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第1章 誕生から幼少期
第3話 育まれるモノ
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「あれ?ジノ、珍しいわね。里にあんたが顔を出すなんて」
俺はその声で目を覚ます。
また景色が変わっている。
どうやら俺は柔らかい毛布に包まれてジノに抱かれているようだった。
「久しいな、ミーシャ。
少し、野暮用があってな」
ジノが話しかけてるのは女性のエルフだった。
ジノと同じく輝くブロンドの髪で、前髪は短く、後髪は束ねているエルフだった。
目付きは少しつり目で鋭い顔つきをしているが、とても美しい顔つきでもある。
「あれ?その子、赤ちゃんじゃない!
しかも……人族の赤ちゃん?
どうしてあんたが人族の赤ちゃんを抱いてんのよ」
エルフの女性、ミーシャは驚いた様子でジノに問い掛ける。
「ラムリカ村に買い出しに立ち寄ったのだが、魔物の群れにでも襲われたのだろう。
村は廃墟になっていた。
僅かな生体反応を感知したのでそれを探したら、この子が瓦礫の隙間で生きていたのだ。
他の者は皆息は無かった。
この子の両親も含めてな」
ジノが軽く俺を揺する。
何気に心地いい。
「そう、それは……残念ね……。
それでも、この子が生きていたのは奇跡だわ。
それで里に預けに来たの?」
ミーシャは痛まし気に顔を歪ませてそう言った。
「いや、この子は私が面倒をみる。
私が拾ったのだから、責任は私が持つさ」
「はぁ!?あんたが子育てするの?
朴念仁のあんたが?
とても子育てが出来るとは思えないわ。
リリアに頼みなさいよ。
リリアだって最近赤ちゃん出来たばっかりだから、母乳も出るだろうし」
そう言ってミーシャは駆け出し、一つの家屋に入っていく。
しばらくするとミーシャと、もう一人赤ちゃんを抱っこした女性のエルフがやってきた。
ストレートのプラチナブロンドの髪を揺らし、垂れ目の優しい顔つきの女性だ。
「ジノ、久しぶりね。
それにしても、本当に人族の赤ちゃんを連れてきたなんて。
しかも、ジノが面倒をみると聞いたけれど、本気なの?」
その女性は確認するように問い掛ける。
ジノはそれに頷いて応える。
「勿論本気だ。
リリア、赤子の面倒をみる上で必要な物を教えてくれ」
「必要なものって……そうねぇ。
まずは肌着とオシメになる布地も沢山いるわ」
そう言ってリリアと呼ばれた女性エルフは一度家屋に戻り、沢山の肌着と柔らかい布地を皮のバックに入れて持ってくる。
「こんなにもか。
だが、助かる。すまないな」
ジノがお礼を言うが、リリアは不安気な顔をしてジノを見ている。
「ジノ、本当にあなたが面倒をみるの?
私も面倒をみれないことは無いわ。
この子もいるし、一緒にみてあげられる。
ミルクもいるだろうし。
それに里なら他の人も協力してくれる。
でも、あなたは一人じゃない。
動物を飼うのとは訳が違うのよ?」
そうリリアが問い詰めるがジノは首を横に振る。
「連れてきたのは私だ。
その責任は私が負うべきだろう。
それこそ、犬やネコのような動物ではないのだ。
簡単に投げ出すわけにもいくまい。
だが、食事も含めてどうしても手に負えなかったら里を頼ることにする」
ジノは強い眼差しでそう言うと、リリアは渋々引き下がった。
「困ったらちゃんと里を頼りなさいよね。
あんた一人なら野たれ死んでも仕方ないけど、この子に何かあったら許さないからね」
ミーシャがビシッと指を突き差し、言い放つ。
ジノは頷いて受け取った荷物を担ぐと、里に背を向け歩き出した。
ジノが木造の家に戻ると、俺をベッドに寝かせた。
覚束ない手つきで俺のオシメを新しい物に変える。
オシメを水洗いするジノに俺は念波で話しかけた。
『これ、いつでも話せるのか?』
俺が尋ねると、顔も向けずにジノが答える。
『常に意思疎通できるよう念波の魔法を保持し続けている。
いつでも離れてなければ話しかけられるぞ』
それは便利なもんだな。
正直意思疎通出来なかったら不安で仕方なかったよ。
『なんでジノは里に住まないんだ?
