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第3章 少年期中編
第27話 新居探し
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宿を後にして、向かった先はリゼットさん達が住んでいる屋敷だった。
それは商業区域の一角にある大きな屋敷である。
リゼットさんが今日は行商が休みなのも事前に確認しており、その上で今日相談事がある事も伝えてある。
大きな屋敷の玄関扉をノックすると、ガチャリッ、と重い金属音が響いて扉が開く。
出迎えてくれたのはノエル君。
リゼットさん達の執事兼商人の事務を担当する青年だ。
執事服をキッチリ着こなしているノエル君は見た目は高校生くらいの若者。
ダークブルーの髪を短く切り揃え、キリッとした顔付きをしている。
そんなノエル君は俺を見ると一礼する。
「いらっしゃいませ、シン様」
「ノエル君、様付けはしなくて良いってば」
「いえ、シン様はリゼット様の大事なお客様ですから。
どうぞ、中へ」
ノエル君は頭を下げたままそう言った。
歳も他の人に比べれば近いし、もっとカジュアルな感じで話したいけど、こりゃ無理かな。
俺は促されるままに中へと入ると、大きな階段からリゼットさんが降りてくる。
行商の時とは違い、普段着と思われる黒のズボンに、茶色の布の服を着ている。
「やぁ、坊や。
私の屋敷に来てまで相談とは、本当に珍しいね?」
「今日はすみません、せっかくの休日なのに時間を作ってもらって」
俺は頭を下げて詫びるが、リゼットさんは首を横に降る。
「構わないさ。
坊やには日頃世話になってるからね。
それに、私達の命の恩人でもある。
相談に乗るくらい訳ないさ。
とりあえず、座ろうか」
リゼットさんは手招きして広めの客間へと案内してくれた。
大きめの木のテーブルを挟み、僕らは座る。
椅子に座るとすぐにノエル君がカップに紅茶を入れて持ってきてくれた。
俺は、ありがと、と一言お礼を言うと軽く微笑むノエル君。
爽やかボーイである。
「さて、それじゃあ早速、内容を聞かせてもらおうか?」
リゼットさんはノエル君が持ってきた紅茶を一口飲んで、尋ねてきた。
「えぇ、実は僕が商人達の護衛を頻繁に受けすぎて、傭兵団の方々に迷惑がかかってしまったようなんです。
団長さんから直々に苦情の文書が届きまして」
リゼットさんは黙って聞いている。
「僕は交渉が苦手なので、護衛の金額は基本的には一律で決めていたのが悪かったのかもしれません。
僕基準の金額で商人の皆さんは傭兵への支払いを考え始めて、賃金の値下げを始めたそうで。
それが傭兵団で問題視された、という訳です」
「ありそうな話だ。
確かに、坊やの実力とその実績から言って一日金貨三枚は安すぎる。
それを基準にして傭兵達への支払いをしたら、一人頭の金額はかなり少なくなる」
そう言って笑うリゼットさん。
「事はそれだけに留まらず、ザドさんを筆頭に僕の寝泊まりしているネラの宿屋に商人の皆さんが押しかけるようになってしまいまして……。
ここまで周りに迷惑がかかるようなら、自分も考えなければいけないと思ったんです」
なるほど、と頷くリゼットさん。
「気苦労が絶えないね、坊や。
本来、坊やがそこまで気を使う話でも無いんだが、ね」
「いえ、僕が安易に護衛を受け過ぎたのが問題だったのです。
もっと思慮深く行動するべきでした。
それに商人の皆さんには今後も傭兵団の方々とうまくやっていって欲しいんです」
「それは、なぜ?」
俺は一呼吸おいて答える。
「僕は目指す場所があります。
ジーナスにずっといる訳ではありません。
いずれはここを離れます。
だから、彼等を永遠には守ってあげられない。
僕がいなくなった時、彼等を守る人がいなくては商人が行商に出れません。
それは街の、村の危機を意味します。
そうならない為にも、傭兵団と商人は良好な関係を築くべきなんです」
そこまで話すと、リゼットさんは感心したように頷く。
「私の想像以上に考えているようだね、坊や」
俺は軽く微笑んで続ける。
「商人の方々にも、村や街の人達にも不幸にはなって欲しくありません。
そこで、僕は一軒家を持とうかと考えてます。
今後は自分の家で護衛請負をして、適度な頻度で護衛をしていこうかと考えています」
リゼットさんは顎に手をやり、ふぅん、と話を吟味する。
「悪くない考えだね。
しかし、それにはまず家がいる。
もう宿は出たのかい?」
「はい、宿にはもう迷惑はかけられません。
ザドさん達にもこれから僕は家を探す旨と、今週は護衛をお休みする事も伝えてあります。
だから、今週のうちに物件を探そうかと思っています」
俺は一口紅茶を飲み、続ける。
「そこで本題です。
僕は物件の価値もよくわかりません。
お金には困っていませんが、良いようにお金を取られるのも、騙されるのも御免です。
そこで、物件探しにリゼットさんにも同行して頂きたいのですが、お願い出来ませんか?」
そう言うとリゼットさんは笑った。
「坊やの事だ。
私の“洞観の目”で相手が嘘を言ってないかも見抜いて欲しい、ってんだろ?
