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第2章 少年期前編
第21話 コッツマルズ村
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ヴェルド峡谷を抜け、二時間ほど進むとようやくコッツマルズ村が見えてきた。
その村は高い山々に囲まれた集落だった。
建物は全て石造り。
大きな鉄の柵で覆われたその村は、出入り口に大きな木造の門があった。
そこに近付くと門の横に設置してある櫓の中から声が響く。
「商人だっ!商人が来たぞーっ!!」
その言葉に中から歓声が聞こえてくる。
開かれる大きな門。
中の広場には村人が集まり俺達を出迎える。
その中から子供達が小走りに駆け寄ってくる。
「これでパンをくださいっ」
「果物下さいっ」
握りしめた銅貨や銀貨を差し出して子供達は言う。
リゼット達は荷馬車の荷物を広げて、食料や雑貨を販売しだす。
ザドもまた荷馬車から木箱をどんどんと並べ、そこに入った果物や野菜、日用品や雑貨を売り出した。
そんな様子を俺は少し離れた所で見守る。
集まる子供は俺と同じくらいの子もいるし、それより幼い子もいる。
大人達も集まって来て品物を吟味している。
大人達はお金だけじゃなく、物々交換を申し込んでいる者もいた。
そして、村の長であろう初老の男性が近付いて来てリゼットに話しかける。
「あなたに頼んで良かった、グレンジャー殿。
多くの行商人に連絡はしたのですが、どうやらヴェルド峡谷でゴーレムが多数出没したようで、誰もここに辿り着けなかったようです……。
討伐隊が来るまで食料が持つか心配でしたが、これでどうにかなります。
本当に何とお礼を申し上げれば良いか」
初老な男は深々と頭を下げる。
「よしとくれ、村長。
私達は商いで来たんだ。
そんな人助けなんて大義を抱えちゃいないさ。
互いに利益になる。
それだけで十分だろう?
畏まる必要なんかないよ」
リゼットはそう言って微笑んだ。
村長もまた軽く一礼し、微笑み返す。
「おーい、その連絡を受けた一人が俺なんだけど!?」
ザドがその横から喚いていた。
この世界における行商人は人々の生活の生命線とも言える。
危険が多いこの世界では物資の調達は難しい。
自分達の村で農作物が取れれば食べるのには困らないが、どの村もそうではない。
コッツマルズ村のように採掘場があるような場所は作物も育ちにくい。
代わりに此処では希少価値のある鉱物や、宝石が取れるため、それらと食物等を交換したり、換金する。
農村も同じように、作物を売りに出してお金を稼ぎたい。
その為には商人が必要なのだ。
だから商人は他の職に比べて稼ぎは良い。
言い値で売買できる事が多い上に、どの村からも商人は必要だからだ。
しかし、今回のように魔物から商人が襲われ続ければ村を訪れる商人がいなくなる。
それは村の存続に関わる危機である。
そこで魔物の討伐依頼が出され、討伐隊の傭兵や冒険者が魔物を討伐し道を作る。
そして商人を護衛し、村や街へと渡る。
そうやってこの世界の人々は助け合って生きている。
「おいおいっ!見ろよシン坊!
野菜や果物が宝石と交換されんだぜ!?
たまんねぇよな!」
すこぶる上機嫌のザドである。
俺はザドから掻っ払ったリンゴを齧りながら、良かったですねー、と生返事する。
「おいおい、なんだよ。
なんか元気無ぇじゃねぇか」
「いえいえ。少し考え事ですよ」
俺はそう答えて遠い目をする。
思い出すのは元いた世界の事。
当たり前にご飯があり、当たり前に安全がある。
娯楽も多いし、物も溢れている。
便利な物が次々と開発され、街はどんどん変化していく。
そんな中では、こんな光景をまず見ない。
食べ物が買えること。
物が手に入る事。
命があるという事。
それがどれほど尊いのか。
有難い事なのか。
この世界で生きていると、今までの“当たり前”はとても価値のあるものだったのだと思い知らされる。
あの時は、そんな事は感じた事などなかったのに。
「もっと、日々を必死に生きてりゃ世界の見方も変わったのかな……」
誰にも聞こえないほど小さく俺は呟いた。
ザドは怪訝そうな顔をして俺を見てきたが、すぐに手元の宝石と硬貨を数えだしニヤケ始める。
俺はザドを放っておいて、リゼットさんの下に向かった。
こちらも商売がひと段落したようで、荷物をまとめている最中だった。
俺を見つけたガウェンさんが近付いてくる。
「そっちも終わったみたいだな。
随分と長い間商人が来ていなかったみたいで皆必死だったぜ。
ほら、新しい剣も交換してもらったんだ。
見てくれよ、この輝き!
