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第2章 王都編
2-2 神の武器、飴玉の力
しおりを挟む「ん~やっぱりもういないのかなぁ」
と言う赤髪の青年を睨みつける。
先程からうろちょろしたり、木に登ったりと忙しない。
王都からこの町まで商人の護衛任務を受けた。
馬車で一泊二日食事付き、金貨1枚なら悪くない。
この村についてギルドに報告に行ったら、この林にオークが居たっていう五人組のPTがいた。
オーク肉を売ってたから嘘じゃないんだろうけど、そしたらこのバカが俺達も探そうぜって言いだした。
「だから絶対はぐれだって言ったじゃない、そんなに食べたきゃ買えばいいでしょ!」
「高いじゃん、一本銀貨一枚だろ?」
と笑う青年を見て溜息をつく。
本来なら東の山岳地帯に棲息しているはずだ。
何らかの理由で迷ったか群れを追い出された。
所謂はぐれの可能性が高い。
どちらにしても運良く明日、王都への護衛依頼があったから今日はこの村でもう一泊の予定だったし、といい方向に考えた。
「にしても妙だなぁ」
「・・・何がよ?」
「朝一から見て回って魔物一匹いないじゃん」
ああそういえば、と彼女は思い至る。
こいつ普段バカなのに妙なところで鋭いのよね、と。
二年前、ソロで参加したPTに同じ様に参加したこいつがいた。
あんまりにもバカでほっておけなくて、気がついたらPTを組んでた。
彼女の総評は出来の悪い弟、だった。
(腕はいいのにね)
と、木に登る青年を見つめる。
偶にする真面目な顔をしながら木から飛び降りてきた。
「・・・なんか妙な奴らがいる」
こういう顔をする時は大抵何かがある。
私が優秀なのもあるけど、コレのおかげで私達はC級になれた、そう思っていた。
「どうするの?」
「この距離なら大丈夫だ、後をつけよう」
静かに頷く。
彼女には斥候が出来るような技能はない。
彼の後ろを出来る限り音を立てずついて行く。
林の陰で静かにしていた八人の男達。
暫くして二人合流した。
一人の男が合図をして林から出ていった。
彼を見る。
こちらを見て静かに頷く、つまり様子見だ。
ようやく二人も林の陰についた。
野原の方を見て男達の目的が分かった。
思わず飛び出そうとして彼に止められる。
(っ!・・・わかってる、焦っちゃダメだ)
気を取り直して機を窺う。
巨漢の男が親子に近づいていった。
見合わせて頷いた。
彼は背に背負った剣の柄を握り、私は杖を両手で握り覚悟を決めた。
飛び出そうとした瞬間だった。
「痛え!ぶごっ」
母親が巨漢の男を蹴り飛ばした。
・・・私は少し考えて彼に聞いた。
「・・・ねえ、人族って頭を地面に埋めれるの?ティダはアレ出来る?」
「いやいやいや違うだろ、どう考えてもエルフの姉ちゃんがやったんじゃんか!・・・シャルは?」
「私はほら・・・魔導士だから?」
「・・・エルフの戦士なら出来んのかよ?」
ティダを無視してエルフの親子を見た。
子供を抱いて巨漢の男を踏みつけ剣を抜いた。
やり合う気だ!
今度こそ私達は林から飛び出した。
・・・私は何を言ってるのかわからないと思うが、私も何が起きたのかわからなかった。
気がついたら一人の首が飛んでいた。
遠目じゃなきゃ分からなかったと思う。
まるで剣舞を見てるようだった。
ティダもさっきまでの真面目な顔からいつものバカに戻っていた。
・・・いつの間にか一人だけになっていた。
右手で剣を投げ左手で子供を投げた。
そのまま前に駆けて飛び膝蹴り。
・・・また一人地面に頭を埋めた。
その女性は子供をキャッチして満面の笑みを浮かべていた。
剣を拾い鞘に収める。
そしてこちらを見た。
ティダはビクッとした、私はしてないと思いたい。
手招きをされた。
顔を見合わせて頷く。
近づいて行くと彼女が笑顔のまま口を開いた。
「飴食べるか?」
「「あ、はい。」」
私達は飴を舐めている。
舐めながら地に伏した男と頭が埋まった男を見ている。
何故だかはわからない。
でも飴は美味しい。
「我はここを離れられぬ、すまぬが衛兵を呼んできてもらえぬだろうか?」
「あ、はい、俺行きます」
ちょっ!コイツ逃げた、そう私の本能が告げた。
私がじっと子供と彼女を見ていると「珍しいか?」と聞かれた。
いや、そりゃ地面に頭が刺さってる光景なんて見たことないけど。
そう思案顔をしていたら、少し困ったような顔をして事情を話してくれた。
つい最近まで武芸と魔法の修行で長いこと人里離れた所にいた、その時にこの子を拾ったと。
・・・どれくらい修行したら人の頭を地面に埋め込めるようになるんだろう。
まあでも相当・・・ああそうか、自分達が珍しいか?だったんだ!。
「違うんです、私クォーターです!」
その答えに疑問符を浮かべていた女性に説明した。
百年程前に起きた事を。
ダークエルフの集落の長に、美を司る柱から神託があったらしい事。
その当時、近交退化が問題視されていた。
大きくもない集落で少人数で生活をしていたからだ。
ダークエルフは種としての根源はエルフと同じだと。
「つまり、主よりエルフと共に暮らせ、と?」
「という事らしいです、私の産まれる前ですから」
「ふむ」と言うと眉をひそめて思案顔をする。
「中にはそれを嫌がって飛び出した人もいるらしいです」と言うと女性は子供を見ていた。
私も急に「この種族と共に暮らし子を成せ」なんて言われたら反発するに決まってる。
そう思った。
「エルフ族は気位の高い者が多かった記憶があるのだが?」
「疑うようですまない」そう言われると同族の恥ずかしい過去話をしなきゃなぁと覚悟を決める。
「あー・・・これも私が産まれる前ですからアレなんですけどね」
「エルフ族の族長にも同時期に、酒と悦楽を司る柱から託宣があってですね」
思わず溜息をつく。
「人の文化と交流するうちに趣味というか志向が変わってきた人達が増えて、ですね」
自分の胸を見てティダがいなくてよかった、そう思いつつ口にする。
「胸の大きい人が好きなエルフが増えたんです」
「・・・は?」
ですよねー、私もそう思います。
私もこの話を聞いた時、根源が同じなら!同じなら!って思いましたもん。
とは口が避けても言えない。
「巨乳派と貧乳派に別れて紛争が起きそうになったらしいです」
その女性は頭を抱えていた。
私も抱えたかった。
「最初は中々うまくいかなかったらしいんですけど、狩りが生活基本だったダークエルフ族が集落に加わって食卓が豊かになって、徐々に打ち解けていったっておばあちゃんが言ってました」
「ただ、子供はハーフでも白い肌の子が産まれる確率が高いらしくてダークエルフが別種族っていう考え方は今は聞かないです」
「ああ、それでこの子を見ていたのか」
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思わず胸を抱え泣き崩れてしまった。
何故っ!何故なの?私だってクォーターなのに!もう少し、もう少し大きくったって!
そう思うと涙が止まらなかった。
その女性は何も言わずに私の横に立ち尽くしていた。
何故ならその女性も巨乳だったからだ。
暫く時が経った。
その女性は決心したように私に告げた。
「飴・・・食べるか?」
「・・・いただきます」
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