元勇者はのんびりとしたもふもふライフを送りたい!〜魔王倒したら手の平返ししてきた方々?特に仕返しはしませんが助ける気もないですよ〜     

おいどんべい

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第2章

こうかい

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「え…?」

クルトは予想外の答えに状況が読み取れていないようだ。
ディンガー公爵はまた話を続けていく。

「サーティスは…彼女は…出ていったあの後、落石に巻き込まれたんだ…。私があの時…彼女を止めていれば…。ただでさえも短くなっていた彼女との時間が…」

ディンガー公爵は自分の腕を強く、とても強く握りしめている。
それはもう折れてしまうのではないかというほどに。

「待って下さい…父上。ただでさえも短くなっていた時間…とはどういうことですか?」
「クッ…」

クルトの問いにディンガー公爵は顔をさらに曇らせた。
ディンガー公爵は下を向くと話始めた。

「彼女は病を患っていたんだ…。彼女の余命は…後2、3ヶ月くらいだった。そこで…私は彼女に治療する様に言ったんだ。でも…その病は治すのがとても難しくて…治療をするのには莫大な医療費が必要で…だけどその病は完治する訳ではなく…周期的に治療を受けなければいけなかった。でも!私はお金よりも彼女の方が大事だった!彼女に一緒に生きてもらいたかったんだ!彼女のいない世界なんて私には考える事なんてできないんだ…。どうすれば君に会える…一体どうすれば!」

ディンガー公爵は自身の足を何回も何回も叩いた。
このまま放置していると、ディンガー公爵が壊れてしまいそうに思えた。
僕は、ディンガー公爵が不安になったので、リラックス効果のある回復魔法をかけておいた。
すると、徐々に足を叩く回数も減っていった。
ディンガー公爵は深呼吸をすると話を続けた。

「しかし、彼女は治療を受けるとは言わなかった…。それでも私は…彼女に治療を受けてもらいたかった…。それから私たちは治療を受ける、受けないの口喧嘩が多くなってしまった。彼女の考えを尊重しようとしなかった私がいたから。そのせいで彼女とクルト、リリィ。使用人のみんなには不快な思いをさせてしまった。本当に…すまない。クルト、リリィ…」

ディンガー公爵はクルトとリリィに向けて深く頭を下げた。
クルトはディンガー公爵を見て何か考え事をしている。
リリィはなにが起こったのかがよくわかっていないようだ。
僕的には…う~ん、なんか…う~んって感じなんだよなぁ。

「父上、母上が治療を拒んだ理由をお聞きしてもよろしいでしょうか」

クルトがディンガー公爵に質問をした。
ディンガー公爵はまた自身の腕を強く握り締めながら答えた。

「先程も言った通り、彼女の病を治すには多大なお金を周期的に払う必要があった。しかし、公爵家からいえば、それくらい問題はなかっただろう。だが、サーティスが拒んでいた時は、魔物の凶暴化によって農作物は荒らされ収穫は減り、領地の外に出ると、命の危険があるため商売も上手くいかず、ギリギリな状態だった。クルトやリリィのこれからもある事を考えた、彼女はそれを理由に拒んだんだろう…。私の力が及ばないせいで。私なんて…」

ディンガー公爵はまたクルトとリリィに向けて頭を下げた。
クルトもリリィも何も言わない…。
いや、僕が言う事じゃないかもしれないけど…。
僕はう~んとなる理由がわかった気がした。






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