なんでも村のドワーフが作った一品なんだとさっ」
そう言って輝く鋼の長剣を見せびらかしてくる。
「なかなか良いものが手に入ったみたいですね」
俺は半笑いで答える。
いい歳した大人なのに、子供に剣を見せびらかすとか恥ずかしくないのか。
「馬鹿な事自慢のしないの。
そもそもこの子がいなかったら私達は全滅してたんだからっ」
そう言って咎めるのはサリアさんだ。
しゃがんで俺と目線を合わせると俺の頭を優しく撫でてくる。
「こんなに小さいのに、とっても強いのね、キミは。
リゼットさんが気に入るのも頷けるわ。
今回の行商はあなたがいて本当に良かった。
また今度も一緒に行きたいものね」
そう言って微笑むサリアさん。
普段キツめの人だから、このギャップにはちょっとドキッとする。
「機会があれば是非またご一緒させてもらいます」
「ふふふ、リゼットさんの事だから幾度も行商にあなたを誘うはずよ。
いっそ護衛団に入っちゃう?
私もキミが護衛団に入るのなら大歓迎だけど」
「あはは、ありがとうございます。
でも、護衛団に入るのは遠慮しときます。
まだ自由に色んなものを見て回りたいので。
ただ、また行商に誘われる機会があれば付いて行きますよ」
そう言って微笑む俺。
サリアは約束よ、と一言言って笑うと、その場を去っていった。
「サリアがあんなに上機嫌なの見た事ないぞ。
実は子供好きだったのかな」
ガウェンさんは長剣を肩に担いで去っていくサリアさんを目で追っていた。
そんな俺達に近付いてきたのはリゼットさんだった。
「坊やのお陰で今回の行商は大成功さ。
ジーナスの鍛治職人やアクセサリーショップの職人達から頼まれてる品物も、かなり上等な物が揃った。
これなら帰った後高値で売却出来そうだ」
そう言って片手を差し出してくる。
「最初は試すような事を言って悪かったよ。
坊やの力は本物だ。
私達を無事にここまで連れてきてくれた事に感謝してる。
帰りもよろしく頼むよ」
そう言ったリゼットさんの手を俺は小さ手を伸ばして握る。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
そう言って握手を交わし、すぐに真剣な顔になる俺。
「リゼットさん。少しお話が」
俺は小声で話しかける。
リゼットさんは不思議そうに首を傾げ、次いで片膝をついて耳をこちらに向ける。
「魔族が近くに潜んでいる可能性があります。
用心して下さい」
「なんだって?」
リゼットさんは驚いた顔をする。
「昨夜襲ってきたシザースナイト。
そして道中のギガントゴーレム。
それらは間違いなく魔族に使役された存在のはず」
「……連中は此処に襲ってくると思うかい?」
リゼットは眉間にシワを寄せながら俺に尋ねてくる。
「わかりません……。
しかし、警戒はしておくべきかと」
そう伝えるとリゼットさんは頷いた。
「とりあえず私達は宿をとる。
ザドのヤツもとるんだろ?
ここは宿が一つしか無いからね。
あんなヤツと同じ屋根の下で眠るのは癪だが」
そう言って苦笑いするリゼットさん。
俺も思わず苦笑いになる。
「宿をとるとは言ってました。
あとは部屋が空いてるかどうかですね」
「あいつは物置でも構わないんじゃないのかい?」
ニヤリと笑うリゼットさん。
この扱い、日頃の行いだな。
「ああ、そうだ、坊や。
コッツマルズ村には憤怒の泉があるらしい。
道中かなり汚れてしまっただろう。
身体を流すには丁度良いんじゃないかい?」
憤怒の泉?
