若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

アルマの犯した罪

「アルマ様……本当はこんな事をしたく無かったのですが……」
すぅと息を吐き、私は魔法を放った。
その魔法はアルマ様を覆っていた黒い霧を上書き
するように、今度は白い光がアルマ様を覆い尽くしていった。
すると彼は、苦しそうに彼は咳き込み、その場に座り込んでしまった。
私はすかさず彼に拘束魔法をかけ、身動きが取れないようにした。
これでもう大丈夫だろう……そう思い私は彼に近づいた。
すると、アルマ様は私の手を掴むと、すがるように私を見つめると口を開いた。
「ルカ……！聞いてくれ、俺は嵌められたんだ……」
「嵌められた？誰にですか？」
「あの男だ……！！あの男が俺の事を騙していたんだ……」
正直、アルマ様のアルマ様の話は聞きたくないけれど……そのまま話を聞いてみる事にした。
どうやら、アルマ様はあのローブの男に私を自分の物に出来ると聞き、あの男の言う 事を鵜呑みにしてしまったそうだ。
聞いてみれば何て馬鹿らしい……聞かなきゃよかったとすら思ってしまう。
「それで……あの男の言う事を聞いて私は貴女の物になりましたか？」
「いや………でも！これからなんじゃないか！？現にルカは俺の事を助けてくれたじゃないか！！それは俺が大好きで忘れられないからなんだろう？大丈夫俺が幸せにしてやるから……」
「結構ですわ……貴女から貰う幸せなんて何もいりません」
「何故だ！？……そうか、あ……愛人になるのが嫌なんだな？？任せろ
あの、沙羅と言うやつを愛人にしてお前を本妻にしてやるから、どうだ悪くない話だろう？」
その発言を聞いた瞬間、私の中で何かが切れるのが分かった……
この人はなにを言っているのかしら……？愛人？本妻？？
私達の事をそんな風にしか見れないのね……本当に馬鹿で可哀そうな人
この人が、いくら私達に言い寄った所で幸せに何てなれないのに。
「ねぇ、一つ教えてあげましょうか」
「な、なんだ……」
「アルマ様を唆したとか言うローブの男ね……彼ね闇魔法が使えるの、この意味が分かるかしら？」
「はぁ………？それが何だって言うんだ？インチキなやつって事だろう？」
闇魔法……私の言葉の意味が分からないアルマ様は、首を傾げてそう言った 本当に馬鹿なんだから……そんな人の物に私がなるわけないでしょう？ 私は、ふぅと息を吐くと彼に向かって言った。
「この国ではその魔法を使う事が、罪になるの。それなのに彼は平然と使っていた……それってどういう事かしら？」
そうアルマ様に問い詰めると、アルマ様は少し狼狽えながら何かぶつぶつと呟いていた。
なんだそれ……とか聞いていないとか……俺は悪くない……とか
私はそんなアルマ様にため息をついた。
その様子を見て私は言葉を続けた……
「そんな魔法を使う人間と一緒にいたアルマ様はどうなると思いますか？」
「いや………でも！俺は知らなかったんだ！！俺は悪くない！！」
「そう……ですか、それがアルマ様の答えなんですね。ここで素直に謝っていれば少しは助けてあげようかと思いましたが……それも無駄だったようですね」
「ルカ……！！」
「おやすみなさい、アルマ様」
そう言って私はアルマ様に魔法を放った。
彼はその場に倒れると、すぅ……と寝息を立てて寝てしまった。
私の横にいたムルが私に向かって言った……大丈夫？と心配そうな顔で私の事を見てきたので、大丈夫ですよと笑顔を向けてムルの頭を優しく撫でた。