若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

完全復活

夢を見た……どんな夢だったのか思い出せないけれど、とても懐かしい……
そんな夢だったような……そんな気がした。
私がぼんやりと目を覚ますと、部屋は薄暗くなっていたのでどうやら時間は夜らしい。
サイドテーブルの上には、起きたらお呼びください。と言うメモが置かれており、メイドさんが来たことにも気が付かず眠ってしまっていたみたいだった。
私はベッドから降りると窓際に向かい窓を開けて空を見上げた。
空には月が出ており、部屋を照らしてくれていたので灯りが無くても部屋の中がよく見える。
「あの夢……私が小さかった頃に似てたな」
私が小さかった頃……ルークと、エミリアと三人で良く遊んでいた事があったけれど、今日見た夢はその頃の夢だったような気がする。
懐かしいな……なんて思いながら私は空に浮かぶ月を見上げるのだった。
しばらく月を眺め、思い出に耽っていた私はそろそろベッドに戻ろうと思い
窓を閉めると部屋の灯りを消し、ベッドに戻る。
*******
朝起きると、体調は昨日よりも良くなっていた。
私はベッドから抜け出すと、身支度を整え食堂へと向かった。
「………おはようございます」
「ルカ！もう体調は大丈夫なのか？」
「はい、お兄様には沢山ご迷惑を……」
「そんな事気にしなくていい、ルカが元気になってくれて良かった」
お兄様は、ほっ、と胸をなでおろした表情をすると、私の頭を撫でてくれる。
お兄様に迷惑をかけてしまったことを申し訳ないと思いながらも私はお礼を言う。
しばらくお兄様とお話をしていると、お父様とお母様が食堂へとやって来て
私の姿を見るなり、お母様はギュッと私に抱きついてきた。
「ルカちゃん元気になったのね！よかった……」
「お母様……ご迷惑をおかけしました、お父様も色々とありがとうございました」
「いや、ルカが元気になって良かったよ」
ポン、と私の頭に手を置きお父様は優しい笑みを浮かべてくれた。
そして、皆が集まったので朝食を食べ始める。
久しぶりにみんな揃っての朝食は、とても楽しくて
色々な話をしながら、朝食の時間は過ぎていった……
*******
風邪が治ったからといって、無理をすればまた体調を壊すから
程々にしておく事。と三人から釘を刺され、それに私は頷き 朝食を終え、私は部屋に戻って来た。
「今日の所は部屋で大人しくしてましょう……明日には沙羅の所に行って
色々と進められればいいのだけれど……」
そんな独り言を呟いていると、スマホに一つのメッセージ
が届いていた。
私がスマホの画面を見ると、そこにはエミリアと表示されており メッセージを読んでいくと、私が体調を崩したと言うのを昨日聞いた、体調は大丈夫？
と言った内容で、それに私は、治ったから大丈夫、ありがとう。と返事を返した。
すると、エミリアはよかった。と短い返事が返って来て 今度、またゆっくり話そうね！と最後に書かれていたので、私はそれに返事をしスマホをテーブルの上に置いた。
そして机に向かいノートを広げ、沙羅の為の、特訓メニューを考える事にした。
最初は簡単な魔法から、徐々に難易度を上げていくのがいいだろう。
ノートに色々な案を書いては消して……そんな事を繰り返しながら沙羅が早く魔法を使えるように特訓メニューを考えるのだった。
メニューを考えるのは好きだ、頭の中で色々な考えが浮かんできて、それを 形にする作業がとても楽しくて、私は夢中になっていた