なにそれ、怖いんだけど。
「憤怒の泉って何ですか?」
「なんでも、熱い水が湧き出ているらしい。
そこに冷たい川の水とが混ざると丁度いいお湯になっている場所があるそうだ。
疲労回復にも効くらしい。
私達も後で行ってみるが、坊やも来るかい?」
それって……それってもしかして。
温泉じゃないのか!?
「行きます行きますっ!
直ぐに荷物置いて来ますから!」
いやっほーー!
お風呂だお風呂だ!
この世界に来てから水風呂しか入ってない訳さ。
ジノの家にお風呂付けようと俺が打診した事もあったが、無駄だという事で却下された事もあるあのお風呂!
しかも温泉!
露天風呂だろ!?
テンション上がって来たぜ。
俺は駆け足でザドの下へと向かい、宿に行くぞっ!と引っ掴んで行った。
無事に宿の部屋が取る事も出来、八畳程のこじんまりした部屋に案内された俺達。
その後ザドにも事情を話すも、ザドの興味は薄い。
「あー?暖かい水?温泉?
身体なんて湿った布で擦りゃあ綺麗にならぁ!」
ならねーよ。
洗えよ、ちゃんと。
「そうですか。
ザドさんは宿で留守番するですね」
「あぁ、長旅で疲れちまったからな。
ゆっくり休ませてもらうぜ」
ゴロンと床に寝そべるザド。
「リゼットさん御一行は行くそうです。
僕は皆と温泉を堪能してきますので」
俺はそう言って一礼する。
ん?とザドは考え込む。
そしてガバッと起き上がり、こちらを振り向く。
「シン坊!?
それはつまり……」
「……そういう事です」
ドヤ顔の俺。
それで全てを察したザドはブツブツと何かを呟いている。
「つ、つまり……セリーヌちゃんと身体を洗い合えると!?」
…………。
お前の妄想力はどんだけ逞しいんだよ。
どうなったらそんなシチュエーションになる。
「知りませんよ……。
ていうかなりませんよ。
それに、ザドさんの話じゃその身体は大分汚そうだからしっかり洗って下さいよ……自分で」
俺は呆れ顔で告げる。
しかしザドには聞こえていなかった。
「こうしちゃいられねぇ!
行くぞっ!シン坊っ!」
長い布を引っ掴んで部屋を飛び出したザド。
俺も布を持って後を追った。
その村は高い山々に囲まれた集落だった。
建物は全て石造り。
大きな鉄の柵で覆われたその村は、出入り口に大きな木造の門があった。
そこに近付くと門の横に設置してある櫓の中から声が響く。
「商人だっ!商人が来たぞーっ!!」
その言葉に中から歓声が聞こえてくる。
開かれる大きな門。
中の広場には村人が集まり俺達を出迎える。
その中から子供達が小走りに駆け寄ってくる。
「これでパンをくださいっ」
「果物下さいっ」
握りしめた銅貨や銀貨を差し出して子供達は言う。
リゼット達は荷馬車の荷物を広げて、食料や雑貨を販売しだす。
ザドもまた荷馬車から木箱をどんどんと並べ、そこに入った果物や野菜、日用品や雑貨を売り出した。
そんな様子を俺は少し離れた所で見守る。
集まる子供は俺と同じくらいの子もいるし、それより幼い子もいる。
大人達も集まって来て品物を吟味している。
大人達はお金だけじゃなく、物々交換を申し込んでいる者もいた。
そして、村の長であろう初老の男性が近付いて来てリゼットに話しかける。
「あなたに頼んで良かった、グレンジャー殿。
多くの行商人に連絡はしたのですが、どうやらヴェルド峡谷でゴーレムが多数出没したようで、誰もここに辿り着けなかったようです……。
討伐隊が来るまで食料が持つか心配でしたが、これでどうにかなります。
本当に何とお礼を申し上げれば良いか」
初老な男は深々と頭を下げる。
「よしとくれ、村長。
私達は商いで来たんだ。
そんな人助けなんて大義を抱えちゃいないさ。
互いに利益になる。
それだけで十分だろう?
