若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

ルークと一緒なら

月明かりが窓から差し込み部屋の中を照らす中、私とルークはソファに並んで座りながら沢山お話をしていた。
「ねぇ、ルカ」
「なんでしょう？」
「やっぱり……ルカは、アルマの事を忘れられない？」
突然真剣な表情でルークは私にそう聞いてきた。
私は、少し俯きながら小さく頷き答えると、ルークは少し切なそうに微笑んだ。
「やっぱり、忘れるのは難しいか……」
「アルマ様に対する気持ちは無くなりました……でも、やられたことを忘れるのには、まだ少し時間がかかりそうです」
「そうか……」
すると、ルークは優しく私の頭を撫でた。私はそんなルークの手に甘える様に頭を寄せると、ルークはふっと微笑み私に言った。
そして、また話を始めた。
「過去に受けた傷を癒すには、きっと沢山の時間が必要だろう……だけど、ルカの傷を癒すのは俺でありたい」
そう言って、ルークは真剣な眼差しで私の事を見つめて言った。私はそんなルークの言葉に胸が熱くなる。
「ルーク…………ルークと一緒ならきっと大丈夫です」
するとルークは嬉しそうに微笑んだ。そして私の腰に手を回して抱き寄せて耳元で囁くようにこう言った。
「愛してるよ、ルカ」
私もルークに抱き寄せられながら、同じように耳元で囁いた。
お互いの愛を確かめるように私達はキスをした。
それから暫くはソファで抱きしめ合いながら、ルークの体温を感じて幸せな時間を過ごしていた。
これからの私達の人生が、幸せで満たされていく事を願いながら……
*****
「さて、次は私の番ですね？私もルークに聞きたい事が山ほどありますから」
「ふっ、お手柔らかにお願いします」
ルークはにっこりと微笑み、私の事を見つめる。
私はそれに、悪戯っぽく微笑み返して、話を始めた。
「ルークは、私と一緒にいてドキドキしたりしますか？」
「えっ！？いきなり何を！？！？」
「だって……いつも私ばっかりドキドキして、ルークは余裕そうでずるいです……」
そう言って私はプクッと頬を膨らませる。そんな私の姿を見て、ルークは少し困った様な表情をしていたけれど……少し考えてから口を開いた。
そして、私に顔を近づけて私の手を取ると、その手をルークの胸元へと導いた。
私の手を伝い、トクトクと少し速い心音を感じる。
私は驚いてルークの顔を見ると、ルークは少し照れた様な顔をしていて……
そんな顔を見て私の心臓も更に早くなる。
そして、お互いに目が合うと可笑しくなって笑ってしまった。
「ふふっ、ルークもドキドキしてるんですね？」
「ルカと一緒にいて、ドキドキしない方が無理だ」
少し照れたような顔をしたルークは、私の事を引き寄せて抱きしめながらそう言った。
私はそんなルークの胸の中でとても幸せを感じて……私もルークの背中に腕を回しギュッと抱きしめるとお互いの心音が更に早くなった様な気がした。
そして私達は見つめ合うとお互いに微笑みあい、優しくキスをした。
「でも……それなら、もっと表情に出してくれてもいいのに」
「…………それじゃ、カッコつかないだろ……」
少し拗ねたように口を尖らせながらそう言ったルークが、可愛らしくて私はクスクスと笑ってしまった。すると、ルークは少しムッとした様な表情になって私の事を睨みつけてきた。
そんな姿も愛おしく感じてしまうなんて、私も大概だと思う。
でも、それがルークの……私だけが知る姿なのだから愛おしく思ってしまうのは仕方ないだろう？ 私はルークの頬に手を添えて優しく微笑むと、ルークも少し照れ臭そうに微笑み返してくれた。