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第一部/1組目・自信家の盗賊
閑話:宣伝!エロトラップダンジョン!
しおりを挟む…ラウルがブロンズゴーレムに犯されていた頃、その様子をモニターしていたダンテは吸収した精力の量を計測していた。
「…ふむ、人間の冒険者1人でこの量か。おおよそ試算通りだな」
魔法により作り出された画面を見つめ、満足そうに頷くダンテ。
しかし映し出された淫猥な光景に興奮した様な様子は微塵もなく、純粋に目の前のそれを『ただのダンジョン』として認識していた。
(この精力を魔力に変換してダンジョン運営に回せば……ふむ、人間を殺した場合の魔力を若干劣る程度か。ならば精力搾取の効率を……)
ダンテは何やら小難しい数式を羊皮紙に書き込み、最適なダンジョンの仕組みを思案する。
そうしていると不意に出入口となる転移の魔法陣が輝き、中から疲れた様子のキールが現れた。
…どうやら、ダンジョンの外に出かけていたようだ。
「ふぃー…ダンテさまぁ。おつかい、終わりましたよぉ」
キールは気だるげにそう報告すると、硬貨の入った袋をダンテの傍に置く。
ジャラリと音を立てたその袋の中には、人族の使用する硬貨…十数枚の銀貨が入っていた。
「ご苦労。……ふむ、これが報奨金か」
「前金だけですけどね。…でもいくら俺がインキュバスロードとは言え、人族に擬態して真昼間の街に潜り込むのは肝が冷えましたよー」
ダンテがキールに命じた『おつかい』。
それは、人族のフリをして最寄りの街…ブラスレッタに潜り込み、冒険者ギルドにこのエロトラップダンジョンの存在を報告する事だった。
「しかしそうして無傷で帰って来れた所を見るに、上手く誤魔化せたんだろう?」
「ええ、まぁ。…流石に冒険者ギルドの中はちょこっと緊張しましたケド」
「ふむ、では報告を」
「はいはーい。…えーと、人族のフリをして街に潜り込んでぇ…」
…………………………
……………………………………
ダンジョンから最も近い街、ブラスレッタ。
中規模ながらも人族の行き交いは盛んで、街の中には冒険者ギルドの支部も存在していた。
「うーん、人族がわんさかいる…ダンテさまも無茶ぶりが酷いなぁ」
キールは大きな溜息をつきながらも、インキュバスロードである自身の能力をフル活用して人族…人間の成人男性に化ける。
羽や角、尻尾を隠し、身に纏う魔力を極限まで減らした状態はただの人間にしか見えない。
さらに服装もいつもの露出の高いボンデージではなく、旅人としては一般的な皮の鎧に薄手のマントを纏っていた。
「よし、こんなもんかな」
そしてそのまま堂々と正門をくぐると、門番に引き止められることも無く街の中へと潜入する。
(並の魔物が擬態してるならともかく、一応俺淫魔のエリートだし。ま、こんなもんだよね♡)
スキップしたくなる気持ちを抑えながらも、キールはブラスレッタの街に入ると真っ先に大通りに面したとある建物…冒険者ギルドを目指す。
その目的は『ダンジョンの宣伝』。
『偶然新たなダンジョンを見つけてしまった旅人』を装って冒険者ギルドに報告をするのだ。
「お、冒険者ギルドってアレかな?…よし、じゃあ早速…」
目的の建物を見つけたキールは軽く咳払いをすると、早足でその扉をくぐる。
ーーガチャッ
「おじゃましまーす…」
キールがギルドに足を踏み入れると、十数人もの冒険者達がその姿に視線を向けた。
大きな杖を持った老齢の魔術師、ビキニアーマーを身にまとった女戦士、そして頬に傷のある狩人などなど…
数多くの人族…それも戦いに長けた冒険者達に視線を向けられたキールは少し緊張しながらも、足早にギルドの受付へと向かう。
「すみませーん。受付ってここかな?」
「はい。冒険者ギルドにようこそ。本日は何かご依頼を?それとも、冒険者登録……っ」
受付…年若い金髪の女性はキールの顔を見るや顔を赤らめ、言葉を詰まらせる。
擬態しているとはいえ、キールは高位のインキュバス。
その顔立ちや声色は女を惑わせることに特化していた。
「あ、す、すみません。ご、ごごご用件を…」
「…ふふっ、緊張しないで?ちょっと街道近くに見慣れない横穴を見つけたから報告しにきただけだから」
「えっと…見慣れない横穴、ですか?」
受付は顔を赤らめたままカウンターに地図を広げる。
キールは頷き、さりげなく受付嬢に顔を近づけると地図のとある箇所を指差す。
「そそ。この辺かな?街道から少しそれた所。ただのほら穴かと思って近寄ってみたらさ、穴の中の床や壁は明らかに人工物でぇ…」
「あ、あああの…顔が…」
「ん?…嫌だった?」
そしてここぞとばかりに受付嬢の髪に触れ、にこりと微笑んだキール。
これで完全に堕ちた受付嬢は、首をぶんぶんと横に振って書類を用意する。
「で、ではこちらに詳細の記載を…数日後、ギルドの調査員がダンジョンの確認に伺いますので、後日改めて…来て、いただきますと……」
「ふふっ、じゃあまたキミに会えるんだね」
そっと手を重ね、キールは受付嬢の瞳を覗き込む。
その瞬間キールの瞳が妖しく輝き、受付嬢を瞬く間に魅了した。
「あっ…」
「嬉しいな、キミみたいな可愛い子にまた会えるなんて。…ところで、これから予定空いてる?良ければ街を案内して欲しいんだけど」
「は、はい…♡お昼休みを、頂くところなので…」
「それは良かった」
キールはにこりと微笑み、受付嬢の顔や体を改めて観察する。
(比較的美人だけど非処女か…ま、ちょっとつまみ食いする分にはいいかな)
キールはひとまず報奨金の前金を受け取ると、昼休みに入った受付嬢…食事と共に冒険者ギルドの建物を後にする。
その途中男性陣からの訝しげな視線を背中に受けていたが、キールは微塵も気にすることなく受付嬢と街に繰り出すのであった。
……………………………………
…………………………
「………ってわけです」
「その人族は殺してないだろうな?」
「もちろん!そんな足がつくような事してませんって。…とにかく、数日後に冒険者ギルドからチョーサイン?が派遣されてくるらしいんで」
『丁重にお出迎えしてあげないといけませんねー』とまるで他人事のように笑うキール。
そんな使い魔にダンテは小さくため息をつくと、またダンジョン内を映す画面へと目を向けた。
「無論、おもてなしは丁重にするつもりだ。…もっと数多くの挑戦者を呼び込まなければな」
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