修道院に行きたいんです

枝豆

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誓い

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レイチェルがいた部屋を片付けるのに立ち会った時、俺はそれを見つけた。

「エッタ、これは何?」
はっ!とした顔をしたエッタは思わずといった感じで手を伸ばし、諦めてその手を降ろした。

「…頂き物です。」
「誰からの?」
「…存じ上げません。」

掌にすっぽりと入ってしまうくらいの小さな黒い陶器の壺、中には数個の砂糖菓子。この砂糖菓子を俺は最近見た事がある。
そしておそらくエルが言っていたのはコレのこと。

「ブリトーニャからの、だな。」
俺の質問にエッタは答えなかった。
違うのならば違うと言わなければ、無実のブリトーニャへ迷惑を掛けるのに、エッタは答えない。
それが答えだ。

「これは預かる。」
エッタに告げ、壺をポケットに仕舞い込んだ。

俺は執務室の机の上に2つのものを置くことにした。
ひとつはレイチェルに捧げた短剣。これが返されたという事は、もう誓いは無効だと言えるだろう。しかしこの短剣は俺に違う新たな誓いを誓わせた。
その横に黒い壺を並べた。この壺もまた俺に誓いを立てさせた事を思い出させる品物だ。

忘れなくていい、ただ封印するだけでいい。そのうち時間が解決してくれる。
叔父ブルーノが俺に掛けてくれた言葉だった。

目の前でレイチェルとエルンストが並んで立っているのを見ているのは辛いだろう、と叔父と叔母は2人を領地に送った。
「気持ちの整理が出来たらいつでも呼び戻しなさい、王太子令で。」

…2度と呼び戻してなんかやるものか!!と思ったのに。
時折無性に2人に会いたくなる夜がある。

エルンストの顔なんか見たくもない。
レーチェの顔はまともに見れない。
それでも瞑った瞼に映るのは、いつもいつもエルンストとレーチェで。

結婚式を前にエルンストに帰城命令を出した。レーチェの顔は…きっとまだ見れない。
エルンストを呼び戻したかったのは、エルンストに会いたいから、エルンストを許したから、なんて事はなく。
相談役がいない王太子なんてただのお飾りでしかないから。

なのに。
「2人で揃って帰りたいと思っている。」
と無視され続けている。

毎日剣と壺を見つめる。毎日誓いの気持ちを改める。

封印するだけ?冗談じゃない。
俺にだって王太子としての、男としてのプライドがある。


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