58 / 72
第58話 やっぱりそうだよね
しおりを挟む
俺のことを『春時っ!』と声をかけてきた果奈のことが気にはなるけれど、今は真宮さんを放っておくわけにはいかない。
仲里さんもいるし、妹は彼女にまかせて真宮さんを見失ってしまう前にあとを追わないと。
視線を館内の奥へと戻す――真宮さんは走るのをやめたみたいで、歩いている姿が確認できた。
俺は周りのお客さんたちの迷惑にならないよう、気をつけながら足を速める。
「真宮さん!」
真宮さんとの距離が徐々に縮み、追いつけたと思った瞬間――彼女は再び走り出してしまった。
「なっ! まって!」
彼女は俺の声など気にもとめず、真っ直ぐ進む。
俺の言葉が通じるわけないか……仲里さんの予想が当たっているならば彼女の中にはペンギンが入っているということになる。
真宮さんの背中を追う――。
「あっ!」
後を追って館内の角を曲がると、そこは行き止まりになっていて、女子トイレがあった。
姿が見当たらないので中にいるのだろう。
「まいったなぁ、女子トイレに入るわけにはいかないし」
仕方がない……すぐに出てくるかも知れないし、ここで様子をみよう。
それにしても、いったいどうなっているんだ。えーと、ペンギンが真宮さんで……アレ? なんだか混乱してきた。
少し整理をしよう。
ダウジングにより入れ替わりが発動したとして、まずは真宮さんの中にはペンギンがいる。これは間違いないだろう……人間が『ピィ!』だなんて声をあげないもんな。
次は妹の果奈だ。俺に対してとった反応を見たかぎり、まるで真宮さんだ。どうしてそうなったのかは分からないけれど、もし果奈の中に真宮さんが入っているとしたらペンギンには……。
「果奈がいるってことじゃ!」
これはまずい……いや、真宮さんでも問題なんだけど、ど、どうしたら……。
だいたい、なんで果奈が巻き込まれているんだ。真宮さんはペンギンに向かって水晶を向けていたはず。
だったら対象はペンギンだけじゃないのか?
果奈が水晶を見つめていたとか? もしくは水槽の反射とか? ダメだ、そもそも入れ替わりの条件みたいなものが分からない。
「あっ」
女子トイレから人が出てきたので一瞬、真宮さんの姿を想像したけれど残念ながら別人だ。
うーん、中で問題を起こしていなければいいのだけど。
まぁ、それなら騒ぎになってるか……とりあえずこのままだと埒が明かないし仲里さんを呼んだ方がいいかもしれない。
スマホを取り出しメッセージを立ち上げる。
「あれ? ここ電波が届かないのか」
館内に入ったときには電波は届いていたような気がしたし、たまたまこの周辺だけがダメなのかも……少し動いた方がいいだろうけど、その間に真宮さんが出てきたら困ってしまうな。
どうしたら……。
「早見くん!」
声に振り向くと、そこには仲里さんが立っていた。
「仲里さんっ! どうして? いぁ……丁度よかった」
「早見くん、なかなか戻ってこないので、心配になって探しにきたんです」
「ごめん。実は真宮さんが女子トイレの中へ入ってしまったみたいで困っていたんだよ」
「そういうことだったんですね。私が中を見てきます」
「うん。頼むよ」
俺の返事に仲里さんはトイレの中へ入っていった。良かった、とりあえずこれで真宮さんは確保できる。
「中に入ってから数分はたつけど、まだかなぁ……」
待っているのが退屈になってきたのでスマホを触ろうとすると、仲里さんが眉をひそめながら出てきた。彼女の後ろには……。
「あれ?」
「早見くん、中には誰もいませんでしたよ?」
「え? そんなわけ……そこの角をたしかに曲がったはずだし、ここは行き止まりになっているから女子トイレにいるはずなんだけど」
「念のため用具入れとか確認の出来るところはすべて見たのですけど」
「そんな……じゃあ真宮さんはどこに……」
「早見くん、真宮さんは私が探してみますので果奈ちゃんのところへ戻ってあげてください。もう気がついていると思うのですけど、中には真宮さんが……」
「やっぱり、そうだよね」
仲里さんはコクンと頷く。
「今はペンギンを見失わないように見てくれていますから、そっちをなんとかしないと」
「わかった。それじゃあ俺はペンギンコーナーへ戻るから真宮さんのことは頼んだよ」
「はい!」
仲里さんに手を振り俺は果奈のいる場所へ急いだ。
仲里さんもいるし、妹は彼女にまかせて真宮さんを見失ってしまう前にあとを追わないと。
視線を館内の奥へと戻す――真宮さんは走るのをやめたみたいで、歩いている姿が確認できた。
俺は周りのお客さんたちの迷惑にならないよう、気をつけながら足を速める。
「真宮さん!」
真宮さんとの距離が徐々に縮み、追いつけたと思った瞬間――彼女は再び走り出してしまった。
「なっ! まって!」
彼女は俺の声など気にもとめず、真っ直ぐ進む。
俺の言葉が通じるわけないか……仲里さんの予想が当たっているならば彼女の中にはペンギンが入っているということになる。
真宮さんの背中を追う――。
「あっ!」
後を追って館内の角を曲がると、そこは行き止まりになっていて、女子トイレがあった。
姿が見当たらないので中にいるのだろう。
「まいったなぁ、女子トイレに入るわけにはいかないし」
仕方がない……すぐに出てくるかも知れないし、ここで様子をみよう。
それにしても、いったいどうなっているんだ。えーと、ペンギンが真宮さんで……アレ? なんだか混乱してきた。
少し整理をしよう。
ダウジングにより入れ替わりが発動したとして、まずは真宮さんの中にはペンギンがいる。これは間違いないだろう……人間が『ピィ!』だなんて声をあげないもんな。
次は妹の果奈だ。俺に対してとった反応を見たかぎり、まるで真宮さんだ。どうしてそうなったのかは分からないけれど、もし果奈の中に真宮さんが入っているとしたらペンギンには……。
「果奈がいるってことじゃ!」
これはまずい……いや、真宮さんでも問題なんだけど、ど、どうしたら……。
だいたい、なんで果奈が巻き込まれているんだ。真宮さんはペンギンに向かって水晶を向けていたはず。
だったら対象はペンギンだけじゃないのか?
果奈が水晶を見つめていたとか? もしくは水槽の反射とか? ダメだ、そもそも入れ替わりの条件みたいなものが分からない。
「あっ」
女子トイレから人が出てきたので一瞬、真宮さんの姿を想像したけれど残念ながら別人だ。
うーん、中で問題を起こしていなければいいのだけど。
まぁ、それなら騒ぎになってるか……とりあえずこのままだと埒が明かないし仲里さんを呼んだ方がいいかもしれない。
スマホを取り出しメッセージを立ち上げる。
「あれ? ここ電波が届かないのか」
館内に入ったときには電波は届いていたような気がしたし、たまたまこの周辺だけがダメなのかも……少し動いた方がいいだろうけど、その間に真宮さんが出てきたら困ってしまうな。
どうしたら……。
「早見くん!」
声に振り向くと、そこには仲里さんが立っていた。
「仲里さんっ! どうして? いぁ……丁度よかった」
「早見くん、なかなか戻ってこないので、心配になって探しにきたんです」
「ごめん。実は真宮さんが女子トイレの中へ入ってしまったみたいで困っていたんだよ」
「そういうことだったんですね。私が中を見てきます」
「うん。頼むよ」
俺の返事に仲里さんはトイレの中へ入っていった。良かった、とりあえずこれで真宮さんは確保できる。
「中に入ってから数分はたつけど、まだかなぁ……」
待っているのが退屈になってきたのでスマホを触ろうとすると、仲里さんが眉をひそめながら出てきた。彼女の後ろには……。
「あれ?」
「早見くん、中には誰もいませんでしたよ?」
「え? そんなわけ……そこの角をたしかに曲がったはずだし、ここは行き止まりになっているから女子トイレにいるはずなんだけど」
「念のため用具入れとか確認の出来るところはすべて見たのですけど」
「そんな……じゃあ真宮さんはどこに……」
「早見くん、真宮さんは私が探してみますので果奈ちゃんのところへ戻ってあげてください。もう気がついていると思うのですけど、中には真宮さんが……」
「やっぱり、そうだよね」
仲里さんはコクンと頷く。
「今はペンギンを見失わないように見てくれていますから、そっちをなんとかしないと」
「わかった。それじゃあ俺はペンギンコーナーへ戻るから真宮さんのことは頼んだよ」
「はい!」
仲里さんに手を振り俺は果奈のいる場所へ急いだ。
0
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる
釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。
他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。
そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。
三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。
新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる