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アルマとローブの男
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「おい!状況はどうなっているんだ!?」
「まぁまぁ、そんな怖い顔しないで」
「もう、一か月も経つんだぞ!?なのに何故ルカは俺の物にならないんだおかしいだろう!?まさか貴様俺の事を騙していたのか」
「まさか、そんな事ある訳ないじゃないですか……その証拠に、ほら、彼女を呼び出す為の餌も用意したのですから」
そう言って目の前の男が差し出したのは、空っぽの鳥籠だった。
どうしてこんな物を俺に見せたのか?馬鹿にしているのか?
そう思った俺は、目の前の男に詰め寄った。
「馬鹿にしているのか!??!!こんな空っぽな鳥籠でどうやってルカを呼び出すと言うんだ??!!」
「空っぽ……なるほど、貴方にはそう見えるのですか」
くくくっと笑い声を堪えながら、男はそう答えた。
空っぽ?どういう事だ??こいつの言っている事が俺には理解出来なかった。
やはり、魔法を使える人間と言うのは、頭がおかしい……
「何がおかしいんだ?」
「いえ、貴方は本当に力が無いのだなと思いまして……しょうがない、見ててください」
そう言って男はパチンっと指を鳴らした。
すると、さっきまで空っぽだった鳥籠の中に突然、小さな生き物が現れた。
その生き物は小さな人間の様な姿で、背中に翼が生えていた。
「何だこれは……??夢か……??」
「夢ではありませんよ、コレは精霊と呼ばれる生き物で……聖女様の使い魔ですよ」
「使い魔……?」
『ちょっと!ムルは使い魔じゃなくてルカの友達!!それより、いつになったら帰してくれるわけ?』
「ん~それは難しいですね、貴女には聖女様をおびき寄せると言う大事な仕事があるのですから」
『ふんっ!お前なんかルカに倒されちゃえばいいんだ!!そこで見てるお前もな!』
ムルとか言う生き物は、俺に向かって、ビシッと指をさし俺の事を睨んだ。
これは夢か……??そうだ、こんな生き物がこの世に存在している筈がない。
魔法とかいう物もただのインチキで、存在するはずがないんだ……
周りの人間がおかしいのだ……。
「お、おれは……こんな生き物がいるだなんて認めないからな……魔法なんてインチキなんだ……」
「はぁ……まだ、そんな事をおっしゃるのですね。まぁ、貴方には力も何も無いのですから仕方が無いですがね」
俺を馬鹿にするような口調で男はそう言った。
俺はその言葉が悔しくて、拳を握りしめて震えていた。
すると、男はまた指を鳴らした。
すると、さっきまで鳥籠にいたはずの生き物の姿が跡形も無く消えてしまった。
「さて、貴方はさっき状況はどうなっているんだとおっしゃいましたね?」
「あぁ……そうだが……」
「安心してください、もうすぐで終わります。私のご主人様がこちらに来たと
報告がありました。後、もう少しで私の願いが叶います」
「ご主人様?それは俺では無いのか?」
「何を勘違いしているのですか?あなたはただの駒、ご主人様と私の夢を叶えるための……ね?」
「俺が囮だとっ!?ふざけるな!! じゃあ、俺は一体なんのためにこんな事をしたと言うんだ!?」
「さぁ?でも、ここまで来たのですから最後まで付き合ってもらいますからね?」
「馬鹿らしい……!!俺は降りる」
「おや?良いのですか?今ここでやめれば聖女様は貴方の物に出来ませんよ?」
「っ……だが、俺は誰かの駒として動くなど……」
「プライドが許さない?ですか?ははっ、こんな事しておいて今更じゃないですか?貴方には、もう後がないのですよ?」
そう言って男はまた指を鳴らして、俺の前から消えて行った。
もしかして俺は……取り返しのつかない事をしようとしているのか?
いいや、そんははずはない。
そうだ、こんな事になったのも俺を裏切った、ルカ……そして沙羅……二人が悪いのだ
俺は悪くない、そうだ……悪くない……
「はは……あははは……そうだ、全部アイツらが悪いんだ……!!俺は絶対にアイツらを俺の物にしてやる……!!」
アイツらを手に入れれば今後の事なんてどうにでもなる。
俺の人生を狂わしたんだ、アイツらには一生をかけて償ってもらおう……
「はは……あははは、はははっ」
俺は、誰もいない部屋の中で、ただひたすらに笑い続けた。
「まぁまぁ、そんな怖い顔しないで」
「もう、一か月も経つんだぞ!?なのに何故ルカは俺の物にならないんだおかしいだろう!?まさか貴様俺の事を騙していたのか」
「まさか、そんな事ある訳ないじゃないですか……その証拠に、ほら、彼女を呼び出す為の餌も用意したのですから」
そう言って目の前の男が差し出したのは、空っぽの鳥籠だった。
どうしてこんな物を俺に見せたのか?馬鹿にしているのか?
そう思った俺は、目の前の男に詰め寄った。
「馬鹿にしているのか!??!!こんな空っぽな鳥籠でどうやってルカを呼び出すと言うんだ??!!」
「空っぽ……なるほど、貴方にはそう見えるのですか」
くくくっと笑い声を堪えながら、男はそう答えた。
空っぽ?どういう事だ??こいつの言っている事が俺には理解出来なかった。
やはり、魔法を使える人間と言うのは、頭がおかしい……
「何がおかしいんだ?」
「いえ、貴方は本当に力が無いのだなと思いまして……しょうがない、見ててください」
そう言って男はパチンっと指を鳴らした。
すると、さっきまで空っぽだった鳥籠の中に突然、小さな生き物が現れた。
その生き物は小さな人間の様な姿で、背中に翼が生えていた。
「何だこれは……??夢か……??」
「夢ではありませんよ、コレは精霊と呼ばれる生き物で……聖女様の使い魔ですよ」
「使い魔……?」
『ちょっと!ムルは使い魔じゃなくてルカの友達!!それより、いつになったら帰してくれるわけ?』
「ん~それは難しいですね、貴女には聖女様をおびき寄せると言う大事な仕事があるのですから」
『ふんっ!お前なんかルカに倒されちゃえばいいんだ!!そこで見てるお前もな!』
ムルとか言う生き物は、俺に向かって、ビシッと指をさし俺の事を睨んだ。
これは夢か……??そうだ、こんな生き物がこの世に存在している筈がない。
魔法とかいう物もただのインチキで、存在するはずがないんだ……
周りの人間がおかしいのだ……。
「お、おれは……こんな生き物がいるだなんて認めないからな……魔法なんてインチキなんだ……」
「はぁ……まだ、そんな事をおっしゃるのですね。まぁ、貴方には力も何も無いのですから仕方が無いですがね」
俺を馬鹿にするような口調で男はそう言った。
俺はその言葉が悔しくて、拳を握りしめて震えていた。
すると、男はまた指を鳴らした。
すると、さっきまで鳥籠にいたはずの生き物の姿が跡形も無く消えてしまった。
「さて、貴方はさっき状況はどうなっているんだとおっしゃいましたね?」
「あぁ……そうだが……」
「安心してください、もうすぐで終わります。私のご主人様がこちらに来たと
報告がありました。後、もう少しで私の願いが叶います」
「ご主人様?それは俺では無いのか?」
「何を勘違いしているのですか?あなたはただの駒、ご主人様と私の夢を叶えるための……ね?」
「俺が囮だとっ!?ふざけるな!! じゃあ、俺は一体なんのためにこんな事をしたと言うんだ!?」
「さぁ?でも、ここまで来たのですから最後まで付き合ってもらいますからね?」
「馬鹿らしい……!!俺は降りる」
「おや?良いのですか?今ここでやめれば聖女様は貴方の物に出来ませんよ?」
「っ……だが、俺は誰かの駒として動くなど……」
「プライドが許さない?ですか?ははっ、こんな事しておいて今更じゃないですか?貴方には、もう後がないのですよ?」
そう言って男はまた指を鳴らして、俺の前から消えて行った。
もしかして俺は……取り返しのつかない事をしようとしているのか?
いいや、そんははずはない。
そうだ、こんな事になったのも俺を裏切った、ルカ……そして沙羅……二人が悪いのだ
俺は悪くない、そうだ……悪くない……
「はは……あははは……そうだ、全部アイツらが悪いんだ……!!俺は絶対にアイツらを俺の物にしてやる……!!」
アイツらを手に入れれば今後の事なんてどうにでもなる。
俺の人生を狂わしたんだ、アイツらには一生をかけて償ってもらおう……
「はは……あははは、はははっ」
俺は、誰もいない部屋の中で、ただひたすらに笑い続けた。
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