7 / 72
第7話 あんことマーガリン
しおりを挟む
二〇三号室のポストに二人の名字が書かれている。
これって普通に考えたら仲里さんと真宮さんが同じ部屋に住んでいることを意味するよな?
隣どころか一緒に住んでいるだなんて……だったら二人は仲良くて当然だ。
でも……それならどうして、あのときわざわざ俺の家に来てまで真宮さんと話す必要があったんだ?
明日から夏休みだし教室では話せないだろうけれど、家でならいつでも話せるし……。
「うーん……」
ま、まぁ、とりあえず今はここから離れよう。仲里さんの怪我に関しては真宮さんが一緒にいるのだから心配はいらないだろう。
彼女たちのアパートをあとにした俺は、うさぎのラビットとかいうヘンテコな名前のコンビニを見つけたので立ち寄った。
餡子とマーガリンが入ったコッペパンを頬張り、一緒に購入したスポーツドリンクで喉を潤す。
行儀が悪いと言われるだろうけれど、お腹が空きすぎて我慢ができなかったし、外の空気を吸いながら食事というこのスタイルは、インドアな俺がアウトドア気分を味わえる貴重な青春の一コマでもある。
「うん、うまい。やっぱり餡子にマーガリンの組み合わせは最強」
ちなみに珍しい名前のコンビニだったのでスマホで調べてみると最近オープンしたばかりの二号店らしく、一号店はどうも横浜にあるようだ。
「ただいま」
玄関の土間には数時間前に見た真宮さんのローファーは当然あるはずもなく、妹の靴だけが置かれている。
それにしても真宮さんは俺の家をよく見つけたな……どうやって調べたんだ?
家に入るところを、たまたま見かけたとか? まさかの歩いていける距離に住んでいたわけだし、可能性としてはありだよな。
「あ、お兄ちゃ……にぃにぃ、お帰り」
奥の階段を下りながら果奈が声をかけてきた。
制服から私服へと着替えていて、いつものジャージ姿と違いミニスカートとショート丈のTシャツでお腹の辺りが見える格好をしている。露出が多くてお兄ちゃんは心配だ。
「わざわざ言い直さなくても、お兄ちゃんでいいじゃねーか」
「そんなことより、わーは、出かけてくるね」
「ん? わー?」
「沖縄の方言で自分のことを、わーって言うんだって」
「お前はいつから沖縄の人になったんだ?」
「なに言ってんの? それより今夜は友達とご飯食べてくるからね」
なっ! ご、ご飯だと……まさか、男かっ⁉︎
「お前……」
「なに?」
いやいや、はやまるなよ俺……まだ、そうと決まったわけじゃない。
「あ……いや、なんでもない」
か、考えすぎだよな。妹が今日まで男の影をちらつかせることは無かったはず。
「なんか、にぃにぃの考えていることわかった気がする。そういうのハッキリ言ってキモイよ?」
「なっ! なにも言ってねーだろ! もういいから早くいけよ!」
「はぁーい! 行ってくるね!」
「あまり遅くなるなよ」
果奈は振り返りもせずにそのまま外へ出ていった。ドアが閉まると途端に広い家の中がしんとする。
「ハァ……今日は色々ありすぎだよな……なんだか疲れた」
玄関の鍵を閉め、二階の自室へと移動してベッドに横たわる。
「……落ち込んでいる暇も無かったな。結局、仲里さんが家に来た理由も分からずじまいだし」
理由か……そういえば告白を断られた理由ってなんだったんだろう。
彼女、すぐに走っていってしまったし聞く暇もなかったな……でもまあ、もう……。
眠くなってきた……少し眠ろ……う――……。
◇
――とき。
うぅぅ……なんだ……か、身体が重苦し……。
――春時。
聞き覚えのある声……果奈か?
なんだか、お腹のあたりが重苦しい……。
「春時!」
「んぁ?」
――意識が朦朧とするなか目を開けて確認してみる――と、そこには俺の腹の上にまたがる真宮葵の姿があった。
これって普通に考えたら仲里さんと真宮さんが同じ部屋に住んでいることを意味するよな?