畏まる必要なんかないよ」
リゼットはそう言って微笑んだ。
村長もまた軽く一礼し、微笑み返す。
「おーい、その連絡を受けた一人が俺なんだけど!?」
ザドがその横から喚いていた。
この世界における行商人は人々の生活の生命線とも言える。
危険が多いこの世界では物資の調達は難しい。
自分達の村で農作物が取れれば食べるのには困らないが、どの村もそうではない。
コッツマルズ村のように採掘場があるような場所は作物も育ちにくい。
代わりに此処では希少価値のある鉱物や、宝石が取れるため、それらと食物等を交換したり、換金する。
農村も同じように、作物を売りに出してお金を稼ぎたい。
その為には商人が必要なのだ。
だから商人は他の職に比べて稼ぎは良い。
言い値で売買できる事が多い上に、どの村からも商人は必要だからだ。
しかし、今回のように魔物から商人が襲われ続ければ村を訪れる商人がいなくなる。
それは村の存続に関わる危機である。
そこで魔物の討伐依頼が出され、討伐隊の傭兵や冒険者が魔物を討伐し道を作る。
そして商人を護衛し、村や街へと渡る。
そうやってこの世界の人々は助け合って生きている。
「おいおいっ!見ろよシン坊!
野菜や果物が宝石と交換されんだぜ!?
たまんねぇよな!」
すこぶる上機嫌のザドである。
俺はザドから掻っ払ったリンゴを齧りながら、良かったですねー、と生返事する。
「おいおい、なんだよ。
なんか元気無ぇじゃねぇか」
「いえいえ。少し考え事ですよ」
俺はそう答えて遠い目をする。
思い出すのは元いた世界の事。
当たり前にご飯があり、当たり前に安全がある。
娯楽も多いし、物も溢れている。
便利な物が次々と開発され、街はどんどん変化していく。
そんな中では、こんな光景をまず見ない。
食べ物が買えること。
物が手に入る事。
命があるという事。
それがどれほど尊いのか。
有難い事なのか。
この世界で生きていると、今までの“当たり前”はとても価値のあるものだったのだと思い知らされる。
あの時は、そんな事は感じた事などなかったのに。
「もっと、日々を必死に生きてりゃ世界の見方も変わったのかな……」
誰にも聞こえないほど小さく俺は呟いた。
ザドは怪訝そうな顔をして俺を見てきたが、すぐに手元の宝石と硬貨を数えだしニヤケ始める。
俺はザドを放っておいて、リゼットさんの下に向かった。
こちらも商売がひと段落したようで、荷物をまとめている最中だった。
俺を見つけたガウェンさんが近付いてくる。
「そっちも終わったみたいだな。
随分と長い間商人が来ていなかったみたいで皆必死だったぜ。
ほら、新しい剣も交換してもらったんだ。
見てくれよ、この輝き!
なんでも村のドワーフが作った一品なんだとさっ」
そう言って輝く鋼の長剣を見せびらかしてくる。
「なかなか良いものが手に入ったみたいですね」
俺は半笑いで答える。
いい歳した大人なのに、子供に剣を見せびらかすとか恥ずかしくないのか。
「馬鹿な事自慢のしないの。
そもそもこの子がいなかったら私達は全滅してたんだからっ」
そう言って咎めるのはサリアさんだ。
しゃがんで俺と目線を合わせると俺の頭を優しく撫でてくる。
「こんなに小さいのに、とっても強いのね、キミは。
リゼットさんが気に入るのも頷けるわ。
今回の行商はあなたがいて本当に良かった。
また今度も一緒に行きたいものね」
そう言って微笑むサリアさん。
普段キツめの人だから、このギャップにはちょっとドキッとする。
「機会があれば是非またご一緒させてもらいます」
「ふふふ、リゼットさんの事だから幾度も行商にあなたを誘うはずよ。
いっそ護衛団に入っちゃう?
私もキミが護衛団に入るのなら大歓迎だけど」
「あはは、ありがとうございます。
でも、護衛団に入るのは遠慮しときます。
まだ自由に色んなものを見て回りたいので。
ただ、また行商に誘われる機会があれば付いて行きますよ」
そう言って微笑む俺。
サリアは約束よ、と一言言って笑うと、その場を去っていった。
「サリアがあんなに上機嫌なの見た事ないぞ。
実は子供好きだったのかな」
ガウェンさんは長剣を肩に担いで去っていくサリアさんを目で追っていた。
そんな俺達に近付いてきたのはリゼットさんだった。
「坊やのお陰で今回の行商は大成功さ。
ジーナスの鍛治職人やアクセサリーショップの職人達から頼まれてる品物も、かなり上等な物が揃った。
これなら帰った後高値で売却出来そうだ」
そう言って片手を差し出してくる。
「最初は試すような事を言って悪かったよ。
坊やの力は本物だ。
私達を無事にここまで連れてきてくれた事に感謝してる。
帰りもよろしく頼むよ」
そう言ったリゼットさんの手を俺は小さ手を伸ばして握る。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
そう言って握手を交わし、すぐに真剣な顔になる俺。
「リゼットさん。少しお話が」
俺は小声で話しかける。
リゼットさんは不思議そうに首を傾げ、次いで片膝をついて耳をこちらに向ける。
「魔族が近くに潜んでいる可能性があります。
用心して下さい」
「なんだって?」
リゼットさんは驚いた顔をする。
「昨夜襲ってきたシザースナイト。
そして道中のギガントゴーレム。
それらは間違いなく魔族に使役された存在のはず」
「……連中は此処に襲ってくると思うかい?」
リゼットは眉間にシワを寄せながら俺に尋ねてくる。
「わかりません……。
しかし、警戒はしておくべきかと」
そう伝えるとリゼットさんは頷いた。
「とりあえず私達は宿をとる。
ザドのヤツもとるんだろ?
ここは宿が一つしか無いからね。
あんなヤツと同じ屋根の下で眠るのは癪だが」
そう言って苦笑いするリゼットさん。
俺も思わず苦笑いになる。
「宿をとるとは言ってました。
あとは部屋が空いてるかどうかですね」
「あいつは物置でも構わないんじゃないのかい?」
ニヤリと笑うリゼットさん。
この扱い、日頃の行いだな。
「ああ、そうだ、坊や。
コッツマルズ村には憤怒の泉があるらしい。
道中かなり汚れてしまっただろう。
身体を流すには丁度良いんじゃないかい?」
憤怒の泉?
なにそれ、怖いんだけど。
「憤怒の泉って何ですか?」
「なんでも、熱い水が湧き出ているらしい。
そこに冷たい川の水とが混ざると丁度いいお湯になっている場所があるそうだ。
疲労回復にも効くらしい。
私達も後で行ってみるが、坊やも来るかい?」
それって……それってもしかして。
温泉じゃないのか!?
「行きます行きますっ!
直ぐに荷物置いて来ますから!」
いやっほーー!
お風呂だお風呂だ!
この世界に来てから水風呂しか入ってない訳さ。
ジノの家にお風呂付けようと俺が打診した事もあったが、無駄だという事で却下された事もあるあのお風呂!
しかも温泉!
露天風呂だろ!?
テンション上がって来たぜ。
俺は駆け足でザドの下へと向かい、宿に行くぞっ!と引っ掴んで行った。
無事に宿の部屋が取る事も出来、八畳程のこじんまりした部屋に案内された俺達。
その後ザドにも事情を話すも、ザドの興味は薄い。
「あー?暖かい水?温泉?
身体なんて湿った布で擦りゃあ綺麗にならぁ!」
ならねーよ。
洗えよ、ちゃんと。
「そうですか。
ザドさんは宿で留守番するですね」
「あぁ、長旅で疲れちまったからな。
ゆっくり休ませてもらうぜ」
ゴロンと床に寝そべるザド。
「リゼットさん御一行は行くそうです。
僕は皆と温泉を堪能してきますので」
俺はそう言って一礼する。
ん?とザドは考え込む。
そしてガバッと起き上がり、こちらを振り向く。
「シン坊!?
それはつまり……」
「……そういう事です」
ドヤ顔の俺。
それで全てを察したザドはブツブツと何かを呟いている。
「つ、つまり……セリーヌちゃんと身体を洗い合えると!?」
…………。
お前の妄想力はどんだけ逞しいんだよ。
どうなったらそんなシチュエーションになる。
「知りませんよ……。
ていうかなりませんよ。
それに、ザドさんの話じゃその身体は大分汚そうだからしっかり洗って下さいよ……自分で」
俺は呆れ顔で告げる。
しかしザドには聞こえていなかった。
「こうしちゃいられねぇ!
行くぞっ!シン坊っ!」
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俺も布を持って後を追った。
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