結構里からここまで距離もあるだろ?』
『私は里から飛び出した身でな。
一度里を捨てた身だから、戻りづらいのだ。
それに、この場所の方が落ち着くからな』
ジノは布地を洗いながらはぐらかすように答えた。
なんだか色々とあったようだ。
『……ホントにあんたが面倒みてくれるのか?
一人だと大変だと思うけど』
『そうかもしれんな。
意思疎通が出来なければ私もお手上げだったかもしれん。
だが、 幸い私とお前はこうして話す事が出来る。
だから、どうして欲しいかは教えてもらいものだ』
ジノはそう言って布地を窓辺に干すと俺を見て優しく微笑んだ。
『了解。なんか、ありがとな』
俺はそう伝えると、ジノは苦笑いして椅子に座り込む。
『我ながら、似合わない事をしてると思うがな』
ジノはそう言った。
でも、俺はなんとなく、ジノが似合わない事をしてるとは思わなかった。
それからジノは献身的に俺に尽くしてくれた。
一日中俺に付きっ切りで向き合い、マナポーションで腹を満たし、オシメを換え、身体を洗い、俺が眠るわずかな時間だけ休憩し、また世話をする日々が続く。
首もまだ座っていない俺の身体を扱うのはジノにとって割れ物を扱うようなものだっただろう。
それでも、日増しに手付きは慣れてきていた。
ジノはたまに里に訪れ、子育てについてリリアから指導を受けていた。
マナポーションで腹を満たしてる事を話すと一緒にいたミーシャが発狂して怒ったりもしていた。
リリアも流石にそれは、と言っていたが、当の本人である俺はもう慣れたので問題は無かった。
半年経つと、少しづつ液体状の食べ物も口に出来るようになってきた。
そしてジノはこの世界の言葉や文字を俺に教えてくれた。
絵本の代わりにそういった物を読み聞かせ、終いにはそれが魔導書に変わった。
それもまたミーシャが聞いたら頭を掻き回し、なんてもん読み聞かせてんのよ!と怒鳴っていた。
リリアは同じ歳の子供を持つ身として額に手を当てて溜息をついていた。
しかし、俺はこの世界の魔法というものにとても興味があったので、魔導書の読み聞かせは俺も好んだ。
「ほらっ!ジノが変な教育するからシンは絵本に目もくれないわっ!
これはもはや虐待よ!」
ミーシャが震えながら俺の姿を見て叫んでいる。
俺はミーシャやリリアに渡された絵本をそっちのけでジノから渡された『猿でもわかる魔法の基本』を真剣な顔で眺めていた。
この世界にきて早一年。
俺は少しつづ立つ事も出来るようになり、掴まって歩き出す事も出来るようになってきていた。
「そうよ、シンくん。積み木で遊んでごらん?
ほら、お馬さんの人形もあるわ」
リリアも玩具で俺の興味を引こうとするが、俺は魔導書に首ったけだった。
「この子、こんな文字と魔法陣ばかりの本の何が面白いのかしら。
ジノ、あなたが絵本をもっと読み聞かせないからこうなったんじゃない?」
リリアは咎めるようにジノに言う。
「人を悪人のように言うな。
シンが読みたいというから読ませてやってるのだ。
それに、コイツはしっかり理解もしてる」
ジノは腕を組んで俺の様子を満足気に眺めている。
それを見たミーシャとリリアは頭を抱えて溜息をつく。
「何言ってんだか……。
やっぱり里で預かるべきじゃなかった?
ジノは子育てに向いてないって。
赤ちゃんにマナポーション飲ませるとか発想がヤバいでしょ」
「読み聞かせる本が言葉を教える本や文字の本、魔道書ばかりなのも問題よ。
早すぎるってもんじゃないわ。
動物の絵本や童話だとか、他にも色々あるでしょう?
