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約束
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「どうだった?」
マリアンが帰ったのを見計らって、エルンスト殿下が様子を見に来た。
「迫力が…凄い人でした。」
「ハハハ、よく喋るだろう。」
ええ、と苦笑いする。
エルンスト殿下は私が座っていたソファーの隣に座ると、すかさずエッタがお茶を運んできてくれる。
「悪いヤツじゃない、喋りながら頭の中は忙しく回り続けているし、仕立ての腕は確かだ。きっと素敵な服になる。」
「その事なんですけど。」
生地を決めるためにお店に出向かなければならない事を話した。
その瞬間、エルンスト殿下の表情が冷たく引き締まる。
「…ダメ、ですよね?」
わかってる。エルンスト殿下は私を屋敷の外へ出すつもりはない。
「…ですから、残念だけど諦めます。」
「…ダメ、じゃないよ。」
エルンスト殿下がそっと私の右手を取った。
驚いた。どんな心境の変化なんだろうか?
でもエルンスト殿下の表情は固い。
「…無理してませんか?ご迷惑をお掛けするつもりはなくて。服だってどうしても必要なものでもないですし。」
「迷惑じゃない。それに無理してるのはレーチェだろう?」
私?全然。
「してませんよ。」
そう伝えたけれど、エルンスト殿下は納得してはいなさそうだ。
「ずっと屋敷の中に閉じ込めておきたい訳じゃない。
ただ。
約束して欲しい。真っ直ぐにマリアンの店に行って、どこにも寄らないで帰って来て欲しいだけなんだ。ここに、ここがレーチェの在るべき場所だから。」
話が見えない。
「大げさですよ、在るべき場所だなんて。」
というかどこに寄り道出来るっていうんだろう…。
私はこのヒュッテのどこに何があるかなんかひとつも知らない。
マリアンの店がどこにあって、近くにどんなものがあるかも知らない。
唯一外に出たのは火祭りの日だけれど、湖には今は舟は浮かんでない。
「エルンスト殿下、そんなに苦しそうなお顔をしてまで、私に服を新調してくれなくても構いませんよ。」
「…そうじゃない。服は好きなだけ作ってくれて構わない。
ただ、帰ってきて欲しいと願っているだけ。」
「もう!どう頑張ったって迷子になんかなりませんよ。サラも付いてきてくれるんでしょう?」
壁際で控えているサラに問い掛けると、サラはもちろんです、と間髪いれずに答えてくれる。ほらね、きっと大丈夫。
「真っ直ぐににマリアンの店に行って、どこにも寄らずに帰ってくる、いいね。」
相変わらずの心配されっぷりだ。
…うーん、そんなに私は迷子になりそう?
それとも何かしでかしそうに思えるのだろうか。
あっ、しでかした過去はあるにはある。
もう死んだりなんかしないつもりなんだけどな。
エルンスト殿下にこんなに心配されてまで服を作りに外に出る必要はないのに。
「レイチェル様、良い機会なんですから。少しは屋敷の外に出ましょう。
それに、服地なんですから、見本帳だけじゃわからないこともたくさんございます。
反物を見て触って身体に当てて、初めてわかることもありますから。」
「…うん、それはそうね。」
サラの言う通りだ。クラリーチェ様のご厚意で服を新調させて貰うなら、着心地良い長く着られるものを作りたい。
「わかりました。エルンスト殿下、お約束しますよ。マリアンの店にだけ行って、服地を決めたら真っ直ぐに帰ってきます。」
絶対だよって念を押されるけれど。
大丈夫、迷子になんかなれそうもないですから。
だってサラが、
「エルンスト殿下、私が間違いなく見張っていますから。
マリアンのところにだけお連れして、用が済んだら真っ直ぐに帰って参りますので。」
って言ってるんだもん。
マリアンが帰ったのを見計らって、エルンスト殿下が様子を見に来た。
「迫力が…凄い人でした。」
「ハハハ、よく喋るだろう。」
ええ、と苦笑いする。
エルンスト殿下は私が座っていたソファーの隣に座ると、すかさずエッタがお茶を運んできてくれる。
「悪いヤツじゃない、喋りながら頭の中は忙しく回り続けているし、仕立ての腕は確かだ。きっと素敵な服になる。」
「その事なんですけど。」
生地を決めるためにお店に出向かなければならない事を話した。
その瞬間、エルンスト殿下の表情が冷たく引き締まる。
「…ダメ、ですよね?」
わかってる。エルンスト殿下は私を屋敷の外へ出すつもりはない。
「…ですから、残念だけど諦めます。」
「…ダメ、じゃないよ。」
エルンスト殿下がそっと私の右手を取った。
驚いた。どんな心境の変化なんだろうか?
でもエルンスト殿下の表情は固い。
「…無理してませんか?ご迷惑をお掛けするつもりはなくて。服だってどうしても必要なものでもないですし。」
「迷惑じゃない。それに無理してるのはレーチェだろう?」
私?全然。
「してませんよ。」
そう伝えたけれど、エルンスト殿下は納得してはいなさそうだ。
「ずっと屋敷の中に閉じ込めておきたい訳じゃない。
ただ。
約束して欲しい。真っ直ぐにマリアンの店に行って、どこにも寄らないで帰って来て欲しいだけなんだ。ここに、ここがレーチェの在るべき場所だから。」
話が見えない。
「大げさですよ、在るべき場所だなんて。」
というかどこに寄り道出来るっていうんだろう…。
私はこのヒュッテのどこに何があるかなんかひとつも知らない。
マリアンの店がどこにあって、近くにどんなものがあるかも知らない。
唯一外に出たのは火祭りの日だけれど、湖には今は舟は浮かんでない。
「エルンスト殿下、そんなに苦しそうなお顔をしてまで、私に服を新調してくれなくても構いませんよ。」
「…そうじゃない。服は好きなだけ作ってくれて構わない。
ただ、帰ってきて欲しいと願っているだけ。」
「もう!どう頑張ったって迷子になんかなりませんよ。サラも付いてきてくれるんでしょう?」
壁際で控えているサラに問い掛けると、サラはもちろんです、と間髪いれずに答えてくれる。ほらね、きっと大丈夫。
「真っ直ぐににマリアンの店に行って、どこにも寄らずに帰ってくる、いいね。」
相変わらずの心配されっぷりだ。
…うーん、そんなに私は迷子になりそう?
それとも何かしでかしそうに思えるのだろうか。
あっ、しでかした過去はあるにはある。
もう死んだりなんかしないつもりなんだけどな。
エルンスト殿下にこんなに心配されてまで服を作りに外に出る必要はないのに。
「レイチェル様、良い機会なんですから。少しは屋敷の外に出ましょう。
それに、服地なんですから、見本帳だけじゃわからないこともたくさんございます。
反物を見て触って身体に当てて、初めてわかることもありますから。」
「…うん、それはそうね。」
サラの言う通りだ。クラリーチェ様のご厚意で服を新調させて貰うなら、着心地良い長く着られるものを作りたい。
「わかりました。エルンスト殿下、お約束しますよ。マリアンの店にだけ行って、服地を決めたら真っ直ぐに帰ってきます。」
絶対だよって念を押されるけれど。
大丈夫、迷子になんかなれそうもないですから。
だってサラが、
「エルンスト殿下、私が間違いなく見張っていますから。
マリアンのところにだけお連れして、用が済んだら真っ直ぐに帰って参りますので。」
って言ってるんだもん。
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