魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。

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にじゅうよん。

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「もしかして…魔石……?」

「そう。…正確には、魔法石かな。」

もう魔力を入れちゃったし。と私にそれを渡そうとする。

ヒエッ!とビビる私に、落としても簡単には割れないよ。と投げてきた。

「ギャァァァァァァア!…あ、危ない!メリル様⁉︎なんてことを…!」

華麗に指でキャッチすることができず、奇跡的に腕の間にはさまっている魔法石を落とさぬように机に置いた。

なにその取り方!と笑っているメリル様を見て、私は今日も幸せ者だと悟った。



しばらくして、落ち着いたメリル様は、私にハーブティーのおかわりを入れてくれた。

それを一口飲み、カップを置くと、メリル様がもう一度青い箱から魔石を取り出す。

次は何色だろうかと目を輝かせていれば、緑色の魔法石が出来た。

パドマさんの瞳より濃い色をしたその魔法石も、とても綺麗だなと眺める。

そうしていると、次は赤色の魔法石が机に置かれた。

うわぁ!と驚く私は、ただそこで、1つの疑問が浮かんだ。

「…魔法石には、持っている魔力しか入れられないんですよね?」

そう聞くと、メリル様は、何?知らないの?と言って、自身が3属性持ちだと教えてくれた。

2属性も稀なのに、3属性も持っているメリル様は、やはり私が敬崇するお方だった。

「ちなみに、魔石には1つの属性しか入れられないよ。」

「え?そうなんですか?」

「うん。昔試してみたけど、魔石が砂に戻っちゃってね。全部失敗したよ。」

あれは勿体無いことをしたよね。と肩を竦める。

そんなメリル様に、あの、魔法石ってどうやって使うんですか?と聞けば、それも知らないの?と言いながら説明してくれた。

魔法石は、自身と同じ属性のものを身に付けることにより、自身の魔法の威力が上がるらしく、特に戦闘において重宝される。
アクセサリーとして身につけたり、武器に装飾するだけで良いらしい。
補助素材のようだ。

魔石にいれれる魔力の量は、魔石の大きさも関係するが、一番影響されるのは、魔力を入れる人自身の魔力量。メリル様みたいにたくさん魔力がある人が作った魔法石は、他の人が作る魔法石比べて、1.5~2倍ほど違うらしい。さすがです!メリル様!

ただ、効果は無限ではないため、魔法石の中の魔力が無くなったら、サラサラと砂に戻るとの事だ。なんと、使い捨てタイプなんだな。あ、おにぎりは食べてないよ。

だから、貴重な魔石に2つ以上の属性をいれられれば、より多くの属性の魔法石を作ることができ、また、それを使える人も増える。

貴重な魔石だからこそ、どうにかそれが出来ないか、この王国一の魔術師であるメリル様にそのお話がきたが、結果はメリル様が言った通り、不可能だった。

「……メリル様にも出来ないことがあるんですね。」

「君は僕をなんだと思っているの?」

「天使です。」

「…そう。」

話を聞き終わり、思ったことを言うと、呆れた目で見られる。

完璧な人間なんてこの世界にはいないよ。君の元いた世界は知らないけど。と言うメリル様の言葉を聞き、元の世界より完璧ですけど、ここ。と思った。

ただ、思っていたのと違う所といえば、魔法は万能じゃないし、聖女様は世界を救うわけじゃなかったと言う所か。

そう言うのはやはり空想の世界の出来事なんだな。と再認識したが、それでも、魔法は凄く便利だと思うし、聖女様の能力も聞いただけだが、すごいと思う。


そんなことを考えていれば、メリル様が再度魔石を手に取る。

もしや、2属性以上できるか試すのか…?と思い、問いかけると、違うよ。と言ってその石を私に渡してきた。

震える両手で落とさぬように受け取れば、手の中にある1cmほどの大きさの石を見つめる。

「それに、リウの魔力をいれてみて。」

「私のですか……?」

そう聞けば、うん。と簡単な返事をされる。

しかし、私は魔法も使えない。と言うと、魔法石を作るのに魔法は使わないよ。見ていたでしょう?と言われた。

「言う通りにしてくれたらできるはずだから。」

「…はい。」

それに、うまくいけば魔力属性も分かるかもしれないしね。と言うメリル様に、頑張ろう!と心に誓った。

「じゃあ、手のひらに乗せた状態で、魔力の流れを感じて。」

その言葉に、私は目を閉じ、自身に流れる魔力を感じる。

前までなら考えられないその体を巡る力に多少の違和感を覚えていれば、メリル様の声がした。

「…うん。そうしたら、魔石を魔力で包み込むようなイメージで。…そう、いい感じだよ。」

手のひらに置いていた魔石をメリル様がしていたように握り込み、魔力で包み、魔石に集めるように集中する。

その時間は、とても長く感じた。

手の中にある魔石が、私の体温でだろうか?、温かくなってきた頃、メリル様に、もういいよ。と言われる。

緊張していた息を吐き出し、目を開ける。

恐る恐る、握って汗ばんだ手を開いていくと、そこには、色の変わった魔法石があった。
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