230 / 321
想いを伝えた帰り道
しおりを挟む
「じぁ、また明日……」
「えぇ、また明日」
そう挨拶をして自室へ帰ろうとするけれど、手を離すのが何だか名残惜しくて私は中々手を離せずにいると、フィリスが優しく微笑んだ。
そして、私の手を握る力を少し強くして口を開いた。
「明日また会えますから、ね?」
「でも………」
「じゃあ、明日一緒に教室まで行きましょう」
ね?と言うフィリスのその言葉に私は頷き、名残惜しかったけれど手を離す。
すると、フィリスが良い子ね、と言って私の頭を撫でてた。
「ふふ、じゃあね沙羅」
「うん!また明日」
フィリスに手を振り、自室へ帰って行った。
扉を閉めて一人になると、私はふぅ……と息を吐き出すとその場に座り込んだ。
ドキドキする心臓を抑え込むように胸に手を置いてゆっくりと深呼吸をした。
しかし、それでも胸の高鳴りはおさまらず、心臓が早鐘をうっているようだった。
「キス……しちゃった……んだ」
思わず自分の唇に触れ、先程の感触を思い出して
また、心臓がドキドキと高鳴る。
ふぅ、と息を吐き立ち上がると、フラフラとベッドまで歩いて行き そのまま倒れこむように横になった。
「本当にフィリスと両思いになったんだ……」
そう呟き、私は自分の唇を指でなぞった。
あの時、フィリスが私の事を好きと言ってくれて本当に嬉しかった。
フィリスが好きだと自覚してから、私はフィリスに似合う子になれるように
頑張ろうとしてた。
けれど、自分の気持ちを伝えるまで私はずっと不安で苦しかった。
だって、あの時フィリスは私の事を好きって伝えてくれたけれど、気が変わって
私の事なんか好きじゃ無いって言われたら?実は冗談だったと言われたら?
そんな感情が、頭の中ではずっと浮かんでいて私の事を苦しめていた。
だから、今日私の気持ちを伝えて、フィリスも私の事を好きって言ってくれた瞬間、涙が出るほど嬉しくて、凄く安心した。
「こんなに幸せで……もしかして夢だったりして……」
気持ちを伝え合って両思いになれたのに、何処か不安で仕方がない。
こんな事フィリスに伝えたら、考えすぎだとか言われてしまうのかもしれないけれど、こんな気持ち初めてで、どうしたら良いのかわからなかった。
けれど、これだけは分かる……
「好きな人と結ばれる……それがこんなに幸せだなんて、知らなかったな」
両思いになったのが本当に嬉しくて、私は枕に顔を埋めて足をバタつかせた。
「そうだ!明日はフィリスと一緒に行くんだし、少しでも可愛くしなきゃ!」
私はそう呟いて、ベッドから起き上がると、ドレッサーの前に座った。
そして、ブラシを髪に軽く当てながら、明日どんな髪型にして行こうか考える。
折角両思いになったのだから、フィリスに可愛いって思ってもらいたいな……
そんな事を考えていると、自然と口元が緩んでしまい そんな緩んだ口元を戻すかのように両手で頬を抑えた。
「ふふ、可愛いって言ってくれるかな」
そんな独り言を呟きながら、明日の髪型をどうするか考えた。
**********
「結局あんまり眠れなかった……」
結局、ドキドキして昨日の夜は上手く寝付く事が出来なかった。
部屋の中はまだ薄暗く、起きるにはまだ早い時間だったけれど
二度寝したら、約束の時間に起きれる自信が無かった私は、起き上がる事にした。
ベッドから起き上がると、朝のひんやりとした空気が肌に触れて、身震いをしながらカーテンを開ける。
朝日が昇り始めた空は薄暗く、まだ多くの人が寝ている時間帯だという事が分かった。
窓から外を眺めていると、小鳥の囀りが聞こえ穏やかな気持ちになる。
すぅ……と、深く息を吸うと、朝の冷たい空気が私の目を覚まさせてくれて、頭の中をスッキリさせる。
「さてと、準備しようっと」
そう呟き、私は朝の支度を始めた。
「えぇ、また明日」
そう挨拶をして自室へ帰ろうとするけれど、手を離すのが何だか名残惜しくて私は中々手を離せずにいると、フィリスが優しく微笑んだ。
そして、私の手を握る力を少し強くして口を開いた。
「明日また会えますから、ね?」
「でも………」
「じゃあ、明日一緒に教室まで行きましょう」
ね?と言うフィリスのその言葉に私は頷き、名残惜しかったけれど手を離す。
すると、フィリスが良い子ね、と言って私の頭を撫でてた。
「ふふ、じゃあね沙羅」
「うん!また明日」
フィリスに手を振り、自室へ帰って行った。
扉を閉めて一人になると、私はふぅ……と息を吐き出すとその場に座り込んだ。
ドキドキする心臓を抑え込むように胸に手を置いてゆっくりと深呼吸をした。
しかし、それでも胸の高鳴りはおさまらず、心臓が早鐘をうっているようだった。
「キス……しちゃった……んだ」
思わず自分の唇に触れ、先程の感触を思い出して
また、心臓がドキドキと高鳴る。
ふぅ、と息を吐き立ち上がると、フラフラとベッドまで歩いて行き そのまま倒れこむように横になった。
「本当にフィリスと両思いになったんだ……」