抜け目のない子だよ」
俺の考えは見事に見抜かれて、俺は思わず頭を掻く。
「ダメ、でしょうか?」
「普通ならお断りさ。
でも、他ならぬ坊やの頼みだ。
普段あれだけ世話になっておいて、ここで断る程鬼じゃない」
「それじゃあ!」
俺が前のめりになって顔を輝かせると、リゼットさんは微笑む。
「物件探しには協力しよう。
ただ、私も多忙な身でね。
今日しか時間は空いてない。
直ぐにでも行動させてもらうけれど、構わないね?」
「勿論!それじゃあ早速いきますか!」
「そうしようか」
俺達が立ち上がると、階段を駆け下りる音が屋敷に響き、客間の扉が勢いよく開かれる。
「シンくんっ!
リゼットさん、シンくん来てるなら言ってくださいよっ!」
入ってきたのはサリアさん。
リゼットさんは額に手を当て、溜息をつく。
「サリア、今日は坊やが大事な相談がある、と言って訪ねてきたんだ。
だから……」
「リゼットさん!
まさかシンくんと二人で出掛けるつもりだったんですか!?
私を差し置いて酷いです!」
リゼットさんの言葉を遮り詰め寄るサリアさん。
非常に面倒臭そうな顔をするリゼットさん。
「まったく、お前は坊やの事となると熱くなり過ぎるから黙ってたんだ。
話しが前に進まないだろう」
「どこかに行くんですか!?
わたしも手伝います!」
えぇ?別にサリアさんはいてもいなくてもいいんだけど……。
てか、いるとベタベタされて少し大変なんだけど。
「見ろ、坊やの顔が引きつってるぞ」
親指で俺を指差すリゼットさん。
「シンくぅん……そんな顔しないで!
役に立つから!荷物持つよ!」
「いや、これは大事な荷物なので僕が持ちます」
これは大金の入ったカバンなので。
それに、万が一俺以外が開けようとすると、強力な電流が流れる仕掛けを施してる。
「置いてかないでぇ、シンくん!」
涙目で懇願しながら縋り付くサリアさん。
俺とリゼットさんは顔を見合わせ、溜息をついてから同行を許可する。
飛び跳ねて喜ぶサリアさん。
この人、どんだけ俺といたいんだよ……。
リゼットさんも頭を抱えている。
こうして、三人で街の物件商人のもとへと向かった。
俺達三人は商業区から出て、二○分程歩き、居住区へと向かった。
この区域には貧困層、一般層、富豪層、貴族層といった形に住む場所が分かれている。
向かう先は一般層の区域。
そこにある一つの物件屋に立ち寄る。
煉瓦造りのお洒落な建物のお店だった。
扉を開くと店主が駆け寄ってきた。
「いらっしゃい」
店主は眼鏡をかけた四○代程のおいちゃんである。
ニコニコと営業スマイルをしている。
「えーっと、物件をお探しで?マダム」
その呼び方にリゼットさんが額に青筋を浮かべて店主を睨みつける。
「マダム、じゃないよ。
変な呼び方はやめとくれ」
その威圧に店主は縮み上がる。
かわいそ……。
「し、失礼。
えっと、どのような物件をお探しで?」
相変わらずリゼットさんに問い掛けていく店主。
「探してるのは僕です」
俺が見かねて声をかけると、こちらを見た店主の眼鏡がズルッと下がる。
慌てて直し、店主は不思議そうに首を傾げる。
「えーっと、坊やは家を持つのはまだ早いんじゃあないかい?」
そう笑いながら言ってくる。
「冗談ではなく、本当に僕が探してるんです」
その声の真剣さに流石の店主も真顔になる。
そしてリゼットさん、次いでサリアさんの顔を見るが、二人とも無言で店主を見つめ続ける。
ようやく子供が物件探しに来たのだと理解する。
「オ、オホン!えーっと、では、どのような物件をお探しで?」
咳払いを一つして、引きつった営業スマイルを向けながら改めて尋ねてくる店主。
「物件って、いくらくらいのがありますか?」
そう尋ねると、店主はうーん、と悩む。
「ピンキリですかね。
安ければ金貨百枚くらいの家もあります。
それだとかなりボロ家になりますが……。
そこそこの物件で三百枚から五百枚。
それを超えると上質な物件になり、貴族や富豪が住むレベルなら聖金貨一枚を超えます」
なるほど、中間は金貨五百枚って感じか。
「大体金貨五百枚の物件はいくつありますか?」
そう尋ねると店主が目を見開く。
「え、えと……五百枚と言いますと、かなり高額ですが、その……」
「心配せずとも、坊やは金貨五百枚くらい持ってるさ」
だろ?と俺を見てくるリゼットさん。
リゼットさんが助け舟を出してくれた。
やっぱ頼りになる。
サリアさんはまさか物件探しとは思ってなかったようで、遠い目をしながら物思いにふけっている。
何想像してんだ、この人……。
店主はまだ納得しかねている様子で口を開く。
「さ、左様でございますか。
では、えーっと、金貨五百枚前後の物件ですね。
二つ候補があります。
ご覧になりますか?」
「ええ、勿論。
よろしくお願いします」
俺が頼むと、店主は二つの鍵を手に持って俺達と共に店を出た。
案内された一つ目の物件。
それは石造りの二階建ての家だった。
中に入ると広いリビングに木のテーブル、椅子、そしてカマドがある。
二階には個室が二つ。
どちらも十畳程でなかなか広い。
そこにもタンスや戸棚、テーブルに椅子ともろもろの家具が揃っている。
少し古いが、ベッドまでちゃんと用意されていた。
悪くない。
けれど、普通だ。
取り分け目立つような点もない。
「うーん、普通ね」
サリアさんが一言感想を述べる。
思っても言わない、それが大事です、サリアさん。
「お気に召しませんか?」
店主が恐る恐る尋ねてくる。
「もう一つの方も見せてもらえますか?」
そう俺がそう言うと、店主は頷く。
二つ目の物件はすぐ傍に水路があった。
外観は白い石と木材の複合した造り。
中に入ると、そこそこ広いリビングに、小さめの暖炉があった。
さっきの家には暖炉は無かったはず。
こちらのカマドは先ほどより小さめだが、使い勝手は問題無いだろう。
一階はリビングだけかと思いきや、個室が一つある。
「ん?ここは?」
俺は興味深げにその扉を開くと、四畳程の狭い部屋があった。
木造のベンチがあり、木の床に木造の壁。
そして、一部の床は石畳になっており、その上に鉄のストーブみたいな物が置いてある。
それは煙突が天井まで伸びていた。
なんだ、この部屋?
俺が不思議そうにキョロキョロしてると、店主が声をかけてきた。
「あぁ、一般家庭にあるのは非常に珍しいです。
そこは所謂蒸し風呂ですね」
「まじかっ!?」
俺は思わず声を上げてしまう。
「じゃあこの鉄のカマドみたいなので部屋を蒸すんですか?」
「ええ。
水冷石と可燃石をそこに入れて、出てくる水蒸気で身体を暖めたり、洗ったり出来るそうです。
汗もたくさんかいて気持ちいいそうですよ。
しかし、魔鉱石はお金がとてもかかる為、実用的とは言えませんね」
なるほど……。
このままでも使えるが、蒸し風呂として使えるなら中の物さえ変えれば普通の風呂としてもつかえるはず。
こりゃリフォームすれば化けるぞ。
「シンくん、蒸し風呂にそんなに興味あるの?
目が輝いてるよ?」
サリアさんが不思議そうに聞いてくる。
「これはとても良い物件かもしれません」
俺が真顔で呟く。
サリアさんはよくわかっていないようだ。
二階には個室が三つあった。
一つ一つはさっきの家より狭いが、それでも八畳くらいはあるな。
残念ながら、家具はほとんど無い家だが、それは買えば良い話だ。
「如何でしょうか?」
店主がまたも恐る恐る聞いてくる。
俺は大きく頷く。
「この家の値段は?」
「ここは少し割高でして、金貨五八○枚です」
すると、リゼットさんが口を挟む。
「この物件、さっきの物件に比べてまだ新しいね。
多少は使われてる形跡もあるが……」
そう言いながら壁の傷や、床の汚れなどを見る。
「あーっと、その……そうですね、以前使っていた方もいますから。
実はこの物件、貴族の別荘地として使われていたものでして……」
歯切れが悪い店主。
リゼットさんの瞳がギラリと光る。
「貴族の別荘地?
それなのに金貨五八○枚ってのは安くないかい?」
そうなの?
相場わかんねぇな。
やっぱリゼットさん連れてきて正解だった。
「……実は、ここはとある貴族が愛人と逢い引きする為だけに作った家でして……」
俺は吹き出しそうになった。
マジかよっ!
ここはその貴族が浮気する為の家かよ!
「この家の存在が奥方にバレて、即刻売りに出されたのです。
事情が事情なだけに、知ってる者には買い手が出なくてですね……。
それに、蒸し風呂なんて、一般市民は使わないので、小さいとは言え一部屋無駄にしている始末ですし」
ほー、そういう事か。
だから割と見た目も内装も悪く無いのに、家具だけは無いのか。
恐らく家具も何もかも売ってしまったのだろう。
殺人とかじゃないにせよ、訳あり物件なんだな。
「そういう事情なら、もう少し安くならないかい?」
あ、リゼットさんが値切り出した。
「そ、そうですねぇ……。
では金貨五六○枚で」
いきなり二○枚もまけてきたぞ。
「四五○枚だ」
間髪入れずに鋭く言うリゼットさん。
それはふっかけ過ぎじゃね?
「そ、そんな!?
せめて五二○枚で……」
一気に下がったな。
笑いそうになるわ。
「なら、四八○枚だね」
「う、うぅ……五百枚で勘弁して下さい……。
それ以上は安く出来ません……」
泣きそうな店主。
それを聞いて満足気な顔になるリゼットさんは俺を見て、どうする?と問いかける。
強えぇ。
いや、むしろ店主が弱い……。
こんな店主で大丈夫かよ?
「五百枚で買います。
ここには直ぐに住めますか?」
俺は笑顔で尋ねる。
「えーっと、まずは契約書にサインをもらわなくては。
それに、流石に金貨五百枚は一度では支払えないでしょうし、分割の契約も……」
「一括で払いますよ」
俺はそう言ってテーブルに鞄を乗せる。
それを開くと、金貨と銀貨がズラリと綺麗に並んでいた。
それを見た店主は目を見開く。
サリアさんも小声で、すご……、と呟いていた。
リゼットさんは動じていない。
俺がこれほど持ってる事も予測していたのだろう。
俺は金貨十枚が一束になってるものを五十束分テーブルに並べていく。
「これで、足りますか?」
そう尋ねると店主は首を縦にブンブン振る。
「ち、ちなみにもっと良い物件もありますが?」
手を擦り合わせながら、覗き込むように俺を見る店主。
がめつい人だ。
「いいえ、この物件が気に入りました。
これでお願いします」
シュンと肩を落とす店主。
まさか子供の俺が聖金貨一枚相当のお金を持っているとは思いもしなかったのだろう。
なんてったって、俺の存在が商人達に知れ渡ってから、複数の商人を一度に護衛する事がほとんどだった。
向かう方向が同じなら、商人としても俺に護衛してもらいたい、という希望からだ。
一応複数護衛する場合は支払いの金貨を加算させてもらったが、それでも商人達は俺の護衛を積極的に頼んできた。
そりゃあ命のかかった行商だから、より強い人に守ってもらいたいのは当然かもしれないが……。
そんな事を半年間、ほぼ毎日続け、いつの間にかこれだけ稼いでしまったのである。
あまりにお金が貯まっていくので、ネラおばさんに金庫をお借りしたくらいだ。
その後、再度お店に戻り、売買契約書にサインする。
店主は俺が来店した時とは打って変わって、媚びへつらうような態度になっていた。
金って人を変えるよね、怖い怖い。
一度家を綺麗にし直し、明日鍵を渡してくれるそうだ。
「それにしても、シンくんそんなにお金持ってたの?
ビックリしちゃった」
サリアさんはお店を出るなりそう言ってきた。
「坊やがどれほど商人の護衛をしているか、お前も知ってるだろう?
私のように支払いを割り増しで払う商人もいるだろうし。
坊やの護衛の代金設定は低すぎさ。
今後はもう少し高めにしておいても良いんじゃないのかい?」
その言葉に俺は悩む。
「うーん、そうですねぇ。
最初は商人の皆さんとの縁を作るためにも、あまり高額な代金にはしたくなかったんですよね。
気軽に頼めるくらいの金額が望ましいかな、と。
でも、今更値上げするのもなんだか人が悪くないですか?」
それを聞いてリゼットさんは腰に手を当て、俺に諭すように言う。
「坊や。あんたは自分の為、というより商人達の為に家を買ったようなもんだろ?
これまで以上の出費も出る。
相応の代金が上乗せされるのは当然さ。
それに、あと金貨二、三枚加算するだけなら商人も納得するだろう。
やはり今の護衛一日金貨三枚は安すぎだね」
そんなもんですかねぇ、と俺は呟く。
「普通は立て続けに護衛なんて出来ないからね。
シンくんはマナ変換で疲労回復してるんだろうけど、私達はしっかり身体を休めなきゃそれこそ役に立たなくなる。
傭兵なんて週に一度か二度としか行商に参加出来ないよ?
大怪我したらそれまでだし。
色んな意味でキミは特別なんだよ」
サリアさんもリゼットさんに同調する。
ふぅむ、そんじゃあ料金の見直しも踏まえて考えるかな。
「家は購入できたが、次はどうするんだい?
あの家には大した家具は無かったろう。
ついでに見にいくかい?」
「いいんですか?」
俺が聞き返すと、頷く二人。
そうして今度は商業地区へと俺達は戻っていく。
「ふふふー、今度シンくんのお家にお邪魔するね?」
道中、すこぶるご機嫌のサリアさんは満面の笑みでそう言っていた。
「サリア、坊やに迷惑かけるんじゃないよ。
お前のが大人なんだから、少しは自重しな」
呆れたように言うリゼットさん。
「えー?あの家は私とシンくんの愛の巣でしょ?」
違ぇよ……。
俺とリゼットさんは額に手を当て溜息をつく。
そういやサリアさん、なんで家を買う事になったのか、って話聞いてなかったな。
面倒だが、道中で説明するか。
それは商業区域の一角にある大きな屋敷である。
リゼットさんが今日は行商が休みなのも事前に確認しており、その上で今日相談事がある事も伝えてある。
大きな屋敷の玄関扉をノックすると、ガチャリッ、と重い金属音が響いて扉が開く。
出迎えてくれたのはノエル君。
リゼットさん達の執事兼商人の事務を担当する青年だ。
執事服をキッチリ着こなしているノエル君は見た目は高校生くらいの若者。
ダークブルーの髪を短く切り揃え、キリッとした顔付きをしている。
そんなノエル君は俺を見ると一礼する。
「いらっしゃいませ、シン様」
「ノエル君、様付けはしなくて良いってば」
「いえ、シン様はリゼット様の大事なお客様ですから。
どうぞ、中へ」
ノエル君は頭を下げたままそう言った。
歳も他の人に比べれば近いし、もっとカジュアルな感じで話したいけど、こりゃ無理かな。
俺は促されるままに中へと入ると、大きな階段からリゼットさんが降りてくる。
行商の時とは違い、普段着と思われる黒のズボンに、茶色の布の服を着ている。
「やぁ、坊や。
私の屋敷に来てまで相談とは、本当に珍しいね?」
「今日はすみません、せっかくの休日なのに時間を作ってもらって」
俺は頭を下げて詫びるが、リゼットさんは首を横に降る。
「構わないさ。
坊やには日頃世話になってるからね。
それに、私達の命の恩人でもある。
相談に乗るくらい訳ないさ。
とりあえず、座ろうか」
リゼットさんは手招きして広めの客間へと案内してくれた。
大きめの木のテーブルを挟み、僕らは座る。
椅子に座るとすぐにノエル君がカップに紅茶を入れて持ってきてくれた。
俺は、ありがと、と一言お礼を言うと軽く微笑むノエル君。
爽やかボーイである。
「さて、それじゃあ早速、内容を聞かせてもらおうか?」
リゼットさんはノエル君が持ってきた紅茶を一口飲んで、尋ねてきた。
「えぇ、実は僕が商人達の護衛を頻繁に受けすぎて、傭兵団の方々に迷惑がかかってしまったようなんです。
団長さんから直々に苦情の文書が届きまして」
リゼットさんは黙って聞いている。
「僕は交渉が苦手なので、護衛の金額は基本的には一律で決めていたのが悪かったのかもしれません。
僕基準の金額で商人の皆さんは傭兵への支払いを考え始めて、賃金の値下げを始めたそうで。
それが傭兵団で問題視された、という訳です」
「ありそうな話だ。
確かに、坊やの実力とその実績から言って一日金貨三枚は安すぎる。
それを基準にして傭兵達への支払いをしたら、一人頭の金額はかなり少なくなる」
そう言って笑うリゼットさん。
「事はそれだけに留まらず、ザドさんを筆頭に僕の寝泊まりしているネラの宿屋に商人の皆さんが押しかけるようになってしまいまして……。
ここまで周りに迷惑がかかるようなら、自分も考えなければいけないと思ったんです」
なるほど、と頷くリゼットさん。
「気苦労が絶えないね、坊や。
本来、坊やがそこまで気を使う話でも無いんだが、ね」
「いえ、僕が安易に護衛を受け過ぎたのが問題だったのです。
もっと思慮深く行動するべきでした。
それに商人の皆さんには今後も傭兵団の方々とうまくやっていって欲しいんです」
「それは、なぜ?」
俺は一呼吸おいて答える。
「僕は目指す場所があります。
ジーナスにずっといる訳ではありません。
いずれはここを離れます。
だから、彼等を永遠には守ってあげられない。
僕がいなくなった時、彼等を守る人がいなくては商人が行商に出れません。
それは街の、村の危機を意味します。
そうならない為にも、傭兵団と商人は良好な関係を築くべきなんです」
そこまで話すと、リゼットさんは感心したように頷く。
「私の想像以上に考えているようだね、坊や」
俺は軽く微笑んで続ける。
「商人の方々にも、村や街の人達にも不幸にはなって欲しくありません。
そこで、僕は一軒家を持とうかと考えてます。
今後は自分の家で護衛請負をして、適度な頻度で護衛をしていこうかと考えています」
リゼットさんは顎に手をやり、ふぅん、と話を吟味する。
「悪くない考えだね。
しかし、それにはまず家がいる。
もう宿は出たのかい?」
「はい、宿にはもう迷惑はかけられません。
ザドさん達にもこれから僕は家を探す旨と、今週は護衛をお休みする事も伝えてあります。
だから、今週のうちに物件を探そうかと思っています」
俺は一口紅茶を飲み、続ける。
「そこで本題です。
僕は物件の価値もよくわかりません。
お金には困っていませんが、良いようにお金を取られるのも、騙されるのも御免です。
そこで、物件探しにリゼットさんにも同行して頂きたいのですが、お願い出来ませんか?」
そう言うとリゼットさんは笑った。
「坊やの事だ。
私の“洞観の目”で相手が嘘を言ってないかも見抜いて欲しい、ってんだろ?
抜け目のない子だよ」
俺の考えは見事に見抜かれて、俺は思わず頭を掻く。
「ダメ、でしょうか?」
「普通ならお断りさ。
でも、他ならぬ坊やの頼みだ。
普段あれだけ世話になっておいて、ここで断る程鬼じゃない」
「それじゃあ!」
俺が前のめりになって顔を輝かせると、リゼットさんは微笑む。
「物件探しには協力しよう。
ただ、私も多忙な身でね。
今日しか時間は空いてない。
直ぐにでも行動させてもらうけれど、構わないね?」
「勿論!それじゃあ早速いきますか!」
「そうしようか」
俺達が立ち上がると、階段を駆け下りる音が屋敷に響き、客間の扉が勢いよく開かれる。
「シンくんっ!
リゼットさん、シンくん来てるなら言ってくださいよっ!」
入ってきたのはサリアさん。
リゼットさんは額に手を当て、溜息をつく。
「サリア、今日は坊やが大事な相談がある、と言って訪ねてきたんだ。
だから……」
「リゼットさん!
まさかシンくんと二人で出掛けるつもりだったんですか!?
私を差し置いて酷いです!」
リゼットさんの言葉を遮り詰め寄るサリアさん。
非常に面倒臭そうな顔をするリゼットさん。
「まったく、お前は坊やの事となると熱くなり過ぎるから黙ってたんだ。
話しが前に進まないだろう」
「どこかに行くんですか!?
わたしも手伝います!」
えぇ?別にサリアさんはいてもいなくてもいいんだけど……。
てか、いるとベタベタされて少し大変なんだけど。
「見ろ、坊やの顔が引きつってるぞ」
親指で俺を指差すリゼットさん。
「シンくぅん……そんな顔しないで!
役に立つから!荷物持つよ!」
「いや、これは大事な荷物なので僕が持ちます」
これは大金の入ったカバンなので。
それに、万が一俺以外が開けようとすると、強力な電流が流れる仕掛けを施してる。
「置いてかないでぇ、シンくん!」
涙目で懇願しながら縋り付くサリアさん。
俺とリゼットさんは顔を見合わせ、溜息をついてから同行を許可する。
飛び跳ねて喜ぶサリアさん。
この人、どんだけ俺といたいんだよ……。
リゼットさんも頭を抱えている。
こうして、三人で街の物件商人のもとへと向かった。
俺達三人は商業区から出て、二○分程歩き、居住区へと向かった。
この区域には貧困層、一般層、富豪層、貴族層といった形に住む場所が分かれている。
向かう先は一般層の区域。
そこにある一つの物件屋に立ち寄る。
煉瓦造りのお洒落な建物のお店だった。
扉を開くと店主が駆け寄ってきた。
「いらっしゃい」
店主は眼鏡をかけた四○代程のおいちゃんである。
ニコニコと営業スマイルをしている。
「えーっと、物件をお探しで?マダム」
その呼び方にリゼットさんが額に青筋を浮かべて店主を睨みつける。
「マダム、じゃないよ。
変な呼び方はやめとくれ」
その威圧に店主は縮み上がる。
かわいそ……。
「し、失礼。
えっと、どのような物件をお探しで?」
相変わらずリゼットさんに問い掛けていく店主。
「探してるのは僕です」
俺が見かねて声をかけると、こちらを見た店主の眼鏡がズルッと下がる。
慌てて直し、店主は不思議そうに首を傾げる。
「えーっと、坊やは家を持つのはまだ早いんじゃあないかい?」
そう笑いながら言ってくる。
「冗談ではなく、本当に僕が探してるんです」
その声の真剣さに流石の店主も真顔になる。
そしてリゼットさん、次いでサリアさんの顔を見るが、二人とも無言で店主を見つめ続ける。
ようやく子供が物件探しに来たのだと理解する。
「オ、オホン!えーっと、では、どのような物件をお探しで?」
咳払いを一つして、引きつった営業スマイルを向けながら改めて尋ねてくる店主。
「物件って、いくらくらいのがありますか?」
そう尋ねると、店主はうーん、と悩む。
「ピンキリですかね。
安ければ金貨百枚くらいの家もあります。
それだとかなりボロ家になりますが……。
そこそこの物件で三百枚から五百枚。
それを超えると上質な物件になり、貴族や富豪が住むレベルなら聖金貨一枚を超えます」
なるほど、中間は金貨五百枚って感じか。
「大体金貨五百枚の物件はいくつありますか?」
そう尋ねると店主が目を見開く。
「え、えと……五百枚と言いますと、かなり高額ですが、その……」
「心配せずとも、坊やは金貨五百枚くらい持ってるさ」
だろ?と俺を見てくるリゼットさん。
リゼットさんが助け舟を出してくれた。
やっぱ頼りになる。
サリアさんはまさか物件探しとは思ってなかったようで、遠い目をしながら物思いにふけっている。
何想像してんだ、この人……。
店主はまだ納得しかねている様子で口を開く。
「さ、左様でございますか。
では、えーっと、金貨五百枚前後の物件ですね。
二つ候補があります。
ご覧になりますか?」
「ええ、勿論。
よろしくお願いします」
俺が頼むと、店主は二つの鍵を手に持って俺達と共に店を出た。
案内された一つ目の物件。
それは石造りの二階建ての家だった。
中に入ると広いリビングに木のテーブル、椅子、そしてカマドがある。
二階には個室が二つ。
どちらも十畳程でなかなか広い。
そこにもタンスや戸棚、テーブルに椅子ともろもろの家具が揃っている。
少し古いが、ベッドまでちゃんと用意されていた。
悪くない。
けれど、普通だ。
取り分け目立つような点もない。
「うーん、普通ね」
サリアさんが一言感想を述べる。
思っても言わない、それが大事です、サリアさん。
「お気に召しませんか?」
店主が恐る恐る尋ねてくる。
「もう一つの方も見せてもらえますか?」
そう俺がそう言うと、店主は頷く。
二つ目の物件はすぐ傍に水路があった。
外観は白い石と木材の複合した造り。
中に入ると、そこそこ広いリビングに、小さめの暖炉があった。
さっきの家には暖炉は無かったはず。
こちらのカマドは先ほどより小さめだが、使い勝手は問題無いだろう。
一階はリビングだけかと思いきや、個室が一つある。
「ん?ここは?」
俺は興味深げにその扉を開くと、四畳程の狭い部屋があった。
木造のベンチがあり、木の床に木造の壁。
そして、一部の床は石畳になっており、その上に鉄のストーブみたいな物が置いてある。
それは煙突が天井まで伸びていた。
なんだ、この部屋?
俺が不思議そうにキョロキョロしてると、店主が声をかけてきた。
「あぁ、一般家庭にあるのは非常に珍しいです。
そこは所謂蒸し風呂ですね」
「まじかっ!?」
俺は思わず声を上げてしまう。
「じゃあこの鉄のカマドみたいなので部屋を蒸すんですか?」
「ええ。
水冷石と可燃石をそこに入れて、出てくる水蒸気で身体を暖めたり、洗ったり出来るそうです。
汗もたくさんかいて気持ちいいそうですよ。
しかし、魔鉱石はお金がとてもかかる為、実用的とは言えませんね」
なるほど……。
このままでも使えるが、蒸し風呂として使えるなら中の物さえ変えれば普通の風呂としてもつかえるはず。
こりゃリフォームすれば化けるぞ。
「シンくん、蒸し風呂にそんなに興味あるの?
目が輝いてるよ?」
サリアさんが不思議そうに聞いてくる。
「これはとても良い物件かもしれません」
俺が真顔で呟く。
サリアさんはよくわかっていないようだ。
二階には個室が三つあった。
一つ一つはさっきの家より狭いが、それでも八畳くらいはあるな。
残念ながら、家具はほとんど無い家だが、それは買えば良い話だ。
「如何でしょうか?」
店主がまたも恐る恐る聞いてくる。
俺は大きく頷く。
「この家の値段は?」
「ここは少し割高でして、金貨五八○枚です」
すると、リゼットさんが口を挟む。
「この物件、さっきの物件に比べてまだ新しいね。
多少は使われてる形跡もあるが……」
そう言いながら壁の傷や、床の汚れなどを見る。
「あーっと、その……そうですね、以前使っていた方もいますから。
実はこの物件、貴族の別荘地として使われていたものでして……」
歯切れが悪い店主。
リゼットさんの瞳がギラリと光る。
「貴族の別荘地?
それなのに金貨五八○枚ってのは安くないかい?」
そうなの?
相場わかんねぇな。
やっぱリゼットさん連れてきて正解だった。
「……実は、ここはとある貴族が愛人と逢い引きする為だけに作った家でして……」
俺は吹き出しそうになった。
マジかよっ!
ここはその貴族が浮気する為の家かよ!
「この家の存在が奥方にバレて、即刻売りに出されたのです。
事情が事情なだけに、知ってる者には買い手が出なくてですね……。
それに、蒸し風呂なんて、一般市民は使わないので、小さいとは言え一部屋無駄にしている始末ですし」
ほー、そういう事か。
だから割と見た目も内装も悪く無いのに、家具だけは無いのか。
恐らく家具も何もかも売ってしまったのだろう。
殺人とかじゃないにせよ、訳あり物件なんだな。
「そういう事情なら、もう少し安くならないかい?」
あ、リゼットさんが値切り出した。
「そ、そうですねぇ……。
では金貨五六○枚で」
いきなり二○枚もまけてきたぞ。
「四五○枚だ」
間髪入れずに鋭く言うリゼットさん。
それはふっかけ過ぎじゃね?
「そ、そんな!?
せめて五二○枚で……」
一気に下がったな。
笑いそうになるわ。
「なら、四八○枚だね」
「う、うぅ……五百枚で勘弁して下さい……。
それ以上は安く出来ません……」
泣きそうな店主。
それを聞いて満足気な顔になるリゼットさんは俺を見て、どうする?と問いかける。
強えぇ。
いや、むしろ店主が弱い……。
こんな店主で大丈夫かよ?
「五百枚で買います。
ここには直ぐに住めますか?」
俺は笑顔で尋ねる。
「えーっと、まずは契約書にサインをもらわなくては。
それに、流石に金貨五百枚は一度では支払えないでしょうし、分割の契約も……」
「一括で払いますよ」
俺はそう言ってテーブルに鞄を乗せる。
それを開くと、金貨と銀貨がズラリと綺麗に並んでいた。
それを見た店主は目を見開く。
サリアさんも小声で、すご……、と呟いていた。
リゼットさんは動じていない。
俺がこれほど持ってる事も予測していたのだろう。
俺は金貨十枚が一束になってるものを五十束分テーブルに並べていく。
「これで、足りますか?」
そう尋ねると店主は首を縦にブンブン振る。
「ち、ちなみにもっと良い物件もありますが?」
手を擦り合わせながら、覗き込むように俺を見る店主。
がめつい人だ。
「いいえ、この物件が気に入りました。
これでお願いします」
シュンと肩を落とす店主。
まさか子供の俺が聖金貨一枚相当のお金を持っているとは思いもしなかったのだろう。
なんてったって、俺の存在が商人達に知れ渡ってから、複数の商人を一度に護衛する事がほとんどだった。
向かう方向が同じなら、商人としても俺に護衛してもらいたい、という希望からだ。
一応複数護衛する場合は支払いの金貨を加算させてもらったが、それでも商人達は俺の護衛を積極的に頼んできた。
そりゃあ命のかかった行商だから、より強い人に守ってもらいたいのは当然かもしれないが……。
そんな事を半年間、ほぼ毎日続け、いつの間にかこれだけ稼いでしまったのである。
あまりにお金が貯まっていくので、ネラおばさんに金庫をお借りしたくらいだ。
その後、再度お店に戻り、売買契約書にサインする。
店主は俺が来店した時とは打って変わって、媚びへつらうような態度になっていた。
金って人を変えるよね、怖い怖い。
一度家を綺麗にし直し、明日鍵を渡してくれるそうだ。
「それにしても、シンくんそんなにお金持ってたの?
ビックリしちゃった」
サリアさんはお店を出るなりそう言ってきた。
「坊やがどれほど商人の護衛をしているか、お前も知ってるだろう?
私のように支払いを割り増しで払う商人もいるだろうし。
坊やの護衛の代金設定は低すぎさ。
今後はもう少し高めにしておいても良いんじゃないのかい?」
その言葉に俺は悩む。
「うーん、そうですねぇ。
最初は商人の皆さんとの縁を作るためにも、あまり高額な代金にはしたくなかったんですよね。
気軽に頼めるくらいの金額が望ましいかな、と。
でも、今更値上げするのもなんだか人が悪くないですか?」
それを聞いてリゼットさんは腰に手を当て、俺に諭すように言う。
「坊や。あんたは自分の為、というより商人達の為に家を買ったようなもんだろ?
これまで以上の出費も出る。
相応の代金が上乗せされるのは当然さ。
それに、あと金貨二、三枚加算するだけなら商人も納得するだろう。
やはり今の護衛一日金貨三枚は安すぎだね」
そんなもんですかねぇ、と俺は呟く。
「普通は立て続けに護衛なんて出来ないからね。
シンくんはマナ変換で疲労回復してるんだろうけど、私達はしっかり身体を休めなきゃそれこそ役に立たなくなる。
傭兵なんて週に一度か二度としか行商に参加出来ないよ?
大怪我したらそれまでだし。
色んな意味でキミは特別なんだよ」
サリアさんもリゼットさんに同調する。
ふぅむ、そんじゃあ料金の見直しも踏まえて考えるかな。
「家は購入できたが、次はどうするんだい?
あの家には大した家具は無かったろう。
ついでに見にいくかい?」
「いいんですか?」
俺が聞き返すと、頷く二人。
そうして今度は商業地区へと俺達は戻っていく。
「ふふふー、今度シンくんのお家にお邪魔するね?」
道中、すこぶるご機嫌のサリアさんは満面の笑みでそう言っていた。
「サリア、坊やに迷惑かけるんじゃないよ。
お前のが大人なんだから、少しは自重しな」
呆れたように言うリゼットさん。
「えー?あの家は私とシンくんの愛の巣でしょ?」
違ぇよ……。
俺とリゼットさんは額に手を当て溜息をつく。
そういやサリアさん、なんで家を買う事になったのか、って話聞いてなかったな。
面倒だが、道中で説明するか。
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