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カトリーナ様と
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ブリトーニャ様と和解した数日後、いつものようにクラリーチェ様のお部屋に伺うと、そこにはクラリーチェ様ではなく、違う人が待っていた。
王弟妃殿下のクラリーチェ様の部屋なのに、我が物顔で悠然と居座る事が出来る人はおそらくキッテンではこの人しかいないだろう。
「おはよう、レイチェル。
おかえりとは言わないわよ。」
「おはようございます、カトリーナ様。」
私も「おかえり」なんて言われたくはない。
カトリーナ様は座っていたソファーの対面を指差して、
「座りなさい、話がある。」
と私に言い、
「誰もこの部屋には入れないで。クラリーチェもよ。あなたも出て行きなさい。」
と侍女に命じた。
一礼して皆が去って行く。逡巡していたエッタも、カトリーナ様の侍女に促されて部屋を出て行った。
静まり返った部屋にカトリーナ様とたったふたりっきり。
…恐い。
何を言われるのだろう…。何をされるのだろう…。
動けなくて立ち竦んでいると、
「早く座って。」
と促される。
…逃げられない。
私は仕方なく示された椅子に腰を下ろした。
「言っておくけれど、私は謝れないから。」
「はい、理解しています。」
カトリーナ様が私にしたアレコレは全部王妃としての決断だから。
たかが一貴族に一国の王妃が謝るような事はない。
「でもね、ひとりだけ謝らないとならない人がいるの。
だから、あなた代わりに謝ってきて頂戴。」
えっ!?それはどう言う事…ですか?
何故私が?誰に?
困惑が伝わったのか、カトリーナ様は話を続ける。
「レイモンド伯爵にね、謝ってきて。」
「レイモンド…伯爵…?」
「あら?覚えてないの?ふーんそれくらいの認識なの。
ラウール・レイモンド。元財務官の。」
元財務官のラウール様?
ラウール様なら知っている、知っているけど…も?
何故カトリーナ様が、ラウール様の事を知っていて、何故私に代わりに謝ってこいと言うの…?
「とっても真摯なね、真心の篭った誠意あるお手紙をね、再三頂いていたんだけど。
どうやらご期待には添えないみたいだから。
細かい事情はレイモンド伯爵に聞いてきて頂戴。
クラリーチェには断られちゃったのよ。あなた王家の相談役でしょう?だからあなた行ってきて頂戴。」
断れそうもない事だけは動かない頭でも理解した。
ラウール様に会ってこい、会って謝ってこいという事だけは理解した。
何故ラウール様に、何について謝れば良いのか皆目見当は付かないけれど。
依頼されていた件について、期待には沿えない。それだけを伝えれば、きっと伝わるのだろう。
「はい、では早速。」
少しでもこの状況から抜け出したくて、立ち上がろうとしたのを、視線だけで縫い止められた。
上げかけたお尻をまた座面に戻す。
「向こうから来ると思うから、それまでは何もしないで頂戴。」
カトリーナ様の望みがますますわからない。けれど言われた通りにするしかないか、と迷うのは諦めた。
「はい。仰せのままに。」
「それから今日会ったことも頼まれごとの内容も他言無用よ、エルンストにもね。」
「はい。畏まりました。」
満足気に頷いて、カトリーナ様は立ち上がった。
扉に向かって歩き出したカトリーナ様を見送るために私も立ち上がる。
数歩歩いて、カトリーナ様は歩みを止めた。
「ブリトーニャとの事は感謝するわ。私はブリトーニャを守らなければならないの、望まれて嫁いだのはあなただけじゃないから。
あああと、良い機会だから言っておくわね。
いつまでもただ流されるのはやめなさい。
自分で選んで自分で決めなさい。
あなたは悲劇のヒロインでもなければ、可哀想なご令嬢でももうないの。
だからあなたに一度だけ機会をあげるわ。
よく考えて、自分で決めなさい。」
…含みを感じるカトリーナ様の言葉を重く受け止めるべきか、ただの嫌味だと聞き流すべきか迷う。
「明日、シュタインに旅立つから。後のことは宜しく。
帰ってくるまでにスッキリと終わりになっていると嬉しいわ。」
…何をスッキリと終わりにさせたいのだろう?