ジノ、相手はまだ小さい幼児って事自覚してる?」
リリアが問いかけてきたが、ジノは平然として答える。
「シンは魔導の才能がある。
マナポーションのお陰かもしれんが、コイツのマナの総量と魔力は並外れているぞ。
スキルもこの一年でいくつか増えてきている。
いずれ偉大な魔法使いになる」
そう言って俺を眺めて微笑むジノ。
ミーシャはダメだコイツ、という顔をする。
リリアは優しくシンの頭を撫でて、辛い事があれば私を頼るのよ、と話しかけた。
「さて、そろそろ帰るぞ、シン」
ジノが声をかけてきたので、俺は顔を上げ、本を閉じる。
『帰って続きを読みたいんだが?』
俺がジノを見上げてそう告げる。
『それは里の図書館にある共用の本だ。
持ち帰りは出来ん。
帰って家にある別の魔導書を渡してやる』
ジノがそう答え、俺は頷くと差し出されたジノの手を握って歩き出す。
「な、なんて従順な子なの……。
うちの娘は全然言う事聞かないのに」
リリアがホロホロと涙を流す。
「これ、洗脳でもされてんじゃないの?
ジノ、あんたこの子で魔法実験とかしてないでしょうね?」
ミーシャはジノをジト目をして尋ねる。
「する訳がないだろう。
私を何だと思っているのだ。
そろそろ私達は帰る。
また顔を出す」
ジノは心外そうに言って里に背を向けて歩き出した。
ミーシャとリリアが手を振っているので、俺も手を振り返す。
リリアが悶えていた。
『あざといな。シン』
『いいだろ?向こうは喜んでるようだし』
見た目がまだ一歳の子供なので、そのように振る舞う事に少しくらいは気にかけていた。
それに、精神は身体に依存するとも聞く。
つまり、鍛え上げられた身体になれば自分に自信がつき、性格にも変化が現れるというものだ。
俺の身体が今子供のそれであるのなら、自然とその振る舞いが出来るようになる。
子供の精神とやらに引っ張られるのだ。
あえて子供っぽく、と考えなくとも、自然と。
だが、生前の記憶が今も尚しっかり残っている。
少しづつ動く事や話せる事が増えるにつれて、同年代の子供に比べれば成長速度も考え方も当然差が出てくる。
その言動も、幼児とは少しづつ離れていくようになる。
そして、あっという間に転生してから三年の月日が経った。
俺はその声で目を覚ます。
また景色が変わっている。
どうやら俺は柔らかい毛布に包まれてジノに抱かれているようだった。
「久しいな、ミーシャ。
少し、野暮用があってな」
ジノが話しかけてるのは女性のエルフだった。
ジノと同じく輝くブロンドの髪で、前髪は短く、後髪は束ねているエルフだった。
目付きは少しつり目で鋭い顔つきをしているが、とても美しい顔つきでもある。
「あれ?その子、赤ちゃんじゃない!
しかも……人族の赤ちゃん?
どうしてあんたが人族の赤ちゃんを抱いてんのよ」
エルフの女性、ミーシャは驚いた様子でジノに問い掛ける。
「ラムリカ村に買い出しに立ち寄ったのだが、魔物の群れにでも襲われたのだろう。
村は廃墟になっていた。
僅かな生体反応を感知したのでそれを探したら、この子が瓦礫の隙間で生きていたのだ。
他の者は皆息は無かった。
この子の両親も含めてな」
ジノが軽く俺を揺する。
何気に心地いい。
「そう、それは……残念ね……。
それでも、この子が生きていたのは奇跡だわ。
それで里に預けに来たの?」
ミーシャは痛まし気に顔を歪ませてそう言った。
「いや、この子は私が面倒をみる。
私が拾ったのだから、責任は私が持つさ」
「はぁ!?あんたが子育てするの?
朴念仁のあんたが?
