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ヒーローが怪物になった日
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入学式の記憶はありません。
ひどく堅苦しくて、そのせいで緊張していたのだと思います。アタシは意外と緊張に弱いのです。
きっと友達は出来ないのだろう、と思っていました。
しかしそれは杞憂でした。偶然近くの席に座っていた女の子たちが声をかけてくれて、友達になったのです。
それが牟田ちゃんたちです。最初はノリも良くて優しくて、すごく大切な友達だったと思います。これまで他人に優しくするだけだったアタシと対等に接してくれたのは、牟田ちゃんが初めてだったかもしれません。
そんな中、アタシは彼と出会いました。後に自殺する同級生の彼です。
四月の暮れ、学校裏の薄暗い公園での話です。
その時も彼は自殺しようとしていました。
ブランコの真ん中に縄をかけて、首を吊っていました。ちょうど足場から飛び降りたところらしく、錆びた鉄の棒に首縄が絡みついてギシギシと鳴いています。
アタシは必死にしがみついて、一度は自殺を諦めさせました。そこで話を聞いて、彼が昔のアタシと同じ環境に生きていることを知ったんです。
その日からアタシは、彼と毎日お話しました。
学校の愚痴とか、友達の噂とか、そんな他愛のないことを。
きっとアタシのことは、同類に見えたのだと思います。でも、それがマズかったのかもしれません。
いつしかその子の口調に憎しみが混じり始めて、そこから一週間もしないうちに、話題はこの世への憎しみに変わっていきました。
アタシはなんとかその悩みから目を逸らさせようと、遊びに行ったりしました。
そうすると、今度は牟田ちゃんたちとの繋がりが疎かになってしまいます。
きっと彼女たちは、自分たちを軽く見られて気に食わなかったのでしょう。
段々アタシに対する当たりが強くなって、悪ノリも増えるようになって行きました。
「あの男子に告白してきなよ」と言われた時から、アタシも「嫌だな」って思うようになって。そのせいで牟田ちゃんたちとの距離はどんどん遠ざかっていきました。
同級生の彼がアタシに告白してきたのは、ちょうど人間関係に疲れていた、そんな時のことです。
さっきは疲れていたと言いましたが、状況を判断するくらいのことは出来ます。流石にマズいなと思って、告白は何とか穏便にお断りできました。彼も「記念だから」と言って、すぐにまた元の関係に戻ってくれました。
今になって思えば、アタシはこの時の彼を疑うべきだったのでしょうね。
ひどく堅苦しくて、そのせいで緊張していたのだと思います。アタシは意外と緊張に弱いのです。
きっと友達は出来ないのだろう、と思っていました。
しかしそれは杞憂でした。偶然近くの席に座っていた女の子たちが声をかけてくれて、友達になったのです。
それが牟田ちゃんたちです。最初はノリも良くて優しくて、すごく大切な友達だったと思います。これまで他人に優しくするだけだったアタシと対等に接してくれたのは、牟田ちゃんが初めてだったかもしれません。
そんな中、アタシは彼と出会いました。後に自殺する同級生の彼です。
四月の暮れ、学校裏の薄暗い公園での話です。
その時も彼は自殺しようとしていました。
ブランコの真ん中に縄をかけて、首を吊っていました。ちょうど足場から飛び降りたところらしく、錆びた鉄の棒に首縄が絡みついてギシギシと鳴いています。
アタシは必死にしがみついて、一度は自殺を諦めさせました。そこで話を聞いて、彼が昔のアタシと同じ環境に生きていることを知ったんです。
その日からアタシは、彼と毎日お話しました。
学校の愚痴とか、友達の噂とか、そんな他愛のないことを。
きっとアタシのことは、同類に見えたのだと思います。でも、それがマズかったのかもしれません。
いつしかその子の口調に憎しみが混じり始めて、そこから一週間もしないうちに、話題はこの世への憎しみに変わっていきました。
アタシはなんとかその悩みから目を逸らさせようと、遊びに行ったりしました。
そうすると、今度は牟田ちゃんたちとの繋がりが疎かになってしまいます。
きっと彼女たちは、自分たちを軽く見られて気に食わなかったのでしょう。
段々アタシに対する当たりが強くなって、悪ノリも増えるようになって行きました。
「あの男子に告白してきなよ」と言われた時から、アタシも「嫌だな」って思うようになって。そのせいで牟田ちゃんたちとの距離はどんどん遠ざかっていきました。
同級生の彼がアタシに告白してきたのは、ちょうど人間関係に疲れていた、そんな時のことです。
さっきは疲れていたと言いましたが、状況を判断するくらいのことは出来ます。流石にマズいなと思って、告白は何とか穏便にお断りできました。彼も「記念だから」と言って、すぐにまた元の関係に戻ってくれました。
今になって思えば、アタシはこの時の彼を疑うべきだったのでしょうね。
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