ただ有無を言わせないカトリーナ様の様子に、
「善処します。」
としか言えなかった。
王弟妃殿下のクラリーチェ様の部屋なのに、我が物顔で悠然と居座る事が出来る人はおそらくキッテンではこの人しかいないだろう。
「おはよう、レイチェル。
おかえりとは言わないわよ。」
「おはようございます、カトリーナ様。」
私も「おかえり」なんて言われたくはない。
カトリーナ様は座っていたソファーの対面を指差して、
「座りなさい、話がある。」
と私に言い、
「誰もこの部屋には入れないで。クラリーチェもよ。あなたも出て行きなさい。」
と侍女に命じた。
一礼して皆が去って行く。逡巡していたエッタも、カトリーナ様の侍女に促されて部屋を出て行った。
静まり返った部屋にカトリーナ様とたったふたりっきり。
…恐い。
何を言われるのだろう…。何をされるのだろう…。
動けなくて立ち竦んでいると、
「早く座って。」
と促される。
…逃げられない。
私は仕方なく示された椅子に腰を下ろした。
「言っておくけれど、私は謝れないから。」
「はい、理解しています。」
カトリーナ様が私にしたアレコレは全部王妃としての決断だから。
たかが一貴族に一国の王妃が謝るような事はない。
「でもね、ひとりだけ謝らないとならない人がいるの。
だから、あなた代わりに謝ってきて頂戴。」
えっ!?それはどう言う事…ですか?
何故私が?誰に?
困惑が伝わったのか、カトリーナ様は話を続ける。
「レイモンド伯爵にね、謝ってきて。」
「レイモンド…伯爵…?」
「あら?覚えてないの?ふーんそれくらいの認識なの。
ラウール・レイモンド。元財務官の。」
元財務官のラウール様?
ラウール様なら知っている、知っているけど…も?
何故カトリーナ様が、ラウール様の事を知っていて、何故私に代わりに謝ってこいと言うの…?
「とっても真摯なね、真心の篭った誠意あるお手紙をね、再三頂いていたんだけど。
どうやらご期待には添えないみたいだから。
細かい事情はレイモンド伯爵に聞いてきて頂戴。
クラリーチェには断られちゃったのよ。あなた王家の相談役でしょう?だからあなた行ってきて頂戴。」
断れそうもない事だけは動かない頭でも理解した。
ラウール様に会ってこい、会って謝ってこいという事だけは理解した。
何故ラウール様に、何について謝れば良いのか皆目見当は付かないけれど。
依頼されていた件について、期待には沿えない。それだけを伝えれば、きっと伝わるのだろう。
「はい、では早速。」
少しでもこの状況から抜け出したくて、立ち上がろうとしたのを、視線だけで縫い止められた。
上げかけたお尻をまた座面に戻す。
「向こうから来ると思うから、それまでは何もしないで頂戴。」
カトリーナ様の望みがますますわからない。けれど言われた通りにするしかないか、と迷うのは諦めた。
「はい。仰せのままに。」
「それから今日会ったことも頼まれごとの内容も他言無用よ、エルンストにもね。」
「はい。畏まりました。」
満足気に頷いて、カトリーナ様は立ち上がった。
扉に向かって歩き出したカトリーナ様を見送るために私も立ち上がる。
数歩歩いて、カトリーナ様は歩みを止めた。
「ブリトーニャとの事は感謝するわ。私はブリトーニャを守らなければならないの、望まれて嫁いだのはあなただけじゃないから。
あああと、良い機会だから言っておくわね。
いつまでもただ流されるのはやめなさい。
自分で選んで自分で決めなさい。
あなたは悲劇のヒロインでもなければ、可哀想なご令嬢でももうないの。
だからあなたに一度だけ機会をあげるわ。
よく考えて、自分で決めなさい。」
…含みを感じるカトリーナ様の言葉を重く受け止めるべきか、ただの嫌味だと聞き流すべきか迷う。
「明日、シュタインに旅立つから。後のことは宜しく。
帰ってくるまでにスッキリと終わりになっていると嬉しいわ。」
…何をスッキリと終わりにさせたいのだろう?
ただ有無を言わせないカトリーナ様の様子に、
「善処します。」
としか言えなかった。
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