そう呟き、私は自分の唇を指でなぞった。
あの時、フィリスが私の事を好きと言ってくれて本当に嬉しかった。
フィリスが好きだと自覚してから、私はフィリスに似合う子になれるように
頑張ろうとしてた。
けれど、自分の気持ちを伝えるまで私はずっと不安で苦しかった。
だって、あの時フィリスは私の事を好きって伝えてくれたけれど、気が変わって
私の事なんか好きじゃ無いって言われたら?実は冗談だったと言われたら?
そんな感情が、頭の中ではずっと浮かんでいて私の事を苦しめていた。
だから、今日私の気持ちを伝えて、フィリスも私の事を好きって言ってくれた瞬間、涙が出るほど嬉しくて、凄く安心した。
「こんなに幸せで……もしかして夢だったりして……」
気持ちを伝え合って両思いになれたのに、何処か不安で仕方がない。
こんな事フィリスに伝えたら、考えすぎだとか言われてしまうのかもしれないけれど、こんな気持ち初めてで、どうしたら良いのかわからなかった。
けれど、これだけは分かる……
「好きな人と結ばれる……それがこんなに幸せだなんて、知らなかったな」
両思いになったのが本当に嬉しくて、私は枕に顔を埋めて足をバタつかせた。
「そうだ!明日はフィリスと一緒に行くんだし、少しでも可愛くしなきゃ!」
私はそう呟いて、ベッドから起き上がると、ドレッサーの前に座った。
そして、ブラシを髪に軽く当てながら、明日どんな髪型にして行こうか考える。
折角両思いになったのだから、フィリスに可愛いって思ってもらいたいな……
そんな事を考えていると、自然と口元が緩んでしまい そんな緩んだ口元を戻すかのように両手で頬を抑えた。
「ふふ、可愛いって言ってくれるかな」
そんな独り言を呟きながら、明日の髪型をどうするか考えた。
**********
「結局あんまり眠れなかった……」
結局、ドキドキして昨日の夜は上手く寝付く事が出来なかった。
部屋の中はまだ薄暗く、起きるにはまだ早い時間だったけれど
二度寝したら、約束の時間に起きれる自信が無かった私は、起き上がる事にした。
ベッドから起き上がると、朝のひんやりとした空気が肌に触れて、身震いをしながらカーテンを開ける。
朝日が昇り始めた空は薄暗く、まだ多くの人が寝ている時間帯だという事が分かった。
窓から外を眺めていると、小鳥の囀りが聞こえ穏やかな気持ちになる。
すぅ……と、深く息を吸うと、朝の冷たい空気が私の目を覚まさせてくれて、頭の中をスッキリさせる。
「さてと、準備しようっと」
そう呟き、私は朝の支度を始めた。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました
夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。
全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。
持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……?
これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
【完結】王子は聖女と結婚するらしい。私が聖女であることは一生知らないままで
雪野原よる
恋愛
「聖女と結婚するんだ」──私の婚約者だった王子は、そう言って私を追い払った。でも、その「聖女」、私のことなのだけど。
※王国は滅びます。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?
榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」
“偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。
地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。
終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。
そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。
けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。
「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」
全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。
すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく――
これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる