若い聖女が現れたから私はお役御免!?それならこっちから婚約破棄します! ~今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです~

桜乃

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気になる夢

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お店を出て、このまま帰っても良かったのだけれど
このまま帰ってしまうのはなんだか勿体ない、そう思った私は
久しぶりに、森の方へ行ってみる事にした。
横道を抜け、真っ直ぐ歩いて行くと森の入り口へ辿り着き 私は森の中へと足を進める。
森の中はとても静かで、時折聞こえる鳥のさえずりや、虫の鳴き声が心地いい。
歩きながら、木々の揺れを肌で感じながら私は進む。
どんどんと、歩いていくと学園の裏の森へと出ていた。
そして、その奥にある湖まで歩き、近くにあった大きな樹の下に腰掛ける。
座って一息ついた後、湖をぼーっと眺める。
前に来た時、魔女のせいでこの森は大変な事になっていたけれど、今は
そんな事があったのを感じさせない程穏やかな時間が流れていた。
「やっぱりここは落ち着くわね」
私は、独り言のようにそう呟いた後、前に見た夢の事を思い出す。
確かあの夢は、この場所で三人で遊んでいた……そんな夢だったような
気がする、でも……
「何か引っかかるというか……忘れてるような……」
普通の人ならただの夢、そう思うのかもしれないけれど
私はこれでも聖女で、他の人達よりも魔力が高い。
魔力が高ければ高いほど、夢は予知夢になりやすい。
私は、その夢に違和感を感じて仕方なかった。
「ここに来れば、何か思い出すような気がしたけれど……やっぱりダメね」
ふぅ、とため息を吐き、そろそろ帰ろうと立ち上がったその時 
私の頬を撫でるように風が吹いた、その風は何処か懐かしいような、そんな気がした。
私はその風を追うように振り返り、湖の方へと視線をやる。
けれど、そこには何かがいる訳でも無く、ただ静かな湖があるだけだった。
それでも、私はそこから目が離せなかった。
ここに何かがいるような気がしたから。
まるで、この先に私を導く何かがあるような……そんな気がしたのだ。
私は、一歩、また一歩と湖の岸まで歩いて行く。
「何か……いるの……?」
湖に向けて声を掛けるが、返事は返ってこない。
私は、その場にしゃがみ込み湖を眺める。
透き通っていて綺麗な水は、キラキラと輝いていてまるで宝石のようだった。
「今日はもう帰りましょう……」
これ以上ここに居ても、何か起きる訳でもない、そう思い私は 立ち上がろうとしたその時……一瞬、湖に写る自分の後ろに何かいるような……そんな気がしたけれど、すぐに元の自分に戻った為 やっぱり気のせいね。と思い直し、今度こそ帰る事にした。
「また来ますね」
そう呟いた時、また風が私の頬を撫でていった。
*******
結局、家に帰る頃には辺りは暗くなりかけていた。
私は、少し小走りで家へと戻る。
玄関を開けると、お兄様が出迎えてくれ心配されてしまった。
大丈夫だと伝えるが、お兄様は、また無理とかしてないか?と私の事を
疑うような目で見てくる。
私は、信用無いのかな……と落ち込みつつお兄様に、心配を掛けた事を謝り 今度からは気をつけると言うと、お兄様は分かってくれたのか なら良かったと言って頭を撫でてくれた。
今日のあの出来事…………今度、ルークに相談してみよう。
もしかしたら、ルークからヒントを得られるかもしれないから。
「お兄様、そろそろいいですか?」
「あぁ、ごめんね。荷物持っていくよ」
「ありがとうございます、では一緒に行きましょう」
そう言って、今日買った物達をしまう為に、私とお兄様はキッチンへと移動する。
私は、買ってきた物を仕舞いながら、お兄様にも聞いてみようと夢の話をした。
するとお兄様は、ルカが見た夢なのだからきっと何か意味があるのだろうね。と言ってくれた。
そんなお兄様の答えに、私はそうですね……とだけ返した。
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