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第58話 やっぱりそうだよね
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俺のことを『春時っ!』と声をかけてきた果奈のことが気にはなるけれど、今は真宮さんを放っておくわけにはいかない。
仲里さんもいるし、妹は彼女にまかせて真宮さんを見失ってしまう前にあとを追わないと。
視線を館内の奥へと戻す――真宮さんは走るのをやめたみたいで、歩いている姿が確認できた。
俺は周りのお客さんたちの迷惑にならないよう、気をつけながら足を速める。
「真宮さん!」
真宮さんとの距離が徐々に縮み、追いつけたと思った瞬間――彼女は再び走り出してしまった。
「なっ! まって!」
彼女は俺の声など気にもとめず、真っ直ぐ進む。
俺の言葉が通じるわけないか……仲里さんの予想が当たっているならば彼女の中にはペンギンが入っているということになる。
真宮さんの背中を追う――。
「あっ!」
後を追って館内の角を曲がると、そこは行き止まりになっていて、女子トイレがあった。
姿が見当たらないので中にいるのだろう。
「まいったなぁ、女子トイレに入るわけにはいかないし」
仕方がない……すぐに出てくるかも知れないし、ここで様子をみよう。
それにしても、いったいどうなっているんだ。えーと、ペンギンが真宮さんで……アレ? なんだか混乱してきた。
少し整理をしよう。
ダウジングにより入れ替わりが発動したとして、まずは真宮さんの中にはペンギンがいる。これは間違いないだろう……人間が『ピィ!』だなんて声をあげないもんな。
次は妹の果奈だ。俺に対してとった反応を見たかぎり、まるで真宮さんだ。どうしてそうなったのかは分からないけれど、もし果奈の中に真宮さんが入っているとしたらペンギンには……。
「果奈がいるってことじゃ!」
これはまずい……いや、真宮さんでも問題なんだけど、ど、どうしたら……。
だいたい、なんで果奈が巻き込まれているんだ。真宮さんはペンギンに向かって水晶を向けていたはず。
だったら対象はペンギンだけじゃないのか?
果奈が水晶を見つめていたとか? もしくは水槽の反射とか? ダメだ、そもそも入れ替わりの条件みたいなものが分からない。
「あっ」
女子トイレから人が出てきたので一瞬、真宮さんの姿を想像したけれど残念ながら別人だ。
うーん、中で問題を起こしていなければいいのだけど。
まぁ、それなら騒ぎになってるか……とりあえずこのままだと埒が明かないし仲里さんを呼んだ方がいいかもしれない。
スマホを取り出しメッセージを立ち上げる。
「あれ? ここ電波が届かないのか」
館内に入ったときには電波は届いていたような気がしたし、たまたまこの周辺だけがダメなのかも……少し動いた方がいいだろうけど、その間に真宮さんが出てきたら困ってしまうな。
どうしたら……。
「早見くん!」
声に振り向くと、そこには仲里さんが立っていた。
「仲里さんっ! どうして? いぁ……丁度よかった」
「早見くん、なかなか戻ってこないので、心配になって探しにきたんです」
「ごめん。実は真宮さんが女子トイレの中へ入ってしまったみたいで困っていたんだよ」
「そういうことだったんですね。私が中を見てきます」
「うん。頼むよ」
俺の返事に仲里さんはトイレの中へ入っていった。良かった、とりあえずこれで真宮さんは確保できる。
「中に入ってから数分はたつけど、まだかなぁ……」
待っているのが退屈になってきたのでスマホを触ろうとすると、仲里さんが眉をひそめながら出てきた。彼女の後ろには……。
「あれ?」
「早見くん、中には誰もいませんでしたよ?」
「え? そんなわけ……そこの角をたしかに曲がったはずだし、ここは行き止まりになっているから女子トイレにいるはずなんだけど」
「念のため用具入れとか確認の出来るところはすべて見たのですけど」
「そんな……じゃあ真宮さんはどこに……」
「早見くん、真宮さんは私が探してみますので果奈ちゃんのところへ戻ってあげてください。もう気がついていると思うのですけど、中には真宮さんが……」
「やっぱり、そうだよね」
仲里さんはコクンと頷く。
「今はペンギンを見失わないように見てくれていますから、そっちをなんとかしないと」
「わかった。それじゃあ俺はペンギンコーナーへ戻るから真宮さんのことは頼んだよ」
「はい!」
仲里さんに手を振り俺は果奈のいる場所へ急いだ。
仲里さんもいるし、妹は彼女にまかせて真宮さんを見失ってしまう前にあとを追わないと。
視線を館内の奥へと戻す――真宮さんは走るのをやめたみたいで、歩いている姿が確認できた。
俺は周りのお客さんたちの迷惑にならないよう、気をつけながら足を速める。
「真宮さん!」
真宮さんとの距離が徐々に縮み、追いつけたと思った瞬間――彼女は再び走り出してしまった。
「なっ! まって!」
彼女は俺の声など気にもとめず、真っ直ぐ進む。
俺の言葉が通じるわけないか……仲里さんの予想が当たっているならば彼女の中にはペンギンが入っているということになる。
真宮さんの背中を追う――。
「あっ!」
後を追って館内の角を曲がると、そこは行き止まりになっていて、女子トイレがあった。
姿が見当たらないので中にいるのだろう。
「まいったなぁ、女子トイレに入るわけにはいかないし」
仕方がない……すぐに出てくるかも知れないし、ここで様子をみよう。
それにしても、いったいどうなっているんだ。えーと、ペンギンが真宮さんで……アレ? なんだか混乱してきた。
少し整理をしよう。
ダウジングにより入れ替わりが発動したとして、まずは真宮さんの中にはペンギンがいる。これは間違いないだろう……人間が『ピィ!』だなんて声をあげないもんな。
次は妹の果奈だ。俺に対してとった反応を見たかぎり、まるで真宮さんだ。どうしてそうなったのかは分からないけれど、もし果奈の中に真宮さんが入っているとしたらペンギンには……。
「果奈がいるってことじゃ!」
これはまずい……いや、真宮さんでも問題なんだけど、ど、どうしたら……。
だいたい、なんで果奈が巻き込まれているんだ。真宮さんはペンギンに向かって水晶を向けていたはず。
だったら対象はペンギンだけじゃないのか?
果奈が水晶を見つめていたとか? もしくは水槽の反射とか? ダメだ、そもそも入れ替わりの条件みたいなものが分からない。
「あっ」
女子トイレから人が出てきたので一瞬、真宮さんの姿を想像したけれど残念ながら別人だ。
うーん、中で問題を起こしていなければいいのだけど。
まぁ、それなら騒ぎになってるか……とりあえずこのままだと埒が明かないし仲里さんを呼んだ方がいいかもしれない。
スマホを取り出しメッセージを立ち上げる。
「あれ? ここ電波が届かないのか」
館内に入ったときには電波は届いていたような気がしたし、たまたまこの周辺だけがダメなのかも……少し動いた方がいいだろうけど、その間に真宮さんが出てきたら困ってしまうな。
どうしたら……。
「早見くん!」
声に振り向くと、そこには仲里さんが立っていた。
「仲里さんっ! どうして? いぁ……丁度よかった」
「早見くん、なかなか戻ってこないので、心配になって探しにきたんです」
「ごめん。実は真宮さんが女子トイレの中へ入ってしまったみたいで困っていたんだよ」
「そういうことだったんですね。私が中を見てきます」
「うん。頼むよ」
俺の返事に仲里さんはトイレの中へ入っていった。良かった、とりあえずこれで真宮さんは確保できる。
「中に入ってから数分はたつけど、まだかなぁ……」
待っているのが退屈になってきたのでスマホを触ろうとすると、仲里さんが眉をひそめながら出てきた。彼女の後ろには……。
「あれ?」
「早見くん、中には誰もいませんでしたよ?」
「え? そんなわけ……そこの角をたしかに曲がったはずだし、ここは行き止まりになっているから女子トイレにいるはずなんだけど」
「念のため用具入れとか確認の出来るところはすべて見たのですけど」
「そんな……じゃあ真宮さんはどこに……」
「早見くん、真宮さんは私が探してみますので果奈ちゃんのところへ戻ってあげてください。もう気がついていると思うのですけど、中には真宮さんが……」
「やっぱり、そうだよね」
仲里さんはコクンと頷く。
「今はペンギンを見失わないように見てくれていますから、そっちをなんとかしないと」
「わかった。それじゃあ俺はペンギンコーナーへ戻るから真宮さんのことは頼んだよ」
「はい!」
仲里さんに手を振り俺は果奈のいる場所へ急いだ。
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