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想いを伝えた日
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図書室での勉強も終わり、下校時刻だと言われた私達は
自分たちの寮へ帰るために廊下へ出て歩いていた。
「やっぱりさーウィル先生って不思議な先生だよね」
「その話前にもしてませんでしたか?」
「いや、そうなんだけどさ、今日アマミヤさんの話を聞いて
ウィル先生って不思議な先生だな~ってさ」
そんな事を呟き、窓の外を眺め空を見る。
空はいつの間にかオレンジ色に染まり、遠くの方では鳥が群れをなして飛んでいる。
その姿を見つめると、なんだか少し切ない気持ちになってしまうのは何故だろう そんな事を考えている私を見て、フィリスはクスリと笑った。
そして、私の髪を優しく撫でる様に梳いてくれた。
「フィリス?どうかした?」
「んー……夕日に照らされる沙羅が綺麗だな、って思いまして」
「き、きれい……!?!?」
いきなりそんな事を言うフィリスに驚いて変な声が出てしまった。
そんな私を見てフィリスは、クスクスと楽しそうに笑いながら
私の髪をまた撫でた、そんなフィリスの仕草に私の胸はドキドキと高鳴り
頬が赤く染まるのを感じた。
「も~~からかわないでってば~~!!」
私はそう叫んで、フィリスから顔を背けた。
すると、フィリスはクスクスと笑いながら私の頭を優しくポンポンっと叩く。
……きっと、今の私は真っ赤で、変な表情をしてるに違いない。
チラッと、フィリスの顔を見れば、優しい笑顔を浮かべていた。
「きれい……」
その表情にまたドキッとしてしまい、私は視線を前に戻す。
あぁ……やっぱり、私はフィリスの事が好き。
あの時、フィリスに気持ちを伝えようとしたけれど、上手くいかなくて……それから、いい機会が無いかって考えていたけれど、それ所じゃ無くなっちゃって……もしかして、今ならフィリスに気持ちを伝えることが出来るんじゃない?
そう思った私は、ふぅ、と深呼吸をして、くるっとフィリスの方を向いた。
「ぁの……!!」
緊張で思わず声が上ずって変な声が出た。
恥かしすぎて、今すぐここから逃げ出したい気持ちになるけれど、それじゃ意味が無いんだ。
ふぅ、と呼吸を整え私はもう一度フィリスに向き合う。
「あの、私フィリスに伝えたい事があるの、聞いてくれますか」
「……はい」
フィリスは私の言葉に、緊張した面持ちで答えた。
私は1度目をつむり、気持ちを整えてフィリスを見る。
そして、一呼吸置いてから口を開いた。
「私……フィリスの事が好きです」
心臓の音が煩いぐらいに鳴り響いていて、上手く息が出来なくて 手が震える……けれど私は勇気を出して自分の気持ちを伝えた。
すると、フィリスは一瞬驚いたような顔をした後、優しく微笑んだ。
その微笑みが答えな気がして、私の目からはポロポロと涙がこぼれた。
そんな私をフィリスは優しく抱きしめてくれた。
「沙羅、私の話も聞いてくれますか?」
「うん……聞かせて欲しい」
「私も……私も沙羅の事が好き、いいえ大好きです」
その言葉が、嬉しくて私はフィリスを強く抱きしめた。
好きな人と両思いになる事がこんなにも幸せだなんて知らなかった。
きっと、この世界に来なかったら、一生知る事のない感情だったかもしれない……
「えへへ……私今凄く幸せ」
「私もです……」
お互いに見つめ合い、笑い合った後 軽く触れるだけの口付けを交わした。
その幸せを嚙み締める様に、もう一度強くフィリスを抱きしめると、優しく抱きしめ返してくれた。
その後、二人で手を繋ぎながら寮へ帰った。
自分たちの寮へ帰るために廊下へ出て歩いていた。
「やっぱりさーウィル先生って不思議な先生だよね」
「その話前にもしてませんでしたか?」
「いや、そうなんだけどさ、今日アマミヤさんの話を聞いて
ウィル先生って不思議な先生だな~ってさ」
そんな事を呟き、窓の外を眺め空を見る。
空はいつの間にかオレンジ色に染まり、遠くの方では鳥が群れをなして飛んでいる。
その姿を見つめると、なんだか少し切ない気持ちになってしまうのは何故だろう そんな事を考えている私を見て、フィリスはクスリと笑った。
そして、私の髪を優しく撫でる様に梳いてくれた。
「フィリス?どうかした?」
「んー……夕日に照らされる沙羅が綺麗だな、って思いまして」
「き、きれい……!?!?」
いきなりそんな事を言うフィリスに驚いて変な声が出てしまった。
そんな私を見てフィリスは、クスクスと楽しそうに笑いながら
私の髪をまた撫でた、そんなフィリスの仕草に私の胸はドキドキと高鳴り
頬が赤く染まるのを感じた。
「も~~からかわないでってば~~!!」
私はそう叫んで、フィリスから顔を背けた。
すると、フィリスはクスクスと笑いながら私の頭を優しくポンポンっと叩く。
……きっと、今の私は真っ赤で、変な表情をしてるに違いない。
チラッと、フィリスの顔を見れば、優しい笑顔を浮かべていた。
「きれい……」
その表情にまたドキッとしてしまい、私は視線を前に戻す。
あぁ……やっぱり、私はフィリスの事が好き。
あの時、フィリスに気持ちを伝えようとしたけれど、上手くいかなくて……それから、いい機会が無いかって考えていたけれど、それ所じゃ無くなっちゃって……もしかして、今ならフィリスに気持ちを伝えることが出来るんじゃない?
そう思った私は、ふぅ、と深呼吸をして、くるっとフィリスの方を向いた。
「ぁの……!!」
緊張で思わず声が上ずって変な声が出た。
恥かしすぎて、今すぐここから逃げ出したい気持ちになるけれど、それじゃ意味が無いんだ。
ふぅ、と呼吸を整え私はもう一度フィリスに向き合う。
「あの、私フィリスに伝えたい事があるの、聞いてくれますか」
「……はい」
フィリスは私の言葉に、緊張した面持ちで答えた。
私は1度目をつむり、気持ちを整えてフィリスを見る。
そして、一呼吸置いてから口を開いた。
「私……フィリスの事が好きです」
心臓の音が煩いぐらいに鳴り響いていて、上手く息が出来なくて 手が震える……けれど私は勇気を出して自分の気持ちを伝えた。
すると、フィリスは一瞬驚いたような顔をした後、優しく微笑んだ。
その微笑みが答えな気がして、私の目からはポロポロと涙がこぼれた。
そんな私をフィリスは優しく抱きしめてくれた。
「沙羅、私の話も聞いてくれますか?」
「うん……聞かせて欲しい」
「私も……私も沙羅の事が好き、いいえ大好きです」
その言葉が、嬉しくて私はフィリスを強く抱きしめた。
好きな人と両思いになる事がこんなにも幸せだなんて知らなかった。
きっと、この世界に来なかったら、一生知る事のない感情だったかもしれない……
「えへへ……私今凄く幸せ」
「私もです……」
お互いに見つめ合い、笑い合った後 軽く触れるだけの口付けを交わした。
その幸せを嚙み締める様に、もう一度強くフィリスを抱きしめると、優しく抱きしめ返してくれた。
その後、二人で手を繋ぎながら寮へ帰った。
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