若松2D協奏曲

枝豆

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体育祭

忙しい翠

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全員参加の100メートル走が始まった。

急いで着替えて、急いで戻らないといけない。
既に整列を終えて出番を待っている人達を掻き分けて、自分の場所を探す。

「翠、こっち!」
クラスメイトが手を振ってくれる。
「あっ、ありがとう。」

これから全員種目の徒競走。
遅れないようにダッシュでここまで来た。既に息が上がっている。
これはハンデ…だ!

さっきカッコよかったよ、と周りが声を掛けてくれるのが嬉しい。
クラスのみんなと話せるのはこういった僅かな時間しかないから尚更。
「音外さなくて良かったよぉー。」
「あはっ、あそこで外したら、伝説になるね。」
「だよねー、良かったよぉ~。」

ワイワイ喋っていると自分の出番まであっという間。
バン!となってダーっと走って、終わり。

去年はそのまま吹部席に戻らなきゃだったけれど、今年はちょっとみんなのところに寄る事が出来る。

「和津くーん。」
先に競技を終えて、応援団席にいた和津くんを見つけて声を掛けた。
「翠!」
どうしたの?戻らなくていいの?
と驚いている。

「1年の徒競走が終わるまでなら平気。」
「和津くん何位だった?」
「…1位。やっぱり見ててくれないんだね。」
「ゴメン、バタバタしてて。でも凄いね、おめでとう。」
「翠は?」
「…聞かないで…。」
「6位だったね。」
「見てたの?」
「そりゃ見てるよ。…応援団だからね。」

そんな話をしていると、あっという間に1年徒競走は終わる。

「あー、行かなきゃ。」
「翠、次は?」
「綱引きで戻って、後は応援団デモ。」

翠先輩!

声がして振り向くと、吹部の1年生がいる。

「早く!行きますよ!」
「はーい!」

じゃあ後で、と和津くんに手を振った。


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