とても子育てが出来るとは思えないわ。
リリアに頼みなさいよ。
リリアだって最近赤ちゃん出来たばっかりだから、母乳も出るだろうし」
そう言ってミーシャは駆け出し、一つの家屋に入っていく。
しばらくするとミーシャと、もう一人赤ちゃんを抱っこした女性のエルフがやってきた。
ストレートのプラチナブロンドの髪を揺らし、垂れ目の優しい顔つきの女性だ。
「ジノ、久しぶりね。
それにしても、本当に人族の赤ちゃんを連れてきたなんて。
しかも、ジノが面倒をみると聞いたけれど、本気なの?」
その女性は確認するように問い掛ける。
ジノはそれに頷いて応える。
「勿論本気だ。
リリア、赤子の面倒をみる上で必要な物を教えてくれ」
「必要なものって……そうねぇ。
まずは肌着とオシメになる布地も沢山いるわ」
そう言ってリリアと呼ばれた女性エルフは一度家屋に戻り、沢山の肌着と柔らかい布地を皮のバックに入れて持ってくる。
「こんなにもか。
だが、助かる。すまないな」
ジノがお礼を言うが、リリアは不安気な顔をしてジノを見ている。
「ジノ、本当にあなたが面倒をみるの?
私も面倒をみれないことは無いわ。
この子もいるし、一緒にみてあげられる。
ミルクもいるだろうし。
それに里なら他の人も協力してくれる。
でも、あなたは一人じゃない。
動物を飼うのとは訳が違うのよ?」
そうリリアが問い詰めるがジノは首を横に振る。
「連れてきたのは私だ。
その責任は私が負うべきだろう。
それこそ、犬やネコのような動物ではないのだ。
簡単に投げ出すわけにもいくまい。
だが、食事も含めてどうしても手に負えなかったら里を頼ることにする」
ジノは強い眼差しでそう言うと、リリアは渋々引き下がった。
「困ったらちゃんと里を頼りなさいよね。
あんた一人なら野たれ死んでも仕方ないけど、この子に何かあったら許さないからね」
ミーシャがビシッと指を突き差し、言い放つ。
ジノは頷いて受け取った荷物を担ぐと、里に背を向け歩き出した。
ジノが木造の家に戻ると、俺をベッドに寝かせた。
覚束ない手つきで俺のオシメを新しい物に変える。
オシメを水洗いするジノに俺は念波で話しかけた。
『これ、いつでも話せるのか?』
俺が尋ねると、顔も向けずにジノが答える。
『常に意思疎通できるよう念波の魔法を保持し続けている。
いつでも離れてなければ話しかけられるぞ』
それは便利なもんだな。
正直意思疎通出来なかったら不安で仕方なかったよ。
『なんでジノは里に住まないんだ?
結構里からここまで距離もあるだろ?』
『私は里から飛び出した身でな。
一度里を捨てた身だから、戻りづらいのだ。
それに、この場所の方が落ち着くからな』
ジノは布地を洗いながらはぐらかすように答えた。
なんだか色々とあったようだ。
『……ホントにあんたが面倒みてくれるのか?
一人だと大変だと思うけど』
『そうかもしれんな。
意思疎通が出来なければ私もお手上げだったかもしれん。
だが、 幸い私とお前はこうして話す事が出来る。
だから、どうして欲しいかは教えてもらいものだ』
ジノはそう言って布地を窓辺に干すと俺を見て優しく微笑んだ。
『了解。なんか、ありがとな』
俺はそう伝えると、ジノは苦笑いして椅子に座り込む。
『我ながら、似合わない事をしてると思うがな』
ジノはそう言った。
でも、俺はなんとなく、ジノが似合わない事をしてるとは思わなかった。
それからジノは献身的に俺に尽くしてくれた。
一日中俺に付きっ切りで向き合い、マナポーションで腹を満たし、オシメを換え、身体を洗い、俺が眠るわずかな時間だけ休憩し、また世話をする日々が続く。
首もまだ座っていない俺の身体を扱うのはジノにとって割れ物を扱うようなものだっただろう。
それでも、日増しに手付きは慣れてきていた。
ジノはたまに里に訪れ、子育てについてリリアから指導を受けていた。
マナポーションで腹を満たしてる事を話すと一緒にいたミーシャが発狂して怒ったりもしていた。
リリアも流石にそれは、と言っていたが、当の本人である俺はもう慣れたので問題は無かった。
半年経つと、少しづつ液体状の食べ物も口に出来るようになってきた。
そしてジノはこの世界の言葉や文字を俺に教えてくれた。
絵本の代わりにそういった物を読み聞かせ、終いにはそれが魔導書に変わった。
それもまたミーシャが聞いたら頭を掻き回し、なんてもん読み聞かせてんのよ!と怒鳴っていた。
リリアは同じ歳の子供を持つ身として額に手を当てて溜息をついていた。
しかし、俺はこの世界の魔法というものにとても興味があったので、魔導書の読み聞かせは俺も好んだ。
「ほらっ!ジノが変な教育するからシンは絵本に目もくれないわっ!
