元勇者はのんびりとしたもふもふライフを送りたい!〜魔王倒したら手の平返ししてきた方々?特に仕返しはしませんが助ける気もないですよ〜     

おいどんべい

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第1章

昔のよしみ

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確か…あいつは…。

「なんだよ、ドミテル。お前、かなり太ったんじゃないか?」

こいつはドミテル。
僕がまだ勇者になる前、まだ冒険者として働いていた時の同期だ。
僕とドミテルは歳が同じだ。つまり今僕が28歳だからドミテルも28歳だ。
だけど…なんだろうか。
ドミテルとは思えない…。
人をどこか見下すような目つきと少しぽっちゃりとした体型。
手入れしてなく、どこか汚そうな髭。
優しくて10年に一度の美少年と言われていた面影はもう彼には残っていなかった。

「太ったとはよく言ってくれるじゃないかロン。お前はほとんど変わらないなぁ。見た目もそして幼稚な頭も」
「わざわざそんな皮肉をありがとさん。そりゃ、ここ最近まで毎日魔物と戦ってたんだ。それに魔王を倒すにはドミテルみたいに豚のように太るわけには行かないだろう?」

あまりにも見下されると、僕だってイライラするものだ。
まぁドミテルは豚のようには太ってないのだがちょっとだけ悪く言ってやった。

「豚…⁈ハハハッ先程の言葉は訂正させて貰うか。君は変わったよロン。立派な捻くれ者にね」
「ありがとう。冒険者として生活するには捻くれてないと舐められちまうからな。それでドミテル。一体なんのようだい?」
「ハハハッわざわざ聞かなくても良いだろうに。俺はここのギルドマスターをやっているんだけどな?国にどれだけ強い冒険者を送るかで昇格できる可能性がグ~ンと上がるんだ。だからよぉ、ちょっとばかり俺の踏み台となってくれないか」

こりゃまたはっきり言ってくれるものだな。
別に昔のよしみとして踏み台になるのは良いが…国に利用されるのは嫌だな。

「ドミテル。悪いな、僕は国に良いように利用されるのは嫌なんだ。だから、僕はこのギルドを抜けさせて貰うよ」
「そうか。ロン、君は俺が優しく言ってやってるのにも関わらずそれに背くというのか。どうなろうと知らないぞ」
「なんだ?脅しか?」
「いや、ただの忠告さ。昔のよしみとして教えただけだ」
「そうか、ありがとよ」

僕はそういうと、受付の人にギルドを抜ける手続きをしてもらいギルドを抜けた。
ギルドを抜けたことによってクエストを受けられなくなってしまった僕は今持っているいらない物を売るため換金屋に行く事にした。

ギルドから出ると、見慣れた人がいた。

「おぉロン!ギルドに来てたのか!どうだ山小屋生活は、不便はないか?」

不便…食材がなくなるということ以外は特にないな。
寝具の寝心地もいいし。

「おかげさまであまり不便なく暮らす事ができてます!ディードさんが手入れもされていたので本当に住みやすいです!」
「そうかそうか!手入れしてたかいが当たったわ!それでロン!これからどこに行くんだ?」
「ちょっと換金屋へ行こうかと。今さっきギルドを抜けてきたばっかりなんですよ」
「ギルドを抜けた⁈ロン、一体どうしてだ?」

理由を話すべきか話さないべきか…。
ディードさんは信用できる人だから言うか。

「実は、ギルドでクエストを受けるにはカードを提示する様に言われて提示するぐらいならギルドを抜けてしまおうかなと言う事でして」
「カードの提示だぁ?そんなのいつから始まったんだ」
「今日かららしいですよ」
「なるほどなぁ」

ディードさんも知らなかったのか。
ディードさんは少し悩むように俯いたあと、ご自慢のおひげをわさわさと触った。
なんというか…。
ディードさんの髭は自慢というのもあって毛並みがとても良い。
もっと長くしたらドワーフみたいな髭が生えてきそうだ。
ディードさんのひげをなんとなく観察しているとディードさんがいきなり顔をあげた。

「⁈」

いきなり顔を上げられると驚いてしまう。

「? どうしたんだそんなに驚いて」
「いや、なんでもありません」
「そうか、なら良いんだが。俺はギルドを抜けない事にする。もう、俺も老ぼれだからな。どうせもうすぐ冒険者はやめる事になるんだ。だから、ギルドカードの提示ぐらい痛くもなんともない。それなら最後にパァっと戦いたいからな」

にっこりとしながら話すのを見ているとディードさんらしいなと思った。
確かに冒険者をやめてしまえばステータスなどが流出したってほぼ問題ない。

「ディードさんらしいですね」
「ありがとよ!」

この後、僕とディードさんは別れ僕は換金屋さんに向かった。







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