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本当に守るべきもの
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ソファーに座る怜司さんに身を寄せていたはずだったのに、うっすら目を開けるとベッドの中にいた。彼の寝顔が目の前にある。酒に酔い、そのまま寝てしまったようだ。
怜司さんの顔立ちはとても綺麗。こんなに近くで、彼に触れられる存在でいられるのが夢みたい。
規則的で静かな彼の寝息に安心しながら胸に身を寄せる。なんでもない会話をして、何も言わずに身を寄せ合っている時間がわりと好き。だからこうしているだけでも幸せで。
カーテンの隙間からは、ほの明るい日が漏れている。もう少し眠っていたいと思いながら、彼の腕に触れてそのまま背中に腕を回す。彼を独り占めしているみたいだ。
怜司さんの温かな手に触れたくて、そっと指を下げていく。彼の手首に触れ、指を重ねる。
彼の左手に指輪はない。この部屋にいる間は外しているようだ。だからこそ、私はこの部屋にいてもそのことを気にせずにいられる。
怜司さんの指をなでていく。こんな時でないと、彼の指にじっくりと触れるなんてこと出来ない。
目を閉じてそっと彼の手を握る。その時だった。いきなり彼の体がビクッとはねて、手が振りほどかれた。
無意識にしては力強い抵抗に思わず驚く私を、すぐに目を覚ました怜司さんが怖い表情で見下ろす。
「怜司さん……」
名を呼ぶと、彼は寝ぼけていたのか、顔を左手で覆い、息をつく。
「……和美か」
「ごめんなさい。起こしちゃいましたね」
「いや、ちょっと嫌な夢を見ただけだ」
「嫌な夢……? よく見るの?」
「ああ。でも大丈夫だ。和美ならいい」
そう言って、怜司さんは私にかぶさりながら抱きしめてくる。
「いつの間にか眠っちゃったみたい」
彼の背中を抱きしめる。よほど驚いたのだろう。まだ彼の心拍数は上がったままで、胸は早鐘を打っている。
「疲れてたんだろう。気づいたら眠ってたよ」
「もう朝になるわ」
「うん?」
「怜司さんにまたこうやって会えるのは来週ね」
「また来週会えるならいいだろう?」
「そうね。大切にするべきものが別にあるものね」
「二人でいる時ぐらいはその話はやめよう」
「だって不安だもの……」
怜司さんの背中を抱きしめる腕がほどかれる。彼は体を起こして私を見下ろす。
「怜司さんのことだけ考えてたいのに」
「俺だってそうさ」
涙目になる私の目元を指でそっと撫でた彼は、その指を首筋に触れさせ、さらに下にさげていく。
「怜司さん……?」
「昨日は君を抱き損ねた。本当に大切なのは君だけだって、俺も言いたいよ」
「私も……」
「言葉には出来ないから、今から確かめようか」
そう言って怜司さんは、優しいキスをしながら体重を軽く私に乗せてきた。
ソファーに座る怜司さんに身を寄せていたはずだったのに、うっすら目を開けるとベッドの中にいた。彼の寝顔が目の前にある。酒に酔い、そのまま寝てしまったようだ。
怜司さんの顔立ちはとても綺麗。こんなに近くで、彼に触れられる存在でいられるのが夢みたい。
規則的で静かな彼の寝息に安心しながら胸に身を寄せる。なんでもない会話をして、何も言わずに身を寄せ合っている時間がわりと好き。だからこうしているだけでも幸せで。
カーテンの隙間からは、ほの明るい日が漏れている。もう少し眠っていたいと思いながら、彼の腕に触れてそのまま背中に腕を回す。彼を独り占めしているみたいだ。
怜司さんの温かな手に触れたくて、そっと指を下げていく。彼の手首に触れ、指を重ねる。
彼の左手に指輪はない。この部屋にいる間は外しているようだ。だからこそ、私はこの部屋にいてもそのことを気にせずにいられる。
怜司さんの指をなでていく。こんな時でないと、彼の指にじっくりと触れるなんてこと出来ない。
目を閉じてそっと彼の手を握る。その時だった。いきなり彼の体がビクッとはねて、手が振りほどかれた。
無意識にしては力強い抵抗に思わず驚く私を、すぐに目を覚ました怜司さんが怖い表情で見下ろす。
「怜司さん……」
名を呼ぶと、彼は寝ぼけていたのか、顔を左手で覆い、息をつく。
「……和美か」
「ごめんなさい。起こしちゃいましたね」
「いや、ちょっと嫌な夢を見ただけだ」
「嫌な夢……? よく見るの?」
「ああ。でも大丈夫だ。和美ならいい」
そう言って、怜司さんは私にかぶさりながら抱きしめてくる。
「いつの間にか眠っちゃったみたい」
彼の背中を抱きしめる。よほど驚いたのだろう。まだ彼の心拍数は上がったままで、胸は早鐘を打っている。
「疲れてたんだろう。気づいたら眠ってたよ」
「もう朝になるわ」
「うん?」
「怜司さんにまたこうやって会えるのは来週ね」
「また来週会えるならいいだろう?」
「そうね。大切にするべきものが別にあるものね」
「二人でいる時ぐらいはその話はやめよう」
「だって不安だもの……」
怜司さんの背中を抱きしめる腕がほどかれる。彼は体を起こして私を見下ろす。
「怜司さんのことだけ考えてたいのに」
「俺だってそうさ」
涙目になる私の目元を指でそっと撫でた彼は、その指を首筋に触れさせ、さらに下にさげていく。
「怜司さん……?」
「昨日は君を抱き損ねた。本当に大切なのは君だけだって、俺も言いたいよ」
「私も……」
「言葉には出来ないから、今から確かめようか」
そう言って怜司さんは、優しいキスをしながら体重を軽く私に乗せてきた。
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