修道院に行きたいんです

枝豆

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修羅場

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部屋の外がガヤガヤと煩い。どうやら私がここにいることがステファン殿下の知るところになったらしい。
ベッドの端で丸まっていた私が掛けていた掛布の中に、反対側の端で気怠そうに座っていたエルンスト殿下がするりと潜り込んできた。

「いよいよです。覚悟は?」
「出来てます。」
エルンスト殿下は私を抱きしめて、私はそれに応えるように、殿下の厚い胸板に頬を擦り付け背中に腕を回した。

「では、打ち合わせた通りに。」
「…はい。」

ほぼ同時にステファン殿下が部屋に雪崩れ込んで来た。

「エルンスト!!」
感情的になった時のステファン殿下の怒鳴り声が部屋に響いた。
その怒気の凄まじさに私はビクッと身体を固く縮めると、エルンスト殿下の温かい掌が優しく裸の私の背中を摩ってくれた。

「やあ、ステファン。おはよう。」
「…な、何をしている?」
「うん?見た通りだよ。」

エルンスト殿下の指が優しくうつ伏せの私の髪を漉いていった。

「…貴様レイチェルに何をした?」
「見たまんまだよ、レーチェは疲れてると思うよ、そっとしてあげておいてくれないか。」

私は寝たフリを決め込んでいる。
そうしろ、とエルンスト殿下が言ったからだ。
ただエルンスト殿下にしがみついて、甘えたように眠っていろ、と。

さっき、私を抱いてくれ好きにしろと言ったにも関わらず、エルンスト殿下は私の首筋、胸元、そして内腿にキスマークを散らしただけで離れた。
それから、少し目を瞑って耳を塞いでいてと私に伝えると私の横で自慰をした。
エルンスト殿下が吐き出したその子種をペタペタと触り身体に刷り込んだのは私だ。
「そこまでしなくていい。」
とエルンスト殿下は言ってくれたけれど、それだけではステファン殿下は騙せない、と押し切った。

最後にエルンスト殿下は短剣で自分の指を少し切り、敷布に鮮血をあちこちへ散らしたのだ。
「いや…流石にそれは必要ないかと…。」
私の純潔はとっくに失われているのだから。
だけどエルンスト殿下は
「これが必要なんだ。」
と譲らなかった。

「彼女が誰だかわかっているんだろう?」
「うん、知ってるよ。参ったよなぁ、とっくにステファンとよろしくやってると思ったのに、まだ手付かずだったなんて、誤算だったよ。
…どうするんだよ、俺、責任取らなきゃならないじゃん?」

この瞬間声を上げなかった私を誰か褒めてくれる?
エルンスト殿下は間抜けな間男になろうとしたんじゃない、私の初めての相手になろうとしている!!

「はぅ!?エルお前何言ってるの?レーチェはとっくに…。ああ!もう!とりあえずレーチェを離せ。」
「なんで!?もうレーチェは俺のだよ。」

気安くレーチェと呼ぶな!とか俺のレーチェに触るなとか、俺が初めてを奪ったんだとか、2人の男が言い争いをし始める。

どうしよう…これ目覚めるべき?
目覚めてくだらない口喧嘩を諌めるべき?
どうしようと、迷っているうちに更に人が入ってきた。

「なんの騒ぎです!!」

あっ、やば。
この声の主を私はは知っている。

王弟妃殿下のクラリーチェ様、エルンスト殿下の母御である。

ここだ!目覚めるならここ!!
私は、うーんと間抜けな声を出して、ゆっくりと瞳を開けた。
「エ…ルぅ?」
なるべく気怠そうに、なるべく甘えるように、最愛の人を呼ぶ気概で。
見つめるのはエルンスト殿下、とてもじゃないけれど、ステファン殿下の顔は見たくないし、クラリーチェ様の顔は怖すぎてもっと見れない。

「レーチェ起きた?無理させちゃったよね、身体に痛いところはない?まだ少し寝ててくれて構わないよ。」
私の甘え声に負けないくらいに耳元に唇を寄せて甘く囁くと、エルンスト殿下が掛布を頭の先までスッポリと掛け直してくれる。

とりあえずお二人の顔を見なくてすみそうだ。
ありがとう,エルンスト殿下!!

「…どういう状況なのかしら?とりあえず2人とも服を着なさい、エル、ちゃんと説明しなさい。」

怒りを抑え込んだクラリーチェ様の声は低く震えている。
私の身体もブルブルと震えている。
だって、もしかしたら私はクラリーチェ様に手打ちにされるかもしれないから。
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