死ぬ結末しかない推しの悪役令嬢に憑依した私

ヒロインに出会うまで

14 息子

はると？ さんは私の手を掴んで目をキラキラと輝かせています。確かに、同郷の人に会えるなんて普通は有り得ませんしね。私も日本の方とお会い出来るとは思っていませんでした。

でも、手は離して頂きたいです。


「で？ 何をしてたんだ？」


ネイル様ははるとさんを私から引き離すとそう問いました。今、魔法を使ってましたよね！？  ネイル様、一歩も動いていませんでした！  私も魔法使えるのでしょうか…。


「あ、ごめん。嬉しくてつい…。なんかそのにおるやつ怪しかったから眠らせてん。変な注射器持っとるから調べようと思ってなぁ。魔王様のドラゴン狙われとったみたいやけどまた恨み買った感じですか～？」


この人すごいフレンドリーというか…魔王様って理解しているようですし、怖くないんでしょうか？  ネイル様も怒る様子はありません。


「恨み…否定は出来んな。」


魔王様は大変ですね。でも、そんな絶対的な人に何かしようとしとるなんて怖いもの知らずな方もいるんですね。


「ん…？  こいつは」


私も気になり、覗き込みますが見たことの無い顔でした。ゲームでも、原因は判明していないので私にも分かりません。暴走したドラゴンをヒロインが収めてネイル様はヒロインに興味を持ち始めるんです。目をつけられるとも言いますね。正直ストーカーみたいでした。


まぁ、ヤンデレ枠ですしそういうのもありだと思いますけどね。


「魔王様の息子のネロ様ですね～。」


息子！？  そんな設定ありましたか！？


「息子と言っても拾っただけだ。こいつは魔族ではないしな。正反対のハイエルフだ。」


ハイエルフ…。魔法がある世界ですし、いても不思議ではないですが…。

ゲームには登場していません。

それにハイエルフが魔族の領土に入ることは可能なんですね。魔族は闇魔法、エルフ族は光魔法って王道じゃないですか？  それだったら仲が悪くても不思議ではないのですが…。


「っ、父上…！」


「何をしていた？」


へぇ、意外です。父上と呼ばせているんですね。そういうことは嫌がりそうですのに。


「…ドラゴンを強くしようと思って。」


凄く今更なことを言ってもいいでしょうか…？


「ネイル様、いつまでその…女性の格好を？」