若い聖女が現れたから私はお役御免!?それならこっちから婚約破棄します! ~今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです~

桜乃

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国を襲った者たちの正体

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彼の魔法は、私に当たる事は無く、私を避けるように後ろに飛んでいき 
壁に当たり大きな音を立てて崩れた。
彼は、どうして……何故だ……とブツブツと呟き私に魔法を何度も放ってきた。
けれど、魔法はすべて私を避けていった……
そんな彼の姿を見て私は、ある事を思い出した……
聖女と偽った人間たちがとある国を襲った事件の事を。
「あの、一つ聞きたい事があるのですが良いでしょうか?」
「聞きたい事……?」
「えぇ、貴方はさっきほど聖女に国を滅ぼされたと言っていましたが、その聖女達は変な柄のローブを着ていませんでしたか?」
私がそう聞くと、彼は何を言っているんだこいつは……と言いたそうな顔で私の事を見ていた。
何故私がこんな事を聞いたのかと言うと、その国を襲った聖女達のローブには
紫色の瞳が描かれていて、怪しい魔術を使ったらしい。
何故らしいなのかと言うと、私自身がその人たちを見ていないからだ。
私がその事件を聞きつけ、現場に向かった頃にはその人たちはいなくなっていて
数日後その人達は逮捕されたと聞いた。
「紫色の瞳が描かれたローブ……知っていますか?」
「紫色の……?そんな物見たことある訳……いえ、待ってください」
彼はそう言って何かを考え始めた。
きっと、何か彼の記憶の中で引っかかるものがあったのだろう……
私は、そう思いながら彼の言葉を待った。
そして暫くして、彼はハッとした顔をして私を見た……
そして彼は、静かに口を開いた。
「……紫色の瞳と言うのはこういう柄ですか?」
彼はそう言って、紙とペンを取り出すと、その紙にサラサラと
絵を描いた。
その紙には、瞳に蔦が絡まった様な模様が描かれていた……
それを見た私は、目を見開いて言葉を失った。
何故ならそれは、私達が聖女と偽った者たちのローブに描かれていた物だった……
「そうです……やっぱりあの人達の仕業だったんですね……」
「あの人達?一体これは何なのですか?」
「これから話すことは、信じられないかもしれません……けれど、すべて本当の事なのです」
私は、彼にそう聞くと彼は静かに頷いた。それを見た私は、ゆっくりと口を開いた。
貴方の国を襲ったのは偽物の聖女達、あの国が欲しくて貴方の国を襲った……
その話を彼にするが、信じられない……言い訳をしているだけだ、と言いたそうな顔で私の話を聞いていたけれど、聖女達がしたことを伝えていくと、何か
心当たりがあったのか、彼は段々と青ざめたような顔に変わっていった……
そして話を聞き終わった彼は、頭を抱えながらブツブツと何かを呟きはじめた……
そんな彼に近づこうとするけれど、彼が放っている殺気が私の動きを封じた。
そして彼は、暫くしてハッとした顔をした後 ゆっくりと立ち上がり私の方を見た。
その瞳は全てを悟った様な、諦めたような……そんな瞳をしていた。
「私がやってきた事は全て無意味だったのか……」
そう言って彼は、フラフラとその場に座り込んだ。
それを見たマリーは慌ててカイトに駆け寄った。
しかし、彼はそれを拒む様に手で制した……そして彼はポツリと呟いた。
これで俺もお終いだ……と。
「貴方たちは私達の国で裁かれるでしょう……貴方達のした事は許されない事です。けれど……私は貴女達を許します」
「それは、同情からですか?」
私は、カイトの問いに静かに首を横に振った。
そんな時、扉の外で大きな爆発音の様な物が聞こえた。
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