美少女にフラれたらなぜかダウジング伊達メガネ女子が彼女になりました!?〜冴えない俺と彼女と俺をフった美少女の謎の三角な関係〜

かねさわ巧

文字の大きさ
5 / 72

第5話 二〇三号室

しおりを挟む
 ――ムニュ。
 
 ――ムニュ。

 仲里なかさとさんをおぶる背中に、彼女の胸の膨らみがつたわって気持ちい……もとい気まずい。

 あのとき車のブレーキが間に合っていなかったら、横断歩道を走り抜けようとした仲里さんは、今ごろ無事では済まなかっただろう……足を捻る程度で済んだのは運が良かった。

 本当は病院で診て貰いたかったけれどスマホで調べてみた感じ、歩いていける距離の病院は休診日だったし、とにかく今は彼女を家まで送り届けなくちゃ。

 ふぅ……ちょっと暑いな。

 どれくらい歩いただろう……あの横断歩道から体感的には二十分ってところか? 

 ――ムニュ。

 そ、それにしても……さっきからずっと胸の感触に意識がいってしまい緊張が半端ない。

 そういえば真宮まみやさんのバッグハグもこんな……。

 いやいや、俺はなにを考えて……仲里さんにたいして失礼だろ。

 だいたい無言のままっていうのが問題なんだよな。

 そんなだから背中にばかり意識がいってしまうんだ。な、なにか話題を……。

「えーと、仲里さん。足、痛む?」

「え……は、はい」

「良かった……」

「……」

 あぁああっ! 俺はなにを言っちゃってるんだ! ちっとも良くねーし! 緊張しすぎて間違えてしまった。

 やばい……なんだか更に気まずい空気になっている。

 彼女ずっと黙ったままだし、もしかして背負われるのが嫌だったのかな。

 公衆の面前でおぶられるなんて恥ずかしいもんなぁ……実際、俺も恥ずかしくないかと言ったら嘘になる。

 とはいえタクシーを呼ぶにも俺の財布の中身はパンとジュースを買えるくらいしか入っていないし、砂川すなかわに連絡して自転車でも持ってこさせ……いや、このあいだ盗まれたとか話していた気がするな。

 ハァ……結構、汗もかいてきたし、誰だよ、今年は冷夏とか言ってたの。

 フラれたうえにこの醜態……最悪だ。

 ――早見くん。

「早見くん?」

 うぉ! 仲里さんが話しかけてきた!

「あ、うん。な、なに? 仲里さん」

「あの……迷惑かけてしまってごめんなさい。その……重くはないですか?」

「だ、大丈夫。迷惑だなんて思ってないし、重いとかないよ。ハハハ」

「……」

 あれ? また沈黙……なんか変なこと言っちゃったのかな……と、とりあえず会話は止めない方がいいよな。

「「あのっ!」」

 やば! タイミングが被って!

「ごめん!」

「いえっ、ごめんなさい。早見くんからどうぞ」

「え? あ、あぁ、うん。ありがとう」

 彼女がなにを言おうとしていたのかは気になるけれど、ここは素直に譲られて俺から……。

 あのとき家を訪ねて来た理由……それを彼女の口から聞きたくて、追いかけてきたんだし。

「あのさ……」

「はい……」

「どうして突然、家を訪ねてきたのかなって。その……俺、フラれたわけだし……」

「そ、それは……その、ごめんなさい。今は上手く言えなくて……」

 うっ……まさかのノーコメント。

 ま、まあ、仕方がない……追求はキモイし、無理に話させるってのも良くないよな。

 入れ替わった発言も気になってはいるけど、また後日に――って、後日なんて来るのか?

「そ、そうだよね、気にしないで。えーっと、この先Y字路になってるけど、どっちに行けばいい?」

「あ、はい。右でお願いします。少し先に青い屋根の建物が見えるので、そこの二階です」

「わかった」

 言われた通りに進むと、そこには三角屋根に可愛い出窓のついたアパートがあった。

 仲里さんってアパート暮らしだったのか……しかも同じ地区に住んでいたなんて。

 てっきり電車で通学しているものだとばかり思っていた。

「えーと、仲里さんの部屋って……」

「二〇三号室です。ここの階段は少し急ですから気をつけてください」

「う、うん」

 ――ぎゅっ。

 うん? 気のせいか一瞬、つよくしがみつかれたような……。

「大丈夫? 落ちそうになった?」

「い、いえ、大丈夫です」

「そっか、二〇三だったよね」

「は、はい」

 ドアの周辺にはとくに名前の書かれた表札はなかったけれど、この奥が仲里さんの部屋らしい……ってまてよ? 自宅ということは家族がいるのでは?

「えーと、家の人いるのかな? チャイム鳴らす?」

「いえ、多分まだ帰っていないと思うので……それで、その……降ろしてもらってもいいですか」

「あっ! ごめん」

 おりやすい高さに腰を落とす――と、背中にのっていた彼女の重みと体温が離れた……なんだか名残惜しい。

「じゃ、じゃあ俺はここで……」

「は、はい。あの、ありがとうございました」

 彼女は軽く頭を下げると、そのまま室内へと入っていってしまった……。

 ふぅ、ひとまずこれで安心だ。

 ――ぐぅ~。

「むむ……」

 彼女を無事に送ることが出来てほっとしたせいなのか、急に腹が空いてきた。

 そういえば昼飯まだだったよな。腹がなっても仕方がないか……コンビニでも寄って帰ろう。

「あ……」

 アパートの階段をおりようとしたそのとき、思わず声が漏れてしまった。

 ――なぜなら階段の下には真宮葵まみやあおいがいたからだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。 将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。 サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。 そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。 サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...