隣どころか一緒に住んでいるだなんて……だったら二人は仲良くて当然だ。
でも……それならどうして、あのときわざわざ俺の家に来てまで真宮さんと話す必要があったんだ?
明日から夏休みだし教室では話せないだろうけれど、家でならいつでも話せるし……。
「うーん……」
ま、まぁ、とりあえず今はここから離れよう。仲里さんの怪我に関しては真宮さんが一緒にいるのだから心配はいらないだろう。
彼女たちのアパートをあとにした俺は、うさぎのラビットとかいうヘンテコな名前のコンビニを見つけたので立ち寄った。
餡子とマーガリンが入ったコッペパンを頬張り、一緒に購入したスポーツドリンクで喉を潤す。
行儀が悪いと言われるだろうけれど、お腹が空きすぎて我慢ができなかったし、外の空気を吸いながら食事というこのスタイルは、インドアな俺がアウトドア気分を味わえる貴重な青春の一コマでもある。
「うん、うまい。やっぱり餡子にマーガリンの組み合わせは最強」
ちなみに珍しい名前のコンビニだったのでスマホで調べてみると最近オープンしたばかりの二号店らしく、一号店はどうも横浜にあるようだ。
「ただいま」
玄関の土間には数時間前に見た真宮さんのローファーは当然あるはずもなく、妹の靴だけが置かれている。
それにしても真宮さんは俺の家をよく見つけたな……どうやって調べたんだ?
家に入るところを、たまたま見かけたとか? まさかの歩いていける距離に住んでいたわけだし、可能性としてはありだよな。
「あ、お兄ちゃ……にぃにぃ、お帰り」
奥の階段を下りながら果奈が声をかけてきた。
制服から私服へと着替えていて、いつものジャージ姿と違いミニスカートとショート丈のTシャツでお腹の辺りが見える格好をしている。露出が多くてお兄ちゃんは心配だ。
「わざわざ言い直さなくても、お兄ちゃんでいいじゃねーか」
「そんなことより、わーは、出かけてくるね」
「ん? わー?」
「沖縄の方言で自分のことを、わーって言うんだって」
「お前はいつから沖縄の人になったんだ?」
「なに言ってんの? それより今夜は友達とご飯食べてくるからね」
なっ! ご、ご飯だと……まさか、男かっ⁉︎
「お前……」
「なに?」
いやいや、はやまるなよ俺……まだ、そうと決まったわけじゃない。
「あ……いや、なんでもない」
か、考えすぎだよな。妹が今日まで男の影をちらつかせることは無かったはず。
「なんか、にぃにぃの考えていることわかった気がする。そういうのハッキリ言ってキモイよ?」
「なっ! なにも言ってねーだろ! もういいから早くいけよ!」
「はぁーい! 行ってくるね!」
「あまり遅くなるなよ」
果奈は振り返りもせずにそのまま外へ出ていった。ドアが閉まると途端に広い家の中がしんとする。
「ハァ……今日は色々ありすぎだよな……なんだか疲れた」
玄関の鍵を閉め、二階の自室へと移動してベッドに横たわる。
「……落ち込んでいる暇も無かったな。結局、仲里さんが家に来た理由も分からずじまいだし」
理由か……そういえば告白を断られた理由ってなんだったんだろう。
彼女、すぐに走っていってしまったし聞く暇もなかったな……でもまあ、もう……。
眠くなってきた……少し眠ろ……う――……。
◇
――とき。
うぅぅ……なんだ……か、身体が重苦し……。
――春時。
聞き覚えのある声……果奈か?
なんだか、お腹のあたりが重苦しい……。
「春時!」
「んぁ?」
――意識が朦朧とするなか目を開けて確認してみる――と、そこには俺の腹の上にまたがる真宮葵の姿があった。
0
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる