何万回囁いても

水城ひさぎ

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彼の瞳に映るもの

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 結衣と連絡が取れなくなってから二週間が経った。

 俺のアパートにはまだ結衣の荷物がある。いつか帰ってきてくれると信じて待っているが、来ないところを見ると荷物はあきらめたのかもしれない。

 だけど、このままで終わらせるつもりはない。理由もわからずに結衣と別れるなんて考えられない。そう思ったら行動を起こしていた。

 まず俺が向かったのは結衣の暮らすアパートだった。大した期待はしていなかったが、やはりもぬけの殻になっていた。引っ越したのだ。

 次に、何度か会ったことのある結衣の弟に電話をかけた。お盆に実家へ戻ってから結衣の様子は変わったのだから、弟の拓也たくやなら何か知っているかもしれないと思ったからだ。

 しかし、電話はつながらなかった。電源が切れている。そこで、ふと思い出した。拓也は海外出張中だ。結衣が半年帰ってこないと話していた。ここもダメかとため息が出た。

 明日は結衣の会社へ行こう。最後の手段だ。必ず彼女が来る場所は職場しかない。

 アパートへ帰宅した俺は、リビングにあるソファーへ座った。静かな部屋を見回す。

 結衣の姿はない。本当にもう、会わないつもりだろうか。

 スマホを開く。結衣との最後のメールのやりとりは、会いたいという俺に対する、ごめんねの一言だけだった。

 その後も、一方的に会いたいと何度もメールしたが、返事は来ない。

 最後に会った時、ちゃんと話を聞けば良かったと後悔する。これは、結衣の異変に気づきながら、目を塞いでいつか元通りになれると思っていた俺の罪だろう。

 今度会ったら、抱きしめてこの気持ちを伝えよう。

 結衣の笑顔が見たい。
 結衣の声が、聞きたい。
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