若松2D協奏曲

枝豆

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文化祭 準備

オリジナル作品

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花音ちゃんの案は、この布インクを使って作品を作り、それを売るという案だった。
似たようなのでクレヨンもあり、それなら自分たちでその場で描いて持ち帰る事も出来る、という。

「良くあるのはキャンバスやシーチングという綿の布に絵を描くのですが…。生成りの無地ならトートバッグやランチバック、クッションカバーなら既製品でもあります。」

花音ちゃんは最後にどうでしょうか…と不安そうに話を終えた。

うん、いいんじゃない。
面白そう。
割と肯定すると意見が占めて、この企画を詰めていくことになった。

じゃあ、これで企画を練ります、と実行委員の菜々子ちゃんがホームルームを終わらせようとしたとき、手を挙げたのは富田くんだった。

「ちょっといい?少し話が逸れるんだけど。売り上げを寄付したいんだ。」
「寄付?どこに?」
「磯山の磯山学園」

あぁ、とクラスから声が上がる。
磯山はこの間の台風で土砂崩れの被害に遭った。何軒も家が流された映像をニュースで見た。
磯山学園?
初めて聞く名前だけど…。

「なんで、寄付?」
どこからともなく声が上がった。
「その方が企画が通りやすい、そう考えたんだ。」
と富田くんは言う。

文化祭の物販は全体の3分の1の団体が行える。
食べ物、雑貨、文具…。
The文化祭という雰囲気が出やすい事もあって、企画段階での人気は高い。

「企画で弾かれないために、何か付加を。」
というのが富田くんの最初の考えで、何か何かな、と思ったんだそう。

売り上げのうち、仕入れや装飾で使った以外の利益は生徒会費へと回る。
どうせ自分たちの懐には入らないお金。
だったら、「寄付」するという付加をつけて、企画を通りやすくしてもいいんじゃないか?
と富田くんは言った。

「でもさ、それってどうなのかな?
自分たちの企画を通りやすくするために、被災した人達を利用するみたいで、なんか違う気がする。」
という声が挙がる。

一旦終わりかけたホームルームは騒然とし始めてしまった。
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