これはもはや虐待よ!」
ミーシャが震えながら俺の姿を見て叫んでいる。
俺はミーシャやリリアに渡された絵本をそっちのけでジノから渡された『猿でもわかる魔法の基本』を真剣な顔で眺めていた。
この世界にきて早一年。
俺は少しつづ立つ事も出来るようになり、掴まって歩き出す事も出来るようになってきていた。
「そうよ、シンくん。積み木で遊んでごらん?
ほら、お馬さんの人形もあるわ」
リリアも玩具で俺の興味を引こうとするが、俺は魔導書に首ったけだった。
「この子、こんな文字と魔法陣ばかりの本の何が面白いのかしら。
ジノ、あなたが絵本をもっと読み聞かせないからこうなったんじゃない?」
リリアは咎めるようにジノに言う。
「人を悪人のように言うな。
シンが読みたいというから読ませてやってるのだ。
それに、コイツはしっかり理解もしてる」
ジノは腕を組んで俺の様子を満足気に眺めている。
それを見たミーシャとリリアは頭を抱えて溜息をつく。
「何言ってんだか……。
やっぱり里で預かるべきじゃなかった?
ジノは子育てに向いてないって。
赤ちゃんにマナポーション飲ませるとか発想がヤバいでしょ」
「読み聞かせる本が言葉を教える本や文字の本、魔道書ばかりなのも問題よ。
早すぎるってもんじゃないわ。
動物の絵本や童話だとか、他にも色々あるでしょう?
ジノ、相手はまだ小さい幼児って事自覚してる?」
リリアが問いかけてきたが、ジノは平然として答える。
「シンは魔導の才能がある。
マナポーションのお陰かもしれんが、コイツのマナの総量と魔力は並外れているぞ。
スキルもこの一年でいくつか増えてきている。
いずれ偉大な魔法使いになる」
そう言って俺を眺めて微笑むジノ。
ミーシャはダメだコイツ、という顔をする。
リリアは優しくシンの頭を撫でて、辛い事があれば私を頼るのよ、と話しかけた。
「さて、そろそろ帰るぞ、シン」
ジノが声をかけてきたので、俺は顔を上げ、本を閉じる。
『帰って続きを読みたいんだが?』
俺がジノを見上げてそう告げる。
『それは里の図書館にある共用の本だ。
持ち帰りは出来ん。
帰って家にある別の魔導書を渡してやる』
ジノがそう答え、俺は頷くと差し出されたジノの手を握って歩き出す。
「な、なんて従順な子なの……。
うちの娘は全然言う事聞かないのに」
リリアがホロホロと涙を流す。
「これ、洗脳でもされてんじゃないの?
ジノ、あんたこの子で魔法実験とかしてないでしょうね?」
ミーシャはジノをジト目をして尋ねる。
「する訳がないだろう。
私を何だと思っているのだ。
そろそろ私達は帰る。
また顔を出す」
ジノは心外そうに言って里に背を向けて歩き出した。
ミーシャとリリアが手を振っているので、俺も手を振り返す。
リリアが悶えていた。
『あざといな。シン』
『いいだろ?向こうは喜んでるようだし』
見た目がまだ一歳の子供なので、そのように振る舞う事に少しくらいは気にかけていた。
それに、精神は身体に依存するとも聞く。
つまり、鍛え上げられた身体になれば自分に自信がつき、性格にも変化が現れるというものだ。
俺の身体が今子供のそれであるのなら、自然とその振る舞いが出来るようになる。
子供の精神とやらに引っ張られるのだ。
あえて子供っぽく、と考えなくとも、自然と。
だが、生前の記憶が今も尚しっかり残っている。
少しづつ動く事や話せる事が増えるにつれて、同年代の子供に比べれば成長速度も考え方も当然差が出てくる。
その言動も、幼児とは少しづつ離れていくようになる。
そして、あっという間に転生してから三年の月日が経った。
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