じた。
「セシリーがお世話になったねぇ。ありがとー。」
そう言って笑う顔はすごく大人びていて、綺麗なはずなのに少し寒気を感じた。
それからお互いに自己紹介をすれば、彼が最年少でこの王国のヨシュリア騎士団、しかもあの第4騎士団に入団した者だと知った。
それならば、さきほどの魔術の意味も分かると納得する。
この王国だけではなく、この世界でも上位の魔力を持つ人物であり、また、それを扱うことができる才能の塊の存在。
その少年は生まれた時から魔術教会で過ごし、妹はいなかったはずだが……。
その隣にいるこの少女が誰かは分からないが、兄妹と本人達が言っているのだし、きっとそれ以外の何者でもないのだろう。
蜂蜜色した瞳も似ている。
そう思っていた俺が、実は血が繋がっていないと聞くのは、これから半年後くらいになる。
日も暮れ始め、その日、その兄妹とは別れた。
もう会うこともないだろう。
そう思っていたのに、まさかこの日を境に、毎日のように遊びに来るとは思わなかったし、セシリアに好きだと言われてその兄からブリザードの様な瞳を向けられるとも思わなかったし、この兄妹が巻き起こす沢山の出来事に巻き込まれて、俺が魔剣士を目指していくとは、この時の俺には少しも想像できていなかった。
____________________
「シャロン様!シャロン様!一緒に遊びましょう!」
「俺は今から剣の稽古があるから。1人で遊んでなよ。」
「じゃあ私も一緒に稽古します!」
「いや、この間それで何もないところで躓いて気絶したのは誰だよ。」
「私です!」
「…あぁ、そうだ。だから諦めろ。」
「イヤですー!私もシャロン様と一緒に強くなるんですー!」
「セシリー!やっぱりここにいたぁ!ほらぁ、早く帰ってお勉強するよぉ。」
「イヤよ!離してお兄ちゃん!」
「もー!わがまま言わないのぉ!」
「やだ!やだ!助けてシャロン様ぁぁぁぁぁあ!!」
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俺の人生は、あの時からとても騒がしいものになった。
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シャロン・アストゥリアス 10歳。
誕生日を迎えたばかりの俺は、この国では裕福な家庭に生まれた。
その日は、週に5日来る家庭教師が熱でダウンし、その日の用事が無くなった。
暇になった俺は家を出て、街を回る。
特に欲しいものもなく、並ぶ商品を横目に店を眺めていれば、道を走り回る小さな子供達が目に入った。
本来、自分の性格的に騒々しいところは好きではない。
ならなぜここに来たのだと言われれば、ただの気まぐれだ。
どこか静かな場所はないかと街から外れたところに行けば、少し冷たい風が近くの小さな森から流れてきた。
いつもならば、危険と言われる森に入る事はないが、その日はなぜか誘われる様に足を踏み入れた。
30分ほど歩き続け、森をさまよえば、少しひらけた場所に出た。
そこでしばし休憩を取り、腹が減ったと腰を上げれば、どこからか少女の泣く声が聞こえる。
自分が言うのもなんだが、こんな危険な森に入るなんてなんてバカな子供だと、泣き声がする方に向かえば、少女の悲鳴が聞こえた。
慌てて向かえば、狼の魔獣に襲われかけている薄桃色の髪の少女がいた。
綺麗な顔をしたその子は、大きな目から涙を溢れさせている。
この時、魔獣を初めて見たが、思っていたほど恐怖を感じなかった。
護身術の為にと習っていた日頃の稽古のおかげだろうか。
何か武器になりそうな物はないかと辺りを見渡せば、少し太めの木の棒しかない。
それを取り、自分の得意な氷の魔術を使い、棒に纏わせる。
剣の様な形になったそれを持ち、少女を襲う魔獣に斬りかかれば、ブシャッ、と血が噴き出した。
それを避け、再度魔術を使い魔獣を凍らせる。
上手くいったと助けた少女を見れば、俺が避けたであろう魔獣の血を被った少女がいた。
うわ……。と思いつつも、少しは自分が関わっているしと座り込んでいる少女に手を差し出せば、今さっきまで濡れていた瞳を輝かせ、俺の手を握った。
その後、森を出ようと歩いていれば、隣にいた少女が、おにいちゃん!と掴んでいた手を離し、白銀の髪をした少年に近付いていく。
うわっ、セシリーどうしたのぉ⁉︎汚ーい!と言う少年に、あの人がね、私をね、助けてくれたの!と興奮気味に説明していた。
その話を聞きながら、水の魔術で少女の汚れを落とし、風の魔術で乾かし、光の魔術で傷を治療する少年の手際の良さに目を見張る。
自分も水魔術は得意で、それから氷系を扱うことができる様になった。
一つの属性を極めるだけでも相当な努力と才能がいるはずだ。
それなのに、目の前の少年はすでに3つの魔術を使い、さらにその一つが光の魔術であるのだから、彼は自分とは比べ物にならないほどに魔力が高く才能があるのだろうと感じた。
「セシリーがお世話になったねぇ。ありがとー。」
そう言って笑う顔はすごく大人びていて、綺麗なはずなのに少し寒気を感じた。
それからお互いに自己紹介をすれば、彼が最年少でこの王国のヨシュリア騎士団、しかもあの第4騎士団に入団した者だと知った。
それならば、さきほどの魔術の意味も分かると納得する。
この王国だけではなく、この世界でも上位の魔力を持つ人物であり、また、それを扱うことができる才能の塊の存在。
その少年は生まれた時から魔術教会で過ごし、妹はいなかったはずだが……。
その隣にいるこの少女が誰かは分からないが、兄妹と本人達が言っているのだし、きっとそれ以外の何者でもないのだろう。
蜂蜜色した瞳も似ている。
そう思っていた俺が、実は血が繋がっていないと聞くのは、これから半年後くらいになる。
日も暮れ始め、その日、その兄妹とは別れた。
もう会うこともないだろう。
そう思っていたのに、まさかこの日を境に、毎日のように遊びに来るとは思わなかったし、セシリアに好きだと言われてその兄からブリザードの様な瞳を向けられるとも思わなかったし、この兄妹が巻き起こす沢山の出来事に巻き込まれて、俺が魔剣士を目指していくとは、この時の俺には少しも想像できていなかった。
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「シャロン様!シャロン様!一緒に遊びましょう!」
「俺は今から剣の稽古があるから。1人で遊んでなよ。」
「じゃあ私も一緒に稽古します!」
「いや、この間それで何もないところで躓いて気絶したのは誰だよ。」
「私です!」
「…あぁ、そうだ。だから諦めろ。」
「イヤですー!私もシャロン様と一緒に強くなるんですー!」
「セシリー!やっぱりここにいたぁ!ほらぁ、早く帰ってお勉強するよぉ。」
「イヤよ!離してお兄ちゃん!」
「もー!わがまま言わないのぉ!」
「やだ!やだ!助けてシャロン様ぁぁぁぁぁあ!!」
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