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オマケ
里帰り5
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…私、泣いてた…の?
自分でも気が付かないうちに泣いていたらしい。
ステファンが優しくその涙を拭ってくれる。
そしてこれだけでは終わらなかった。
今日のステファンはとことん私を甘やかすらしい。
「色々と辛い思いをさせてすまなかった。お前の覚悟を知りたかった。
お前から祖国と家族を奪った至らない男を恨んでもいい。その償いを俺は生涯掛けてお前に返す。
…これを。」
ステファンは少しだけ身体を離し、懐から一振りの剣を差し出した。
小さな短剣、鞘には贅沢に宝飾が散りばめられている。
薔薇の蔓のような流線の金細工にこれまた小ぶりな花のようなルビーが嵌め込まれている。
ステファンの胸元に光るブローチと同じ意匠だけれど、見たこともない短剣だ。
「これは…?」
「お前が俺に覚悟を見せてくれた時渡そうと決めていた。
俺からお前に捧げる誓いの証だ。
…受け取ってくれるか?」
「これを…?」
これを…受け取って良いのだろうか。
私はレイチェルから誓いの剣を奪い取った。レイチェルの剣は、私が割り込んだせいで誓いの剣から忌まわしいものに姿を変えた。
そしてステファンは一度私に剣を捧げようとしてくれた。
あの時私はそれを受け取らずに傲慢にこう言い放った。
「剣の誓いの重さなんて知りたくもない。」
と。
ステファンがレイチェルに贈った愛の重さなんか知りたくなかった。あの時は、ううん、今でも知りたくもない。
「…受け取れない。その資格が…私にはない…。
私はレイチェルから奪った…。レイチェルはまだ…。」
「良いんだ。余計な事は考えるな。俺がお前に与えるお前のための剣だ。
…良いから受け取れ、そしてここにいろ。
頼むから拒むな。さすがに…今回はきっと堪える。俺は…そんなに強くない。」
そう言われてしまえば受け取るしかないと思え、私はおそるおそる剣に手を伸ばした。
掌に載せられた剣は、見た目の繊細さとはほど遠くずっしりと重みを感じさせる。
でも、ステファンは償うと言った。これは愛の証じゃない、勘違いしてはいけない。いけないんだけど、ここにいていいと言われた。それが嬉しいだけだ。
「帰ったらエルとレーチェに見せつけてやれ。そうすれば直ぐにでもエルは剣を用意する、これよりももっと美しく重たい剣を。」
ああ、確かに。
エルンストならきっともっと大きく重たく眩しいくらいに煌びやかな、エルの愛の重さを具現化するような剣を用意するだろう。
漸く苦い思い出が姿を変えるのだ。過去になるのだ。
アレもコレもが全て。
「ありがとうございます。大切にします。」
「ああ。」
もっと気の利いた事を言わなくてはいけないのかもしれない。けれど今はこれが私の精一杯だ。
「後の事は父母に任せて、俺たちはキッテンに帰ろうと思う。」
…ああ、そうだ。帰ろう
きっともう針の筵には思えないだろう。キッテンは私にとって温かい場所に変わる、いや変えなきゃならないのだ。ステファンと2人、ううん、レーチェとエルンストと4人で。
「ええ、帰りましょう。私たちの国に。」
こうして私の最後の里帰りは終わった。
次にもしシュタインを訪ねる事があったとしても、それはもう「里帰り」ではない。
自分でも気が付かないうちに泣いていたらしい。
ステファンが優しくその涙を拭ってくれる。
そしてこれだけでは終わらなかった。
今日のステファンはとことん私を甘やかすらしい。
「色々と辛い思いをさせてすまなかった。お前の覚悟を知りたかった。
お前から祖国と家族を奪った至らない男を恨んでもいい。その償いを俺は生涯掛けてお前に返す。
…これを。」
ステファンは少しだけ身体を離し、懐から一振りの剣を差し出した。
小さな短剣、鞘には贅沢に宝飾が散りばめられている。
薔薇の蔓のような流線の金細工にこれまた小ぶりな花のようなルビーが嵌め込まれている。
ステファンの胸元に光るブローチと同じ意匠だけれど、見たこともない短剣だ。
「これは…?」
「お前が俺に覚悟を見せてくれた時渡そうと決めていた。
俺からお前に捧げる誓いの証だ。
…受け取ってくれるか?」
「これを…?」
これを…受け取って良いのだろうか。
私はレイチェルから誓いの剣を奪い取った。レイチェルの剣は、私が割り込んだせいで誓いの剣から忌まわしいものに姿を変えた。
そしてステファンは一度私に剣を捧げようとしてくれた。
あの時私はそれを受け取らずに傲慢にこう言い放った。
「剣の誓いの重さなんて知りたくもない。」
と。
ステファンがレイチェルに贈った愛の重さなんか知りたくなかった。あの時は、ううん、今でも知りたくもない。
「…受け取れない。その資格が…私にはない…。
私はレイチェルから奪った…。レイチェルはまだ…。」
「良いんだ。余計な事は考えるな。俺がお前に与えるお前のための剣だ。
…良いから受け取れ、そしてここにいろ。
頼むから拒むな。さすがに…今回はきっと堪える。俺は…そんなに強くない。」
そう言われてしまえば受け取るしかないと思え、私はおそるおそる剣に手を伸ばした。
掌に載せられた剣は、見た目の繊細さとはほど遠くずっしりと重みを感じさせる。
でも、ステファンは償うと言った。これは愛の証じゃない、勘違いしてはいけない。いけないんだけど、ここにいていいと言われた。それが嬉しいだけだ。
「帰ったらエルとレーチェに見せつけてやれ。そうすれば直ぐにでもエルは剣を用意する、これよりももっと美しく重たい剣を。」
ああ、確かに。
エルンストならきっともっと大きく重たく眩しいくらいに煌びやかな、エルの愛の重さを具現化するような剣を用意するだろう。
漸く苦い思い出が姿を変えるのだ。過去になるのだ。
アレもコレもが全て。
「ありがとうございます。大切にします。」
「ああ。」
もっと気の利いた事を言わなくてはいけないのかもしれない。けれど今はこれが私の精一杯だ。
「後の事は父母に任せて、俺たちはキッテンに帰ろうと思う。」
…ああ、そうだ。帰ろう
きっともう針の筵には思えないだろう。キッテンは私にとって温かい場所に変わる、いや変えなきゃならないのだ。ステファンと2人、ううん、レーチェとエルンストと4人で。
「ええ、帰りましょう。私たちの国に。」
こうして私の最後の里帰りは終わった。
次にもしシュタインを訪ねる事があったとしても、それはもう「里帰り」ではない。
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